2018年10月7日

大佛次郎『鞍馬天狗』
(小学館・鶴見俊輔セレクション1角兵衛獅子)

作者の大佛次郎は、外交官にしたいという父親の希望に従って東大の法学部に入学。しかし本人にその意志があまりなく、大学時代は外国文学と演劇に夢中になり、新劇の女優と学生結婚。大学卒業後は、学校の非常勤講師や翻訳の仕事などもしていましたが、生活費に困ることもあったとか。そんな時、娯楽小説の執筆を勧められ、小遣い稼ぎとして大正13年から時代小説を発表。この年から「鞍馬天狗」が登場する作品を書き始めました。大佛次郎というペンネームもその頃から使うようになったとか。当時、鎌倉の大仏の裏手に住んでいたからこの名前を思いついたということです。ペンネームも、「鞍馬天狗」という作品も、気軽に考えたものが、作者にとっては一生関わる大切なものになりました。

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