2017年8月13日
高見順
『死の淵より』
 (講談社文芸文庫)

昭和39年8月に発表された詩集「死の淵より」で、野間文芸賞を受賞した高見順。しかしその1年後に亡くなっています。葬儀は日本文芸家協会、日本ペンクラブ、日本近代文学館の3つの団体葬でおこなわれました。というのも実は高見順は亡くなる3年ほど前から伊藤整らとともに、日本近代文学館の設立をすすめる活動をおこなっていたからです。日本の近代文学は、関東大震災や戦禍、言論弾圧など数々の苦難を超えて発展してきたもので、その資料の収集と保存の必要性を高見順は強く感じていました。それは自らも昭和のはじめ、治安維持法違反で検挙された経験があったからかもしれません。メロディアス・ライブラリーでも放送したことがある目黒区駒場の「日本近代文学館」は、高見順の文学への想いが残る場所のひとつです。

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