2018年7月22日

デュマ・フィス
『椿姫』
(光文社古典新訳文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

イタリアの作曲家ヴェルディが、1853年に発表して現在も世界的に知られているオペラ「椿姫」。その原作はフランスの作家アレクサンドル・デュマ・フィスの小説です。パリの社交界で金持ちの貴族を相手に奔放な日々を送る高級娼婦マルグリットと青年アルマンの物語。大筋は知っていても実際に小説を読むと、その趣はまた違います。「私」という物語の語り手が、とあるアパルトマンで家具や骨董品が競売にかけられていることを知ります。それはなんとマルグリットの遺品。すでに彼女が亡くなったあとから物語が始まります。その後、青年アルマンにも出会う「私」。彼の口から二人の悲恋が語られていきます。

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