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2011年5月29日(日)
鈴木雅之
「夢で逢えたら」
鈴木雅之
1980年、「ランナウェイ」でデビューし、一世を風靡したシャネルズ。顔を靴墨で塗って歌う姿・・・衝撃的でしたよね。そのシャネルズのリーダーとして、メンバーをまとめていたのが鈴木さん。シャネルズはその後、ラッツ&スターと名前を変え、ソロ・アーティストとしても活動を始めました。シャネルズのメンバーで、現在も歌手を続けているのは、鈴木さんただ一人。そんな鈴木さんには、どんな愛が隠れているのでしょうか。
『自分にとっての先生は、仕事においても人生においても、オヤジだった』
1956年。東京の大森で町工場を経営する両親もとに生まれた鈴木さん。幼い頃から、機械を操る父の背中を見て育ち、長男である自分は、家業を継ぐのが当たり前だと思っていました。お姉さんの影響で音楽に目覚めたというのは、有名。お姉さんが集めていたレコードに写る、男性のスーツ姿に憧れ、ホウキをマイクに、ブラックミュージックを歌いだしたのが、鈴木さんの始まりでした。小学生の頃は、もっぱら、ステレオのある子ども部屋がステージ。お姉さんと一緒にレコードを聴き、ダンスのステップを踏んでいると、お父さんも入って来て一緒に踊り出す…そんな温かい家庭でした。ブラックミュージックからスタートした音楽への興味は、グループサウンズやフォークソング、ロックにも向かい、中学高校ではギターやドラムを覚えて、バンド活動をスタート。家業を手伝いながら学校へ行き、放課後はバンドの練習やダンスフロアでステップを踏む、そんな生活を続けていたそうです。ところが、高校二年のある日、悲劇が襲います。バイクの事故で、ドラムが叩けなくなってしまったのです。しかたなく、ギターに転向するも、今度は、仕事中に機械で指の神経を痛め、ギターも断念。立て続けに起きた2度の事故で、鈴木さんは音楽をあきらめてしまいました。高校も辞め、仕事場とダンスフロアで過ごす日々。しかし、そんな生活が3年ほど続いた頃、鈴木さんは映画「ブルース・ブラザース」を観てふと、あることを思います。それは、ジェームズ・ブラウンが歌いあげるシーン。『 オマエにとって音楽は、ドラムを叩くことでも、ギターを弾くことでもない。声でしょ』って言われた気がしたんです』。そう語る鈴木さん。
「ランナウェイ」
シャネルズ
この出来事がきっかけになり、鈴木さんは、当時の遊び仲間とシャネルズを結成。ドゥー・ワップなどを歌うバンドをコピーし、ライブやコンテストに出場していきました。ただし、それはプロになりたいからではありませんでした。「仲間で楽しむこと」、鈴木さんにとっては、それが音楽。
コンテストへの出場は、あくまでも腕試し。しかし、鈴木さんは、あるコンテストで世の中には、すごいバンドがいっぱいいる…という現実を知ります。シャネルズが出場したコンテスト「East West」には、当時、サザンオールスターズや、カシオペアの姿がありました。鈴木さんは、彼らの存在を知り、自信を見事に打ち砕かれてしまったのです。それ以来、仕事にも身が入らず、惰性で動く日々。ところがそんな姿を見かねて、声をかけた人がいます。それは、お父さんでした。「オマエ、今のままでいいの?」尊敬する父の言葉で、我に返った鈴木さん。それから、鈴木さんには目標ができました。その目標とは、「1年後のEast Westに挑戦し、アマチュアのトップになること」。そして、「トップになったら、解散すること」でした。
アマチュアのトップを目指し、2度目のコンテストに挑戦したシャネルズ。ボーカル・グループとバックバンドによるショーのような見せ方を考え出し、さらに強化したのが、ファッション。他のバンドと一線を画すため、憧れていたコンポラスーツに身をかため、さらにインパクトが足りないと、顔を黒く塗っての出場!結果は…残念ながらグランプリを獲得することはできませんでしたが、このコンテストがきっかけとなり、シャネルズは、新宿にある伝説のライブハウス「ルイード」に出演するようになりました。それからというもの、リーダーとしての仕事は多岐に渡りました。彼らの練習は、鈴木さんが、ハーモニーを完全にコピーすることからはじまります。それぞれのパートを歌ってテープに吹き込んでメンバーに渡し、メンバーは、そのパートだけを練習して、最終的に合わせるというやり方。すべては、鈴木さんの音感が頼り。また鈴木さんは、“ドゥー・ワップと言えばシャネルズ”ということを知ってもらうために、売り込みも積極的に行います。大滝詠一さんのラジオ番組にテープを送って存在をアピール。名刺を作り、人脈を広げていきました。しかし、やはりこれは、プロになりたいからではありませんでした。鈴木さんが、メンバーに言っていたこと、それは「絶対に仕事を辞めるな」ということ。「本職があるから、音楽を楽しくやれる」。そう考えていました。ところが、決断を迫られる時がきます。ライブハウスでの人気が高まり、デビューの話が出てきたのです。真っ先に考えたのは、お父さんのこと。デビューすれば、家業を継ぐという、長男としての責任が果たせないかもしれない・・・。しかし、お父さんは、鈴木さんに、こう言ったそうです。『俺一代で終わってもいい。オマエが好きなことをしろ』。この言葉に背中を押され、ついに、メジャーデビュー。「ランナウェイ」は、いきなり100万枚を超えるヒットとなりました。人生の節目節目に、愛情あふれるアドバイスをくれたお父さん。現在の鈴木さんは、父の愛なくしては、存在していないのかもしれません。
「見上げてごらん夜の星を」
鈴木雅之
今年、ソロ・デビュー25周年を迎える鈴木雅之さん。音楽の道へ進むよう、背中を押してくれたお父さんは、今はもういません。
鈴木さんのデビューを誰よりも喜び、最初のファンになってくれたお父さん。そんなお父さんに、鈴木さんはいつも、感謝の祈りを捧げて、ステージに上がっているといいます。はじめは「仲間で楽しむこと」のひとつが、音楽だった鈴木さんですが、今では、お父さんの愛に応えることが、音楽を続けるひとつの原動力。
鈴木さんの音楽への愛は、お父さんへの愛でもあるのです。
今夜は、鈴木雅之さんをピックアップしました。
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