みらい図鑑

VOL.143「和竿」 埼玉県

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埼玉県の川口市で、200年以上の伝統を誇る産業が「釣竿づくり」です。
材料は、竹。
天然素材の竹で出来た釣竿、
ほんの数十年前までは、これが日本のスタンダードでした。


※昭和30年頃、青木町の和竿製造業者

「竹独特のしなりというか、粘りというか、“あたり”っていうんですけどね。
魚が掛かってからの手元に来るまでの感覚がすごく繊細で、
釣竿は、竹に敵うものはないと思うんですけどね。」

竹に敵う釣竿はない、そう教えてくれたのは、
埼玉県の伝統工芸士で「山野和竿店」、二代目の山野正幸(やまの・まさゆき)さんです。



弾力性に優れ、鋭い反発力を持っているのが天然の竹の特徴。
曲げてもしなやかに戻るため、魚に違和感を感じさせないといいます。

そして、手元に伝わる微妙な“あたり”の感触は、竹の釣り竿ならでは。
手応えのある釣りを楽しむことができるのが、和竿の魅力です。



和竿で使う竹は、竿の種類とその調子によって使い分けられます。

竹には、「新子」と呼ばれる一年竹、「二年子」と呼ばれる二年竹、
そして、「古竹」と呼ばれる三年以上の竹があり、
それぞれの特長によって、用いる竿の部位も異なるんだそうです。

「この釣竿づくりは、竹の伐採から製品をつくるまでのひととおりを、
一人の職人が作業します。
やっぱり竹選びがいちばんのキーになりますかね。」





すべての工程をひとりでおこなうことで、職人の想いが込められている「竹の釣竿」。
国内はもちろん、最近ではアジアにヨーロッパと、海外からの問い合わせが多いそうです。

和竿の実演販売、竹釣竿教室など、様々なイベントもおこなっている「山野和竿店」。
自分の手で素材の竹を触って、製造工程を体験して、
ようやくできあがった竿を水面(みなも)に垂らす。

これぞ、和の心を携えた、究極の釣り、、、ですよね。