Every Sunday 12:30-12:55 JFN 38stations
2010年7月11日(日)
小野リサ
「星の散歩」
小野リサ
水曜日、7月7日に、20年にわたる音楽活動を網羅したベスト・アルバムを発表した小野リサさん。
日本において、ボサノバを普及させた第一人者であり、ボサノバの世界へと、私たちをいざなってくれる案内人でもあります。そんな彼女は、ブラジル・サンパウロ生まれ。両親が日本からブラジルに移り住み、そこでレストランとライブハウスを営む家庭で育った彼女は、ライブのリハーサルから席の最前列に座り、生のブラジル音楽に浸ってきました。また、音楽を愛するブラジルだけに、生活に音楽があふれ、掃除をしながら踊ったり、大人も子供も様々なコスチュームに身を包み、楽しく踊る幼少時代を過ごします。そんな彼女が日本にやってきたのは、10歳の時。御両親と共に帰国し、日本での生活がスタートします。常にサンバにボサノバ、そして、クラシックにブラジル・ポップスと色彩豊かな音楽に触れていただけに、ブラジルが懐かしくて仕方がない彼女は、おこづかいを握りしめて、ブラジル音楽のアルバムを集めていきます。そして、14歳の時。自由に一人で歌えるギターを始め、15歳の時には、すでに小さなクラブで歌い始めていたそうです。ブラジルと日本を往復する生活。そんな生活を続けながら歌い続けてきた彼女は、1989年。初めてのアルバム「カトピリ」をリリース。日本がバブルの絶頂に向けて、ビートのきいた音楽があふれる中、囁くように人生を歌うボサノバは、日本人にとって新鮮であり、ネイティブのポルトガル語で歌う彼女に、日本中が夢中になっていきます。そして、1991年と92年には、連続してゴールドディスク大賞を受賞。99年にリリースしたアルバム「ドリーム」に至っては、ボサノバのアルバムとしては異例の20万枚を売り上げ、日本におけるボサノバの第一人者として、その地位を不動のものへとしました。
「イパネマの娘」
小野リサ
彼女が繋いだ日本とボサノバの活動で忘れられないもの。それは、ボサノバの生みの親でもある、アントニオ・カルロス・ジョビンとの共演。彼女自身も夢のようなひと時を過ごし、ボサノバのスタンダードを、改めて私たちに教えてくれる素敵な瞬間でした。
私たちとボサノバを繋いでくれる、小野リサさん。
今では、その活動の場を、NY、パリ、イタリア、ポルトガル、ハワイ、中国、韓国、台湾、タイ、シンガポールなどへと広げています。そして、今年2月にリリースされたアルバム「アジア」では、アジア各国の曲を現地の言葉で歌い、小野リサ・テイストのボサノバへと昇華させています。そんな彼女が大切にしている事、それは「気持ちいい音楽、楽しい音楽は、楽しい生活からしか生まれない」という事。音楽の三大要素、メロディー、リズム、ハーモニーがバランスよく融合しているボサノバだからこそ、そのサウンドに身をゆだね、その時の気分を歌にのせることができ、歌の持つパワーが最大限に発揮されるのです。
「ake Me Home Country Roads」
小野リサ
ライブでは、観客と一体となって音楽を楽しみ、音楽を通して観客と時間を分かち合う、その時が、彼女にとって至福のひとときなんだそうです。
ライブでは、お客さんとのシンパシーや演奏家同士のコミュニケーションによって、同じ曲を演奏しても、日によって違う音が生まれるもの。その一瞬一瞬は形には残らないけど、心の片隅に、幸せな気持ちや高揚した感覚が残っていく。そんな美しい時間を愛する彼女は、自分の内面にじっくりと向き合う時間も大切にしています。「自分の内面を豊かにする事で、流れる時間も、濃密になっていくと思うんです。」そう語る彼女は、全てがすごいスピードで流れる今だからこそ、聞いてくれる人たちに、ひと時の休憩をしてもらえれば、少しでもゆったりした気分になってもらえれば。と、今日もどこかで歌うのです。
「おっとりとしたしゃべり方は母親譲り」という小野さん。しかし、そのベースあるのは、サンバやボサノバで培われた、間合いの美しさなのではないでしょうか。歌っても、しゃべっても、彼女が醸し出す雰囲気に、いつまでも浸っていたくなる。そんな癒しのオーラを放つ彼女は、これからもボサノバで私たちの心を救ってくれるはずです。
今夜は、小野リサさんをピックアップしました。
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