心に残る閃光達へ。―3次ライヴの残像、残響 ―from 海賊先生


3年目の "閃光" まで、気づけばあと3日。
毎年、この頃になると、決まって特急列車のような走馬灯。
数時間前に3年目の募集告知をしたばかりのような時空ワープ。
耳を澄ませば未だ、1次のデモ音源の残響が鳴り、目を閉じれば、2次のスタジオ風景や、
3次のライヴ会場の残像が、3Dのように飛び出して来る。

全ての挑戦者に触れて見たくなる。

もちろん、そんな "不可能な無謀" は毎年把握している。
だからせめて3次進出アーティストは・・・と、去年までは、約50組近く、
閃光ブログで長々と触れてた結果!あまりの長尺になり、
関係各位から「ブログ的には・・・ちと長いッス!」とカッコ汗なリアクションがあったので(汗)、
今年は、この別紙にて!徒然に!記憶のファイルをダイジェストにして、
あの3次ライヴの、あの日の残響と残像をひとつまみ。

断りとして、ファイナリスト12組については、ここではちょっと省略。
だって、彼らはまだ旅の途中であり、むしろこれからが激しい旅の始まりを迎える連中だからね。
後、カラオケステージの挑戦者も、その参加特性から、ここでは省略します。(ごめんね。)

ここでは、音楽という創作物で挑戦してくれた、心に残る閃光達へ。
小さな穴から "少しだけでも届け" と叫ぶ、大きな想いと感謝を。


6/12日・土曜日。
3年目にして、初の開催となった仙台大会。
過去2年間、開催に至らなかった東北地区で、遂に閃光ライブが行われた事、会場時で既に定員オーバーを予感させるSOLリスナーズ&オーディエンス達の熱狂、新校長とーやまのMCと同時に沸騰した仙台の熱闘、全てが3年目、最初の興奮だった。
その熱気をかき分け、次々現れる北の雄! 演奏も、歌も、伝えたいキモチも、すべて本気だった「VIPS」、 "音楽とセクシ―" の相性の良さを10代にして見せつけてくれた「kazzcocks」、理屈や緊張や理由や評価なんてもんを全て忘れて、 "音楽! 楽しい! ただそれだけ" と言わんばかりの笑顔を光らせてくれた「BLUEM」、そして、スクール・オブ・ロック! で閃光に出会い、閃光で音楽に出会った事を、あんなに感謝してくれた「優佳」。1人ぼっちだったキミが、音楽に出会ったことで、仲間と笑顔にまで出会えて、それだけで本当に "閃光ライオット" を始めて良かったと、心から思うよ。キミがあの場所まで来てくれた事自体が、こちらこそ感謝です。
本当に個性豊かな仙台大会。その個性がレアであり、同世代の共感度としては、恐らく逆境とも言える "デスやメタル" の武器を取った「Bleeding The Hero」。メタルの「凄さかっこよさ」を、果敢に伝播させようとするアティチュード(姿勢)にホントに脱帽しました。
最後に「SNUFF FILMS」。Mayu!キミがステージの後、こぼした雫のカタチはホンキで、カッコよかったぜ!
あの雫の正体は何だか分らんが、今のところ俺の解析では、アレを "ロック" と呼ぶ気がします。まさにキミの言う通り! "ロックンロールは腹をすかした怪物さ!"


6/19日・土曜日、20日・日曜日。
渋谷ON AIR-WEST。
デビューした新人アーティスト達が力を合わせても、確実に満杯に出来るとは限らないこの "箱" を、2日間に渡り超満員にさせた東京エリア組全20組。
その偉業が成せたのは、出演陣だけじゃなく、そこに集い、拳と歓声を挙げてくれた全員が、 "閃光の主役" だからこそ。その歓喜の原動力となるステージが軒並み続いた。
テープカットは、仙台の「Bleeding The Hero」と同じく、10代にして逆風のジャンルを選択した、レアメタル!「Crave For Banging」。キミ達がサバに続いて、定番化された音楽シーンを解剖しちまう日をホントに楽しみにしてる!「Ypsilon」は映像世界を紡ぐ。VOの千晶は本当に美しく魅力的な深海の人魚のように音を泳ぐ。その海で獲れた真珠を "音の雫" に変えて鳴らしてくれたような「Sound Drop」。そのキラキラした海から上がれば、丘の上の木の下に座って、水平線を見ながら歌う美少女「竹井彩夏」が、その歌声で小鳥を集める。そんな映像的なアーティストが多く集った東京エリア。
「アイマイミー」は、モードでヒリヒリした70年代のカッコイイ映画を1本、観せてくれたし、「bang」は、大ヒットドラマの主題歌に、いつ抜擢されてもおかしくないような名曲を、いとも簡単に、奏でていた。♪夜の語り、今でもクルマや部屋で普通に聴いて歌ってるよ。巨漢ベースコーラスの大ちゃんの美声も忘れられない(笑)。
美声と言えば、「Re:ES」。ハナレグミ・永積タカシや、七尾旅人に並ぶ貴重な声の持ち主だと思う。各務クンの声をめったに聞けぬ天然記念ボイスに認定! (勝手に!) 貴重な声は続く。「airezias」。サイゼリアを逆から読んだみたいなバンド名のオモシロ由来とは裏腹に、福永クンの刹那成分80%以上の泣かせ声も、レアな歌声だ。それが美メロに乗って飛ぶのだから、キモチがキュンと泣くハズだ。泣くと言えば、あんなに激情な叫びなのに、何故か泣きそうになった「My Hair is Bad」。全身全霊はやはり届く。「MOL SCIENCE FICTION」もそうだった。ロックバンドがカッコイイ事を、改めて感じさせてくれた。その顕著なパフォーマーが、「The Cigar Backer」。ロックンロールの化け物と、楽しそうにダンスするイカシタバンド! パーティー・ミュージック・オンリーでも全くもってゴキゲン上等で成立するが、本当のロックンロールはどっかで痛みを伴う。それが元々ブルースから生まれたように。無差別な破天荒なんてちっぽけなもん蹴飛ばして、音一発で世界をひっくり返すヤツラに、必ず成れるバンド! 拳に愛を! 中指に憂いを! 酒が飲める年になったら朝まで飲もうぜ!(笑)(メールサンキュー!)
そして、カッコよさは成長する、という事を体現しているバンド「PONYTAIL-SCLIMB」。聴く度に、観る毎に、知らないバンドに進化する。その点では、閃光最年少の3次進出ユニット! 彼ら2人の進化には、誰もが期待している。三味線とヒップホップの融合 「SHAMHOP」。小さな強者、初ライヴにして、堂々たるリアルライマーと化す! ジャパニーズヒップホップシーンは、長きに渡り、新たなスーパーヒーロ―を待ち望んでいる! キミ達に未来の鍵を託す! そしてもう1人、マイク1本で、未来の鍵を掴んだ男は、遂に閃光のステージに昇った。「OROCHI」。キミがあの日起こしてくれた暴動が、その事実が、どれだけのリスナーズに勇気を与えたか、キミは知ってるかい?ZEEBRA曰く、 "成さねば成らぬ、なら成せば成る" ! まさにHIP HOP DREAMを有り難う!


6/26日・土曜日。
大阪を中心とする関西地区は、本当に不思議なエリアだ。
毎年、毎年途切れることなく、他のエリアに類似しない独特の個性と才能が噴出される。
ファイナリストを最も多く輩出するエリアである事実が、その活火山っぷりを証明している。そんな激戦区を戦った閃光達。イントロだけで、そのポップセンスのレベルの高さが理解出来た「Elfin Rainbow」。3ピースのロックセンスを早くも修得していた「Cafeteria」。シンプルな驚嘆だが、既にメジャーデビューしてないのが疑問に思うほどの存在感だった「Deadpan Jackass」。あんな音が出せて、あんなイケメン揃いで!(閃光スタッフ女子陣興奮!(笑))ちょっと嫉妬する程だったな。逆にそんな女子陣が嫉妬していたのが、「仮谷せいらちゃん」。もう、ちゃん付けです!(笑) 加藤ローサが閃光ライオットに遊びに来たのかと、目をこすった程のまぶしさ!! キミにその可憐な歌声と美しさを与えた神様に感謝します!(祈り)
そう、感謝と言えば、突如 "Thank you" という歌い出しだけで、僕らをトリコにした「Lilky」。キミが本当に音楽を始めたばかりなら、キミのサナギが割れた時、いったいどんな蝶になるのだろう。僕らは今年、命を育て始めたばかりの "貴重で美しい生物の発見" に携われたのかもしれない。貴重と言えば、メンバーやスタイルを変化させ、常に新しい魅力を投げ込んでくる「talks」。去年、衝動ロックを持って "ENDROLE IS END" として参戦した時とは打って変わって、今度は、色気のあるブルージーなロック。メンバーもジャンルも固定せぬままに、結局3次ライヴまで到達するのは、ズバリ "センス" の賜物。


6/27日・日曜日。
名古屋大会。2年連続で、開演前からの入場規制。
ライヴが始まる頃には、場内にいるリスナーズ&オーディエンスと、ほぼ同じ数ほどの人の列が、外で熱気を充電していた。はっきりと断言出来るが、名古屋エリアの閃光リスナーズは、間違いなく全国一の熱量を誇る!そんな名古屋会場で、今年起きた一つの波紋。ファイナリストが輩出できなかった事。この事実についてスクール・オブ・ロック!の掲示板を始め、僕個人のTwitterにまで、多くの「何故?」という意見が飛び込んで来た。
熱量が日本一の "名古屋エリア" ならではの…、当然胸は痛むものの、裏を返せば少し感動する意見でもあった。それほどまでに、真剣に光の熱を送ってくれていたのだから。 かくいう名古屋エリアも、1年目は開催されなかった。そして、3年目にして、札幌大会の開催が見送られた。これがどういう事か。オトナ的に、仕事的に、それっぽく全国バンドコンテストよろしく、閃光ライオットをやってるんであれば、必ず開催すると思う。ライヴハウスのキャンセルや、その他もろもろの日程組みの中で、突然取り止めるなど、非常に非効率であり、運営自体の圧迫に直結するからである。そんな困惑を、閃光ライオットは完全にぶっちぎる。完全に非効率な連中の集合体!なぜそんなギリギリな事をするのか!ストレートな言葉で言うよ。 "閃光ライオットは、マジでガチ!全身全霊の言い訳ナシのリアル暴動だからさ!" 当然、予定調和は蹴っ飛ばす!すなわち! それは、ファイナリストの決定時もまったくの同じマインドってこと!
先月、全世界を熱狂させたサッカーワールドカップ。決勝トーナメントに進出すのに、ヨーロッパエリアから何組、アジアエリアから何組、アフリカエリアから何組、なんてルールは一切ない。圧倒的に強かったチーム、弱くても勝ったチーム(日本代表もそうかも。)が、堂々と決勝に駒を進められる。ただそれだけのハナシであり、これからもそうだろう。来年、東京大会が開催されないかもしれない。再来年は、福岡大会からファイナリストが1組も出ないかもしれない。
その答えを知ってるのは、 "閃光ライオット" そのもの。どんな姿カタチをしてるのか、 "音楽と光の神様" みたな存在なのか、誰も知る由もないが、 "閃光ライオット" っていう得たいの知れない生命体が確実に存在して、唯一答えを知ってる。そんな感じだ。とは言え、納得出来ないのも充分理解出来る。名古屋エリアの閃光アーティスト達は強豪ぞろいだった。「THE BLACK ROAR」の気合いは、その衣装と同じく "全部黒く塗りつぶす" 程のパワーがあったし、 "まつだゆう" こと「MDY」のギターは、まるで重戦車の行進のような凄みがあった。「THE WEMMER」に至っては、驚異的な爆発物を持ったままのライヴ! いつ発火してもおかしくない状態のサウンドガン! 少し身震いしたよ。そして、百戦錬磨の感がある完全なるポップスター「Trick ster」。いつかのテレビで、CMソングとして流れてなかったか! って疑うほどメジャー感を理解してる「FLANSH」。去年、どっかの夏フェス出演してたろ!って疑うほどの貫禄を放つ「SONIC BOOM」。絵本から飛び出して来たかのようなワンダーな世界観を放つ「ミクロセンチメンタル」。MTVで、ビヨンセの次にビデオクリップが流れだしそうなほど、色気とソウルフルな歌声を踊らせた「森山ほのみ」そして、同じくMTVで、RADIO HEADの次にビデオクリップが流れてもおかしくないような音楽IQの高さを誇る「Nihi-lism」。本当に名古屋エリアの完成度、そして目指すレベルの高さには脱帽である。
最後に、1組だけとても愛しいバンドがいた。「C-sign LOSER」。今大会の出場組でバンドとしては最も表現力も演奏力も未熟だったバンドと言っていいだろう。しかし! ここでぶっちゃけると、最後までファイナリストのボーダーラインにいたのが彼らだ。これが "閃光ライオットという生命体" しか答えを知らない謎のひとつ。VO/GTの三浦弦太。その名前の通り、キミがかき鳴らすロックの弦は、太い!潜在能力、つまりポテンシャルという、目にも耳にも伺い知る事のないチカラに出会えた気がした。もちろん本人も気づいていないだろう。今のメンバーでは最後とも言っていたし、何年先になるか分からないが、もし音楽を続けて行く事があるのなら、また、いつか会おう。


7/3日・土曜日。
3次ライブのラストを飾るのは福岡大会。ここまで全会場が超満員。
福岡ビートステーションはかなり大き目な「箱」だ。果たしてどうだろう?
そんな心配の上を、ひっつの「後ろの方が大変混雑しているので、一歩前に詰めてください」、というMCが飛んで行く。3年目の閃光3次ライヴは、全会場が超満員だった。 今年の福岡は、ズバリ "個性" オンリーの、いわゆる、 "尖った閃光" が集まった。「戸渡陽太」 は凄いシンガーソングライターだ。神がかってる、と言った方がしっくりくるかもしれない。ギター1本で "地球の音" を奏でたアーティストに初めて会った。「I mono」も凄いバンドだ。バンドで10分間の物語りを演じてくれた。それはまるで高尚なロックムービーのよう。「BLUFF OF GREENHORNS」の♪三日月は名曲だ。引力の秘密を知りたくなった。「THE LOGOS」は、とにかくカッコイイのさ。クエンティン・タランティーノ監督に聞かせたら、自分の映画のサントラに抜擢するだろう。あ、タランティーノにもう1曲聴かせたいのが「151」。彼はきっとこう言うだろう。「ビンセント・ギャロなら彼女達の歌を、主題歌にするね。」そして、荒削り代表!「GANTZ」。キミ達は、絶対的に成長する! いいバンドだ! って言葉がホントに似会う3人。そのSPIRITは立派に暴動していた。


以上、ファイナリスト12組、そしてカラオケステージのメンバーを除いた、
3次ライヴ進出アーティスト達、全43組の閃光に、ささやかながら触れさせてもらいました。

挑戦してくれた素晴らしき閃光たちに。
惜しくも届かなかった眩しい閃光たちに。

改めて感謝します。

ありがとう。

さあ、そして、もうすぐ、3年目の閃光の幕が上がる。



SCHOOL OF LOCK! 代表 海賊先生より
閃光ライオット2010を終えて


閃光ライオット2010を終えて 閃光直前の歌 心に残る閃光達へ。 ファイナリストのボーダーライン

―from海賊先生