2013年12月08日
山崎豊子
『花のれん』
 (新潮文庫)

「花のれん」の主人公は多加という女性。船場の呉服店に嫁ぎ、夫を支えながら頑張っていますが、夫の吉三郎の道楽がすぎたため店が潰れてしまいます。そこではじめるのがなんと「寄席」。「あんさんが一番好きなことを一番本気になってしはるのやおまへんか、やるからには本気でやっておくれやす」という多加の言葉に吉三郎もその気になるのです。二人が大阪の天満で寄席をはじめて3年。突然、吉三郎が亡くなってしまいます。それも愛人の家で。そこからはじまる多加の頑張り。商売一筋に生きる姿が描かれています。強さだけでなく失ったものも多い多加の人生。「花のれん」は生きることを描いた人間賛歌の小説です。

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