2018年4月8日

石牟礼道子
『水はみどろの宮』
(福音館文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

1927年、熊本県天草に生まれ、生後3ヶ月で水俣に移り住んだ石牟礼道子さん。32歳の時、「水俣病の事実を直視し記録しなければならない」と決意。10年の歳月をかけて記録文学「苦海浄土」を発表されました。その後も小説、詩歌、童話など様々な作品をとおして、近代社会の矛盾や、自然と共生する人間のあり方を伝えられてきました。残念ながら今年の2月10日、90歳で亡くなられています。今回は石牟礼道子さんが残した童話の中から代表作のひとつ「水はみどろの宮」を味わってみました。主人公はお葉という7歳の少女です。両親は亡くなり、渡し守の千松爺と暮らすお葉は、一生懸命に爺さまの手伝いをしています。

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