みらい図鑑

VOL.180「手ぬぐい」

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持ち歩きやすく、水に濡れても乾きやすい。
お出かけのお供として、何かと重宝するアイテムといえば、「手ぬぐい」です。

創業1872年の老舗、東京・日本橋に店を構える「戸田屋商店」では、
木綿の「糸」そのものを手作業で染めていく、「注染(ちゅうせん)」という昔ながらの技術で、
手ぬぐいを作っています。

注染の手ぬぐいは、両面が表です。

機械を使って模様をプリントした手ぬぐいの場合、色が乗るのは片面だけですが、
それに対して、「注染」は、表面も裏面も同じように染められているのが特徴です。

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※型紙
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※染め上がり

プリントと違って染料を注ぐので、糸まで色が入る伝統工芸「注染」。
にじみやぼかしを自由に生みだしながら、
深い味わいをまとった「手ぬぐい」が出来上がります。

「戸田屋商店」、風間勝己(かざま・かつみ)さんに伺いました。

「手前どもでやっている本染めの場合は、職人さんが、糊付けをして、
やかんで一つずつ色を刺していくわけですね。
それから水洗いをして、天日で干していくので、機械はほとんど使っていないんですよ。
職人さんが手作業でやっているので、効率はものすごく悪いんですが、
その分、いいものができるんですよね。」

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40年近くこの仕事に携わってもなお、日々勉強という風間さん。
まずは、気に入ったデザインや柄でお好みの手ぬぐいを手に取ってもらい、
その先に、染め方にも興味を持ってもらえると嬉しいと語ります。

「みなさんに、ぜひ、手ぬぐいを使ってほしいというのが、私たちの想いですね。
本染で染めた注染の手ぬぐいも、プリントで染めた手ぬぐいも使ってください。
その良し悪しは、使ってみないとわからないんですね。

注染染めは、染めた後、半年経っても一年経っても二年経っても、全然、飽きないんですよ。
捨てられないというか。
ボロボロになるまで使っていらっしゃる方もいるので、
ありがたいなと思っているんですけども。」

ほぼ全ての工程を、職人さんが手作業で作っていく「手ぬぐい」。
注染染め手ぬぐいの奥深さは、使えば使うほど、実感できそうですね。