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THE ONE 音楽界の偉人を毎週1人ピックアップ。アーティストの持つ世界をみつめます

2009年12月6日(日)
John Lennon
「All You Need Is Love」
The Beatles
All You Need Is Love / The Beatles
ジョン・レノンがこの世を去って29年。
彼の望んだ平和は、29年たった今、かなえられているのでしょうか?
第二次大戦のさなか、うぶ声をあげた、ジョン・レノン。行方不明となった父。他の男性との愛に走った母。そして、そんな彼を育ててくれた叔母のミミ。決して恵まれた家庭環境ではありませんでしたが、それゆえ、愛の大切さ、平和の大切さに目覚めていきます。
ロックンロールに目覚め、1962年にビートルズとしてデビュー。アイドルとして世界を熱狂させながらも、ビートルズは、「愛」について歌い続けました。当初は、個人的な愛について歌うことが多かったビートルズでしたが、1967年6月、史上初めて、世界24カ国を結んで放送された衛星生中継番組で、ビートルズは「愛こそすべて」を歌います。この曲は、この番組のためにジョンが書き下ろした、世界に向けた「愛」のメッセージでした。1966年に来日した際、記者会見で、「名誉と財力を得た今、次に何を求めるか」と聞かれ、彼はこうメッセージを残しています。
「平和。いかなる意味においても平和だ」と。
それまでの記者会見やインタビューでも、たびたび戦争反対のメッセージを放っていましたがアイドルとしての人気が先に走り、彼らのメッセージは軽く流されることが多かったのです。
「Give Peace a Chance」
プラスチック・オノ・バンド
Give Peace a Chance / プラスチック・オノ・バンド
1966年。ビートルズがライブ活動を停止した後、ジョンは、それまで長かった髪を切り、眼鏡をかけて、映画「ぼくの戦争」に出演。世界のアイドルだったジョン・レノンがとった行動は世界中で続いている無意味な戦争への意思表示だったのです。そう、もはや自分は、アイドルとしてのジョン・レノンではないと、世界に示したのです。そして、同じ年の11月。生涯のパートナーとなるオノ・ヨーコと出会います。
彼女の持つパワーが、彼の中で渦巻いていた愛と平和というものを一つにし、次々と行動を起こしていきます。1968年6月からスタートした「どんぐりイベント」。二人の出会いと愛を象徴したこのイベントは、やがて世界の元首に平和について考えてもらおうとどんぐりを贈る活動へとつながっていきます。
同じ年、12月に行われた「バッグ・イン」では、人種差別や偏見に反対するため、大きな白い袋に入って、肌の色や外見で人間を判断することの無意味さを訴えました。そして、翌年、1969年。新聞記者たちを集めて平和をベッドの上から語るという、皆さんもご存じの「ベッド・イン」を行います。
そこで生まれた名曲が、この曲です。
「Happy Xmas (War Is Over)」
John & Yoko The Plastic Ono Band
Happy Xmas (War Is Over) / John & Yoko The Plastic Ono Band
様々な物議をかもしながらも、世界に向けて「ラブ・アンド・ピース」のメッセージを送り続けるジョン・レノン。もちろん、ライブ活動でも平和のために歌い続けていきました。1969年9月。トロントで行われたショーに出演。「Give Peace a Chance」を歌い、会場が大合唱で包まれます。そして、その年の12月。ユニセフのチャリティ・ショー「ピース・フォー・クリスマス」ではジョージ・ハリスン、エリック・クラブトンなどに参加を呼び掛け、「WAR IS OVER」を歌います。そして、1969年12月には、世界の11都市で、「WAR IS OVER IF YOU WANT IT = 戦争は終わる、あなたが望めば」と書かれた広告を一斉にかかげ、世界中で平和を訴えます。その後、カナダの首相と会見した際、「私もできることすべてをやっていこうと思っています」と首相が語るほど、彼らの熱意が一国の首相の心を動かすという成果を上げました。
しかしここから、しばらくジョンとヨーコの二人の活動は休止されます。そこには、こんな思いがありました。
「自分の人生に対する姿勢が、ほかのみんなにも影響を与えるんだ。ぼくらは影響を与えたと同時に、みんなから影響を受けているんだ。ジョンとヨーコは若者の平和運動のリーダーになる気はないよ」平和を願うリーダーではなく、一人ひとりの生き方こそが世界を動かしていく。ひとりの小さな行動が、やがて大きなうねりとなっていくことジョンは望んでいたのです。
ジョン・レノンが残した愛あふれる名曲の数々。そして、ヨーコと共に「ラブ・アンド・ピース」を訴え続けたその姿勢は、世代を超えて今なお、多くの人の心の中に生き続けています。
オノ・ヨーコさんは、ニューヨークのテロの時にも、1969年のキャンペーンと同じく、「イマジン」の歌詞を全面広告にして、「ラブ・アンド・ピース」のメッセージを世界中に発信されていました。
世界中に「愛と平和」のメッセージを送り続けたジョン・レノン。しかし、世界は未だ愛と平和に満ちあふれた世界だとは言えません。我々が立ち止まってしまったとき、愛と平和という言葉を見失ってしまったとき、ふと見つめる場所、原点に戻る場所、それがジョン・レノンという存在なのではないでしょうか?
今夜は、ジョン・レノンをピックアップしました。

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