2018年10月7日

大佛次郎『鞍馬天狗』
(小学館・鶴見俊輔セレクション1角兵衛獅子)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

嵐寛寿郎主演の映画でも人気の「鞍馬天狗」。原作は、大佛次郎が大正13年から昭和40年まで、42年にもわたって新作を発表した時代小説のシリーズです。今回は、その中から特に人気の作品「角兵衛獅子」を味わってみました。昭和2年から3年まで「少年倶楽部」という月刊少年雑誌に連載されていた小説。1日の稼ぎをなくして途方に暮れる角兵衛獅子の少年・杉作を、鞍馬天狗が助けるところから物語がはじまります。神出鬼没で腕がたつ勤王の志士である鞍馬天狗。新撰組の近藤勇とのスリルある対決にも息を飲む。発表から90年たった今の時代に読んでもワクワクドキドキ、読むページが止まらない時代小説の傑作です。

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