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THE ONE 音楽界の偉人を毎週1人ピックアップ。アーティストの持つ世界をみつめます

2011年2月6日(日)
YUI
「to Mother」
YUI
to Mother / YUI
佇まいは儚げな美少女、という印象ですが・・・。その瞳と歌声には、力強い意志を感じますよね。
17歳でデビューしてから7年。来月には24歳の誕生日を迎えます。この揺るぎのない強さは、どんな風に形作られてきたのでしょうか?
『本気で音楽をやりたいと思っているんですけど、どうしたらいいですか?』福岡の天神で、ストリートライブを終えたアーティストに、突然、こう話しかけたYUIさん。音楽でやっていきたいと決意した時、彼女が最初にとった行動は、高校を辞めることでした。YUIさんは、1987年、福岡県に生まれます。活発に遊ぶ、元気いっぱいな女の子でしたが、物心ついたときには、お父さんはいませんでした。そして、そんなYUIさんが夢中になったのが「歌うこと」。どうしたら音楽をやれるのか?進む道がまったくわからず、そんな時に、はじめてストリートライブを見て感動し、声をかけずにはいられなかったのです。
高校を辞めるまで、YUIさんは、学校とアルバイトで、1日の睡眠時間が1〜2時間という、多忙な生活を送っていました。母親と二人暮らしのため、はじめは通信制の高校を希望していました。ところが、ある記事でサッカー選手が、「若い時は出会いを大切にして、たくさんの人と話すことが大切」と、語っているのを見て、考えを変えたのです。「通信制では、人に会う機会が少ないかも…」選んだのは、私立の女子校。しかし家計に余裕はありません。そこで、YUIさんが自分で自分に課した条件、それは「学費はできる限り、自分で稼ぐ」。そのため、アルバイトを毎日のようにこなし、睡眠時間は削られていきました。この頃を振り返ってYUIさんは、こう語っています。『時間がないので、歌も歌わなくなりました。ある日、バイトからの帰り道、自分のこれからの人生に、音楽がないことに気がついて、心にぽっかり穴が空いたようになりました。』YUIさんは無理がたたって、肺炎をこじらせ、2ヶ月の入院。この時に考えたことは、やはり音楽のことでした。『学費は、払っても払っても足りなくて、不安が蓄積されるばかり。だから、どうせ一生懸命やるなら、音楽だけやりたいという気持ちが強くなって、学校を辞めることを決意したんです。』覚悟を決めた16歳のYUIさんを、お母さんも止めることはなかったといいます。
「選択する自由はあるけれど、そこには責任がともなう。だから人は選択することを怖れる」。
これはYUIさんが、なにかの本で見つけ、覚えていた一節。YUIさんは、高校を辞め音楽を選択すれば、そこには責任が伴うことを充分すぎるほど理解していたのでしょう。だからこそ、はじめて見たストリート・ミュージシャンに、ためらいもなく声をかけ、必死で音楽のある人生を、探し始めることができたのです。自分の選択に責任を持つために、踏み出した小さな一歩。でも、この一歩が、やがて大きな成功を引き寄せることになるのです。
「feel my soul」
YUI
feel my soul / YUI
ストリートライブで出会ったミュージシャンから福岡の音楽塾をすすめられたYUIさん。それから、アルバイトと音楽塾という生活がはじまりました。音楽塾ではギターを習い、ひとりの時は田んぼや海でも練習。しばらくすると、周りの影響で、自然に曲も作るようになり、レパートリーが増えていきました。はじめて、ひとりでストリートに立ったのは、YUIさんが声をかけた、同じ場所。彼らがあぐらをかいて、ギターを弾いていた場所に、今度はYUIさんがあぐらをかいて座ったのです。
『彼らが、どういうものを見て、どういう気持ちで歌っていたのか、ずっと考えていたので同じ場所でライブをやることは、私にとって、とても意味がありました』そう語るYUIさん。緊張しながらはじめたストリートライブも、徐々に慣れ、3時間座り続けた時は、足がしびれて歩けなかったといいますが、あぐらをかいてギターを鳴らすYUIさんのスタイルは、こうして完成していったのです。音楽塾から勧められて受けたオーディションも、最終審査ではあぐらでした。レコード会社の審査員がたくさんいる中で、自分を落ち着かせようと、いつものスタイルで歌い、気が付けば福岡と東京を往復する日々がスタートします。
幸運なことに、デビューシングルは “月9”の主題歌に決定。プロデューサーと話し合って、曲を作っていくのは初めてのことで、『一日にAメロをいくつも作って、格闘の日々。葛藤、模索、試行錯誤というのが、まさに当てはまると思います。デビュー前から怒濤の日々で、無我夢中でした』。当時を振り返って、YUIさんは、こう語っています。こうして、出来上がった「feel my soul」は、暗闇の中から光を求めるような歌。“泣き疲れていたんだ”というフレーズは、この先の人生に音楽がないと思った、あの16歳の時の気持ちを歌っています。その後、ストリート・ミュージシャンの役で映画に主演したり、ドラマやコマーシャルソングの依頼を受けたりと音楽をやりたいというYUIさんの希望は叶えられ、確実なものとなりました。
「It’s My Life」
YUI
It’s My Life / YUI
YUIさんは、初心を忘れません。2度目の全国ツアーで、福岡を訪れた時のこと、最後の最後に「まだ、やらせてください」と叫び、ステージ上であぐらをかいたことがありました。『皆さんに感謝の気持ちを込めて、原点を忘れないつもりで、あぐらをかいたんです。ストリートであぐらをかいていた時は、みんなの目線が、すごく上にあったのに、今は、たくさんになって、見える光景が全然違いました。それが単純にうれしかった。』あぐらをかいて歌う限り、YUIさんは、これからもひたむきに歌い続けてくれそうです。
デビュー当時の歌は、「助けて欲しい」と訴えかけるような楽曲がたくさんありましたが、最近は、頑張っている人を励ます応援ソングが増えています。『たくさんの人と出会って、助けられてきたので、今度は感謝の気持ちを、どういう風に伝えていけばいいんだろうと考えるようになりました』。そう語るYUIさん。デビューから7年、光を探し求めていた少女は、自らの意志で道を決め、今も確実に成長しています。YUIさんが、これから目指すのは、「幸せそうに音楽をやっている大人」。もう、自分の道を決めて、次のステージへ、歩きはじめているんですね。
今夜は、YUIさんをピックアップしました。

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