レコード会社と契約を決め、彼らが最初に放ったシングルは、チャック・ベリーのカバーソング「カム・オン」。全英チャート21位。まずまずの滑り出しを見せましたが、レコード会社としては、満足のいくものではありませんでした。彼らの人気を定着させるためには、次なる曲が必要・・・。しかし、この頃の彼らは、オリジナルを作るという意欲がありませんでした。困り果てるマネージャー。
そんな時に、マネージャーが偶然出会ったのが、ビートルズのジョンとポールでした。以前からストーンズと交流のあったジョンとポールは、マネージャーから話を聞くと、そのままストーンズのいるリハーサルスタジオへ。そこで出来たのが、彼らのセカンドシングルとなった「I Wanna Be Your Man」でした。リハーサルスタジオに向かった、ビートルズのジョンとポール。「書きかけの曲があるんだ」と、ストーンズの前でさわりを歌ったジョンとポールは、その勢いのまま、15分で曲を完成させたと言います。そして「I Wanna Be Your Man」は、ストーンズのセカンドシングルとなりました。「I Wanna Be Your Man」は、全英12位を記録。観客もアッパーな人達から、ステージに向けて金切り声をあげる10代の少女たちへと変化し、ビートルズに続く、ポップスターへの仲間入りを果たしていきます。このヒットで、ミックは音楽に専念することを決意。そして、ミックとキースによる曲作りがスタートするのです。しかし、彼らのオリジナルがヒットするまでには、時間がかかりました。最初にできた曲「It Should Be You」は、ストーンズに合わないという事で、ジョージ・ビーンというアーティストが歌うことになります。続いて完成させた「That Girls Belongs To yesterday」も、ストーンズのイメージと違うからと、アメリカのアーティストにプレゼントしてしまいます。
なかなかオリジナルがリリース出来ない中で、彼らはあきらめて、カバー曲だけでアルバム制作を始めます。そんな中、1964年にリリースされたバディ・ホリーのカバー曲、「ノット・フェイド・アウェイ」が、全英チャートで3位を記録。これをきっかけに、アメリカでのデビューが決まり、ファーストアルバム「ローリング・ストーンズ」は、イギリス国内でビートルズの「ウィズ・ザ・ビートルズ」を押しのけてNo.1を獲得。その後、何と12週間もの間、トップを走るという大ヒットになります。このアルバムのジャケットでは、笑顔を見せることなく写っているメンバー。それまでのイギリスではありえない、ハードなイメージを前面に出し、若者の心をくすぐるストーンズ。このイメージによって、ストーンズはイギリスの若者を熱狂の渦に巻き込んでいったのです。