2018年4月8日

石牟礼道子
『水はみどろの宮』
(福音館文庫)

千松爺の舟に時々乗ってくる犬がいました。耳のきっと立っている「らん」という名前の茶色の柴犬。ある大雨の日、お葉の心の支えになったことから「らん」は千松爺の家の犬になり、お葉を連れて山に入っていくようになりました。それをきっかけに「ごん」という白い狐や「おノン」という黒猫と出会うお葉。さて彼女の運命にはどんなことが待っているのでしょうか?「水俣のことで長い間、沈潜している思いがある。エネルギーをたくわえ、自分自身を焚かなければならない。そんな火を焚く祈りの場所を「水はみどろの宮」ときめて、わたしは、山の精たちをここに呼び出した」と石牟礼道子さん。題名になっている「みどろ」とは濁りのことだったのです。

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