2011年05月15日
クレア・キップス
『ある小さなスズメの記録』
 (文藝春秋)

羽に障害を持っていたそのスズメはクラレンスと名付けられ、以後12年間、キップス夫人と生活を共にします。時にピアノの演奏にあわせて歌ったり、トランプやマッチをくわえたり、才能豊かなクラレンス。平凡な生活の中にスズメがいるだけで、これほどまでに幸せを感じることができるのか。あらためて人間の幸せとは何なのかを考えるきっかけにもなる本です。あとがきには、翻訳者の梨木香歩さんによるこんな言葉も綴られています。「かつて人の傍らに在って、今は亡き、すべての「同伴者」たちに、このささやかな訳業を捧げたい」・・・きっとこの本は、その同伴者を愛したすべての人の心にも、小さな光を灯すのではないでしょうか?

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