DUNLOP presents LOVE UNITED

Every Sunday 12:30-12:55 JFN 38stations

THE ONE 音楽界の偉人を毎週1人ピックアップ。アーティストの持つ世界をみつめます

2010年10月17日(日)
Orquesta De La Luz
「SALSA CALIENTE DEL JAPON」
Orquesta De La Luz
SALSA CALIENTE DEL JAPON / Orquesta De La Luz
サルサ界で世界を代表するバンド、オルケスタ・デラ・ルス。
サルサにとっては異国の地、日本のバンドでありながら、世界に認められたバンドでもあります。そんな彼らが去年、結成25周年を迎えて決意したこと。それは・・・日本ラテン化計画!長引く不況にあえぐ日本を元気にするために彼らは、日本各地で精力的にライブを展開中です。
オルケスタ・デラ・ルスの始まりは、1984年。東京のライブハウスで、R&Bなどを歌っていたボーカルのNORAさんは、バンド仲間から、サルサを半ば強引に勧められます。初めて聞いたサルサは、ティンバレスの王様、ティト・プエンテ。はじけるリズムに鳴り響くフォン。体に巻きつくようにうねるサウンド。そして何よりも、楽しげに演奏するティトのプレイに魅了されたそうです。NORAさんはサルサの虜となり、間もなく訪れたニューヨークで体験した生のサルサは、演奏はもちろんのこと、会場で踊りだす観客にも衝撃を受け、自分でも歌ってみたい!と、帰国後、仲間を集いデラルスを結成します。しかし、サルサといえば、スペイン語。まったく話すこともできない彼女は、見よう見まねでバンドをスタート。ビデオやアルバムを聞いては、次から次へとカタカナで歌詞を書き起こし、演奏してみるという涙ぐましい日々。そんな状況の中でもサルサを歌い、サルサに包まれていると、全身に楽しさがみなぎって、さらなるパワーを感じられたそうです。もっと多くの人にサルサの楽しさを伝えたい。しかしこのままではデビューすらできない。そんな想いから、サルサの本場、NYでライブができれば道が開けるかもしれないとバンドを結成して3年目。彼女は、デモテープを片手に、単身、中南米とニューヨークを巡る旅に出ます。
中南米では、遠い異国の地、日本でサルサを歌うバンドがいるということから、大きな歓迎を受け、現地のラジオやテレビに急きょ出演するハプニングも。そして、NYでは、ラテン雑誌を片手に、エージェントに電話をかけまくります。そして出会ったのが、現地のブッキングエージェント。本当に歌えるのかと疑うエージェントの前で、NORAさんは熱くサルサを歌い踊り、感激した彼は、ニューヨークでのライブを約束してくれたのです。そして2年後。1989年。メンバーは渡米費を貯め、ニューヨークへと旅立つのですが・・・。そこには、だれも想像しない、ハプニングが待ち構えていたのです。
「Salsa con Sabor」
Orquesta De La Luz
Salsa con Sabor / Orquesta De La Luz
1989年。2年という歳月を経て、サルサの本場・NYに降り立ったオルケスタ・デラ・ルス。 しかし・・・そこには、迎えのバスは待っていなかったのです。スタートから出鼻をくじかれたメンバーを、次々とハプニングが襲います。約束は忘れられ、ライブ会場に行っても機材が用意されていない、楽器が壊れていて音が出ない、さらに約束のギャラは払われず、用意された車は小さすぎてメンバー全員が乗れない・・・。今では笑い話となっている初めてのニューヨーク体験でしたが、実際の会場では、日本からやってきたサルサに衝撃を受け、盛大な拍手が贈られたのです。そして、ライブをこなしていくうちに、彼らは念願のデビューを掴むことになります。
1990年のデビューアルバム「サルサ・カリエンテ・デル・ハポン」は、なんと、ビルボードのラテンチャートでNO1を獲得。それがきっかけとなって、中南米、ヨーロッパなど22か国でツアーを開始。ベネズエラでは、国中で自分たちの歌が口づさまれ、ほかの国でも熱烈な歓迎を受けたそうです。しかし、デラルスは、メンバーのソロ活動を尊重するため1997年、惜しまれながらも解散してしまいます。
「島唄」
Orquesta De La Luz
島唄 / Orquesta De La Luz
次なる活動を模索していた、そんな2001年。NORAさんの住むニューヨークでは、同時多発テロが起きました。NORAさんの周りにも、負傷した友達や知り合いを亡くした友人がいました。
サルサの魅力とは、なんなのか。明るいサウンド中にも人生の悲哀を歌い、そして悲しみを救ってくれる音楽。だからこそ、そのパワーをもっと知ってほしい。サルサの持つ、「悲しいけれど、明るく、気にせず」というラテン・マインドで人を繋ぎ、救う事が出来ないかと、翌年から3年連続でライブイベントを主宰し、収益金をユニセフに寄付。このチャリティーライブを機に、彼らは活動を再開。「日本にもっとサルサを!」と、積極的に活動していくのでした。
バンド結成25年を迎えて、もっとサルサを日本の人に知ってほしいと、デラルスは、日本ラテン化計画というテーマを掲げ、10枚目のアルバムをリリースしています。去年はロックフェスに参加し、今年の1月からは、東京、名古屋、大阪、宮古島と、日本を縦断しながら、熱いライブを展開しています。そして今年の12月には、セネガルで行われるライブへの出演も決定しています。
NORAさんは、不況で苦しむ日本を見て、悲しみを乗り越える強さと明るさを持った、サルサという音楽を伝えてあげたい、その為には私が歌わなければ、と使命感を感じているそうです。気分が落ち込んだ時、悲しい時、つらい時、そんな時にこそ、ラテン音楽で人とつながり、悲しみを超えてもらいたい。日本を元気にしようと奮闘するオルケスタ・デラ・ルスのサウンドは、今日もどこかで鳴り響いています。今夜は、オルケスタ・デラ・ルス をピックアップしました。

RECENT ENTRIES

RECOMMENDED ITEM DUNLOPのおススメ情報をお届け

詳しくはこちら

THE ONE(2009.04-2011.09)