山崎怜奈さんと巡る、五感で学ぶ小松旅 TOKYO FM/ FRaU

温故知新のものづくりと
⽂化を辿る一泊二日。

写真

温故知新のものづくりと⽂化を辿る一泊二日。

石川県小松市

石川県小松市

北陸工業地域の一翼を担う城下町。日本海と山地に挟まれた豊かな自然、前田家ゆかりの史跡や文化財に恵まれ観光地としても注目の地だ。2024年3月16日、北陸新幹線小松駅が開業予定。
加賀藩主前田家ゆかりの地として栄え、数々の史跡に富み、歴史と文化に育まれてきた小松市。この町には、いにしえ から現在まで変化を続けながら受け継がれるものづくりの心が息づいている。
そんな地域に根付く文化を体験しながら、新旧さまざまなものづくりに触れる旅はいかがでしょうか。地域が誇る伝統の意匠に、市井の人々の暮らしに寄り添い癒やしをもたらす総湯、産業と文化が刻んだ自然の風景などなど、この地域特有のものづくり文化を通して、小松市の今昔を堪能できるスポットをご紹介。

錦⼭窯/ギャラリー嘸旦錦⼭窯/ギャラリー嘸旦

  • 錦⼭窯/ギャラリー嘸旦
  • 錦⼭窯/ギャラリー嘸旦
伝統と革新。進化し続ける九谷焼の新拠点。

1906(明治39)年に開窯し、九谷焼上絵付の金彩技法を特徴とする<錦山窯>。初代から受け継ぐ伝統技法を習得した三代目・𠮷⽥美統さんは「釉裏⾦彩」の技法を極め⼈間国宝にも認定され、窯を継承する四代目𠮷田幸央さん、妻のるみこさんら3人の陶芸家たちが三者三様の世界観を表現している。ときに刺激的なまでの艶やかな色彩で、ときに水彩画のように淡く儚げに、あるいは有機的な造形美と目を見つをより身近に体験できる空間。近隣の観音下かながそで採掘された日華石が左右対称に積み上げられ、淡く金色に輝く神聖な佇まいは、まるで石の教会のよう。歴史の中で受け継がれてきた意匠と、新旧の<錦山窯>に触れられる場として、あるいはさまざまな文化発信の拠点として、多彩な企画展なども展開されている。

住所石川県小松市高堂町ト-18 
URLhttps://kinzangama.com/https://mutangallery.com/
備考予約制/入場無料
錦⼭窯/ギャラリー嘸旦

粟津温泉 総湯

  • 粟津温泉 総湯
  • 粟津温泉 総湯
北陸最古、名湯の共同浴場でひと休み。

北陸地方、特に石川県では共同浴場のことを「総湯」と呼ぶことをご存じだろうか。霊峰白山がもたらす効能豊かな湯をいつでも気軽に味わえる庶民的ながらなんとも贅沢な共同浴場は、地元民にとっては癒やしの場、集いの場として生活に根づいた存在。北陸最古の温泉といわれる粟津温泉にもやはり、地元の人々はもちろん、湯宿を訪れた観光客にも親しまれる総湯がある。高い天井から自然光が差し込み、広々とした休憩スペースは湯上りの火照った体をのんびり涼ませてくれる。張りたてのみずみずしいお湯と地元の雰囲気を味わうなら、ぜひ朝いちばんに訪問を!泉質はナトリウム - 硫酸塩・塩化物泉(低張性・弱アルカリ性・高温泉)。

住所石川県小松市粟津町イ79-1 
電話0761-65-1120
備考8時〜22時※最終受付21時30分/火曜休/
大人470円、子供(小学生)130円、幼児50円
粟津温泉 総湯

鮨つばき

  • 鮨つばき
  • 鮨つばき
地元に愛される名店で北陸の海の幸を堪能。

<鮨つばき>北陸を訪れたならば、寿司を食さずには帰れない!小松駅前西口から徒歩3分にある<鮨つばき>は、地元の人たちからも愛される一軒。地魚を中心に、大将が絶大な信頼を寄せる地元市場の仲卸から毎朝仕入れる新鮮なネタを味わいたいなら、まずは大将のおすすめ五貫を。ひらめ、あじ、甘エビのヅケにマグロの中トロ、のどぐろの炙りと、その日一番のネタを網羅しつつ、気の利いた一品料理で小松の味覚を堪能したい。
日本酒の品揃えも抜群で、全国から選りすぐった限定の銘酒が各種揃うが、やはり合わせたいのは地元の美酒。「手取川」の大辛口純米酒に、人気の「農口尚彦研究所」もずらり。さば棒寿しやばってらなど、押し寿司で〆るのもオツだ。

住所石川県小松市土居原町206 
電話0761-27-1896 
URLhttp://www.sushitsubaki.com/
備考17時〜24時/水曜休

TAKIGAHARA CRAFT & STAYTAKIGAHARA CRAFT & STAY

  • TAKIGAHARA CRAFT & STAY
  • TAKIGAHARA CRAFT & STAY
静かな森で、ものづくりを体感する滞在を。

この日の宿泊先に選んだのは、宿泊施設、工房、カフェが隣接するクラフトをテーマにした<TAKIGAHARA CRAFT & STAY>。築100年の古民家を改装した宿泊施設は、古と新、和と洋が緩やかに共存するデザインコンシャスな空間。目の前に佇む鞍掛山の森を探検したり、野良仕事体験や川遊びなど、滝ヶ原の自然を満喫するもよし、近くの温泉に浸かったり、敷地内の⼯房でものづくりを体感するもよし。夜は土蔵を改装した<MOSS BAR>へ。
ナチュラルワインで満たしたグラスを傾け、虫の声に包まれながら静かに眠りにつけば、翌朝は地元滝ヶ原の食材がたっぷり盛り込まれた最高の朝食が待っている! 敷地内で平飼いで育てている鶏の採れたて卵に、近くの農家から届く旬の野菜が山盛りのお惣菜、炊き立てご飯にお味噌汁。おいしい朝の食卓から、元気に新しい1日を始めよう。

住所石川県小松市滝ヶ原町タ-4 
URLhttps://craftandstay.com/
電話0761-46-5621
備考Bunk Bed Room(ベット16台の男女共用ルーム)一名一泊朝食付き5,500円〜

西山石切場跡

西山石切場跡
住所石川県小松市滝ヶ原町136
産業と文化の礎を築いた、小松の珍絶景!

<TAKIGAHARA CRAFT & STAY>がある滝ヶ原エリアを散策していると、深い緑に囲まれた山肌に突如ポッカリと現れる剥き出しの石切場に目を奪われる。
小松における石の歴史は古くおよそ2300年前の弥生時代からといわれ、ここ滝ヶ原地域では、江戸時代より良質な凝灰岩「滝ヶ原石」が採石される石切場として栄えた。戦後の最盛期には町内12箇所での採掘が進み、滝ヶ原にとって欠かせない産業であり文化に。また滝ヶ原地区には、明治から昭和初期に築造されたアーチ型石橋(市指定文化財)がかつては11橋も存在し、今でも5橋が現存。一つの地域でこれほど多くのアーチ型石橋がかけられた町は他になく、趣のある貴重な姿を今に残している。

農⼝尚彦研究所

  • 農⼝尚彦研究所
  • 農⼝尚彦研究所
「酒造りの神様」の異名をもつ杜氏が復活!

酒好きでその名を知らない者はもぐりと言っても良いだろう。現代の名工にも選ばれた能登杜氏四天王の一人と称される農口尚彦さんが杜氏を務める「農口尚彦研究所」は、酒造りに注がれる匠の技、精神、そして同氏の生き様までも、そのすべてを次世代に継承するという思いのもとに一から新設された酒蔵だ。眼前に観音下石切り場を望む、数十年前に閉校となった中学校跡地に建設された和モダンな建物を入ると、通路はこれまでの同氏の歩みを展示紹介するギャラリーとなっており、醸造室の様子も見学可能。
また、併設されているティスティングルーム<杜庵とうあん>では、茶室をイメージした静寂の空間で、小松ゆかりの極上の酒の肴と共に、蔵自慢の美酒を揃えたテイスティングコースを楽しむことができる。

住所石川県小松市観音下町ワ1−1 
URLhttps://noguchi-naohiko.co.jp/tasting_room
電話0761-41-1227
備考テイスティングルームは要予約
(WEB予約推奨)

他のおすすめ小松市周遊プランを見る

FRaU2024年1月号掲載
photo MASANORI KANESHITA 
text CHISA NISHINOIRI 
edit EMI FUKUSHIMA