2014年01月05日

紀貫之『土佐日記』
 (角川ソフィア文庫ビギナーズ・クラシックス)

明けましておめでとうございます。心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

2014年最初に取り上げたのは紀貫之の「土佐日記」。古典文学の代表作として学校で習った方も多いと思いますが、あらためて読んでみると興味深いことの数々。まず作者である紀貫之について。「古今和歌集」の撰者としても知られる歌人ですが、実は平安時代のお役人だったとか。土佐守として赴任することとなり、4年の任期を終えて京の自宅まで戻る55日間の旅を描いたのが「土佐日記」です。さらに男性なのに女性のふりをして綴っています。官僚としての自分を解放し、自由な立場で文学を書いてみたいと紀貫之は思ったのでは。その想いから生まれたのが、日記という形を借りたひらがなによる新しい文学だったのです。

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