2008年6月1日
フランツ・カフカ 『変身』
心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

主人公は、平凡なセールスマン「グレゴール・ザムザ」。彼がある朝、不安な夢から目覚めると、驚くようなことが起きていました。ベッドにいる自分の姿がとてつもなく大きな1匹の虫に変わっていたのです。こんな不思議なシーンからはじまるフランツ・カフカの「変身」。80年以上にもわたって世界中で読み継がれている文学遺産です。カフカがこの作品を書いたのは29歳の時。作家としては無名だったため、役所勤めをしながら執筆活動を続けていました。しかし文学と仕事の二重生活で肉体的にも精神的にも疲れていたと言われています。つまり「変身」の主人公ザムザは、当時のカフカの心そのものだったのです。

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