2013年12月15日
三島由紀夫
『潮騒』
 (新潮文庫)

三島由紀夫というと、以前取り上げた「金閣寺」と今回の「潮騒」はかなりタイプの違う小説。解説を書かれている文芸評論家の佐伯彰一さんもこう綴られています。「潮騒は、平和で静穏な小説であり、この作家として例外的に犯罪も血の匂いも閉めだされた世界なのである」。それだけ三島由紀夫はスケールの大きな作家。出会う素材によっていくらでも自分の領域を広げられるということでしょうか?ちなみに「ダフニスとクロエ」をモチーフに小説を書きたいと思ったのは、彼が出かけた世界旅行がきっかけになっています。そのハイライトがギリシャ。この旅の体験の昂奮の続きに書いたと三島由紀夫自身も書いています。

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