2008年5月25日
中島敦 『山月記』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

明治から昭和にかけて生きた作家・中島敦の代表作「山月記」。中国に伝わる「人虎伝」を題材にした短編小説です。「中国が唐の時代、秀才の誉れ高い李徴は自尊心が強く自分の身分に満足できませんでした。詩人として名声を残そうとしますが挫折。その後、山に姿を消したまま、行方知れずになってしまいます。それから1年後、李徴の旧友であった袁惨が山の中で李徴に再会。しかし彼は今や虎の姿になっていたのです。」という物語。「漢語的表現の多い難しい文体ですが、読み始めると端正な美しさを感じる作品。最後のシーンはまるで映画のよう。」と小川洋子さんもその魅力について語ってくださいました。

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