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THE ONE 音楽界の偉人を毎週1人ピックアップ。アーティストの持つ世界をみつめます

2009年10月4日(日)
Patti Smith
「Because the Night」
Patti Smith Group
Because the Night / Patti Smith Group
1946年12月30日。寒さの厳しい年の瀬に、アメリカ、シカゴで生まれたパティ・スミス。体が細く病弱だった彼女は、音楽を愛し、読書を愛する、夢見がちな少女でした。そんな彼女は、16歳のときにアルチュール・ランボーの詩と出会い、ポエムという、心の中に渦巻いていた激しい気持ちを表現する喜びを見つけ、やがてほとばしる思いを絵画や彫刻へとぶつけていきます。
しかし、毎日が単調に過ぎていく家族との田舎暮らしに嫌気がさし、画家になることを夢見、パティは一人、ニューヨークへ旅立ちます。
60年代から70年代のアメリカと言えば、ベトナム戦争に揺れる時代でした。当時の若者たちは平和を願い、彼らの思いは声となり、音楽となり、精神的で文化的なインスピレーションがあふれる時代でもありました。平和への動きが活発になる中、アートスクールで出会ったのが、フォトグラファーのロバート・メイプルソープ。
彼と出会い、恋をし、自分をより理解してくれるロバートの導きによって、パティは、自分の中のエネルギーをどうアートで表現していくべきなのかを学んでいきます。コミュニケーションを強調する彼女のサウンドは、当時のパンク界の中でも、もっとも洗練された美しい言葉で歌われるメッセージでもありました。
「Frederick」
Patti Smith Group
Frederick / Patti Smith Group
時代を作る女として注目されていた彼女は、自らのスタイルを追い求めるようにプライベートでも、数多くのアーティストと恋を重ねていきます。劇作家のサム・シェパード、ニューヨークパンクのカリスマ、トム・ヴァーレイ・・・
そして、彼女にとって最愛の人となったのが、爆音と過激なパフォーマンスで警察からも目をつけられていたパンク・バンド、MC5のギター、フレッド・スミスでした。
彼との出会いによって、それまでトゲのあった彼女の言葉はなりを潜め、1979年にリリースしたアルバム「ウェイブ」は、フレッドへの愛がつづられたアルバムとなりました。
1979年秋。そんな彼との愛に生きようと、パティ・スミス・グループとしての活動に幕を閉じます。
パンクの女王と呼ばれたパティ・スミスが活動を休止したのは、1979年の秋。翌年の春、フレッド・スミスと結婚。ニューヨークからデトロイトに引っ越した彼女は、長男ジャクスンを授かり、台所で奮闘する幸せな生活を送っていきます。
しかしそんなある日、フレッドに「人民には力がある。そのことを書けよ」と言われたことがきっかけとなり、再び、作詩活動を開始。レコーディングをスタートさせます。
準備期間中に、彼女は、二人目の子ども・ジェシーを身ごもり、40歳の誕生日には、家族そろっての写真を、かつての恋人で、よき理解者であるロバート・メイプルソープに撮影してもらい新しいパティ・スミスとしての準備を進めていきます。
「Changing Of The Guards」
Patti Smith
Changing Of The Guards / Patti Smith
しかし、そんなレコーディングのある日。当時、エイズにむしばまれ死の淵にいたロバートが、スタジオで新曲を聴いている最中に他界。そして1990年、かつてのバンドメンバーが死去。さらに1994年、最愛の夫、フレッド・スミスが体調を崩し、11月に急死。またかつてツアーマネージャーとして彼女を支えた弟、トッドまでもが、12月に心臓麻痺でこの世を去ってしまいます。
次々に愛する人を亡くし、人生が大きく変わっていく中、パティは、大きな悲しみを背負いながらも、この世を去って行った人々への愛を真正面から受け止め、詩人としてパフォーマーとして、その想いを普遍的なラブ・ソングへと昇華させていきました。
現在公開されている映画「パティ・スミス〜ドリーム・オブ・ライフ」は、夫のフレッドが亡くなった翌年の1995年から、11年にも渡って彼女を追ったドキュメンタリー作品。ステージで激しいパフォーマンスをする彼女の姿はもちろん、今は亡きいとしい人たちへ想いを馳せている穏やかな彼女など様々な姿を見ることができます。
人々の苦しみを感じ取り、共に涙し、そんな苦しみから人々を解放するために言葉をつづる女神、パティ・スミス。
今夜は、パティ・スミスをピックアップしました。

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