みらい図鑑

VOL.193「スライスようかん」

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スライスチーズならぬ、「スライスようかん」。
これまでにないスタイルで「ようかん」を提案しているのは、
京都に店舗を構える創業1803年の老舗和菓子店、『亀屋良長』(かめや・よしなが)。

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ようかんの形状は、薄いスライスチーズのようなシート状。
丹波大納言小豆の粒あんようかんに、
沖縄の塩を効かせたバターようかんとケシの実がトッピングされています。

これを食パンに乗せて一緒にトーストすると、羊羹がグツグツと溶けていきます。
上に乗せているバターようかんがトロっととろけてきたら完成。
手軽に小倉バタートーストが楽しめるようになります。

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「スライスようかん」が生まれたきっかけは、なんでもない家族の日常なんだそうです。
『亀屋良長』、8代目の女将・吉村由依子(よしむら・ゆいこ)さんに伺いました。

「うちに子供が二人いるんですが、
一人はあんこがすごく好きで、パンにあんこを塗って欲しいと。
もう一人はチーズが好きなんです。
たまたま、あるとき、パンにスライスチーズをパッと乗せたときに、
“すごいな、すごい楽やな”と思ったんです。
スライスチーズのような手軽さで、餡を塗れたらいいなと。
言うなれば、スライスようかんは私の面倒くさがりなところからスタートしているんですね。」

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餡は冷えると固くなるので、塗りにくいのが難点。
それをシート状にすることで手軽にさっと使える一品に変身。
吉村さんの「めんどくさい」から始まったアイデアですが、
今までありそうでなかった、楽しい商品になりました。

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パンに乗せる「スライスようかん」を通して、
和菓子の美味しさや奥深さと出逢う人が増えているという吉村さん。

「和菓子って、好きな人しか和菓子屋さんに行かないと思うんですが、
すごくお客さんの幅が広がった気がしています。」

老舗和菓子店だからこそできる、時代や生活のニーズに合わせた商品開発。
気軽な手土産としても喜ばれそうですね。