Vol.47 「伝統こけし」 青森県
東北の山間地で生まれた「伝統こけし」。
「伝統こけし」は、東北地方特有の風土で育まれた木地を挽いてできた玩具の一種です。
特に温泉地を中心に発達しました。
木工職人が器や盆などを作るかたわら、湯治客相手に子供のおもちゃとして作ったのが、
はじまりだといわれています。
戦後、こけしの技法を用いて東北に限らず全国で作られるようになった「おみやげこけし」や
「創作こけし」がブームとなり、それらと差別化するために「伝統こけし」と呼ばれています。
東北の地方ごとに独特の形態や模様、表情を持った様々な「伝統こけし」が根付き、
今日まで長きにわたって継承されているのです。
全国の5000本にも及ぶこけしを展示、販売をしているこけしの情報拠点が、
青森県の黒石市にあります。
「津軽こけし館」、山田拓郎(やまだ・たくろう)さんにお話を伺いました。
「最近増えてきたのが、“こけし女子”という言葉もあるんですけども、
30代から40代ぐらい、今までにはちょっといなかった若めの層の方、
特に女性の方が、だいたい10センチ前後のこけしをよくお買い求めになるために
遠方から来ているんですよ。」
日本全国に増えてきた、「こけし女子」。
「伝統こけし」の魅力を山田さんはこんな風に語ります。
「やっぱり手作り作品で、木目が違ったり、同じような顔の表情をしていても、
必ずどこか違いがあります。
人間と同じで十人十色というか、一点ものというのが、選びがいがありますので、
少しだけでも、手に取って見てもらえる機会が増えればいいなと思います。」
同じように見えても、1つ1つ表情がちがう「伝統こけし」。
寒い東北に根付く暖かい伝統工芸、これから先もきっと新しい表情を見せてくれることでしょうね。