みらい図鑑

VOL.229「蚊遣り豚」

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蚊取り線香を焚く豚の器、「蚊遣り豚 (かやりぶた)」。
江戸時代から続く、古き良き、日本の夏の風物詩です。

最近では見かける機会が減ってきましたが、
三重県・菰野町にある、「万古焼(ばんこやき)」の窯元のひとつ、
「松尾製陶所(まつおせいとうじょ)」では、今も「蚊遣り豚」を作っています。

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三重県四日市市の代表的な地場産業で、
指定無形文化財に指定されている「万古焼」。

耐熱性の特徴を活かした急須や土鍋とともに、「蚊遣り豚」も有名です。

「松尾製陶所」の蚊遣り豚は、線香が出し入れしやすいように、ひとまわり大きいのが特徴。

ポピュラーな形の他にも、パカっと蓋が開くような「座り豚」や、
ミニ線香の入る「ミニ豚」も製造しています。

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菰野町の「万古焼」を若い世代にも伝えたい、と
「松尾製陶所」では、地元の小学生たちに、授業の一環として土に触れる機会を作っています。

「松尾製陶所」、二代目の松尾徹也(まつお・てつや)さんのお話です。

「松尾製陶も、小学校の工場見学というのか、見学コースに入れてもらっているんですね。
実際に見て、触ってもらうと、
“後を継ぎたい”、“ぼくもやりたい”と言ってくれます。」

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「万古焼」の後継者不足が深刻ななか、
その伝統を守っていくためにどうすれば良いか、
若い人に職人になってもらうには、、、と、日々考える松尾さん。

「実際、大きくなったら、やりたいことも変わると思いますが、
小学生の頃に触った経験があると、何かの機会に、
“あ、小さいときに土に触れたな “と思い出しますよね。
どのように伝統を守っていくかということは、大事なことだと思います。」

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松尾さんは、「蚊遣り豚」を作って30年。
少しずつ遊び心を加えることで、若い世代にも関心を持ってもらえたら、と、
毎年、模様を変えながら、新作を作り続けています。

豚の姿を見てほっとした気分になり、線香の香りで夏の情緒を感じる「蚊遣り豚」。
世代を越えて愛される日本の文化が、この先も続くといいですね。