2018年11月04日

須賀敦子
『コルシア書店の仲間たち』
(文春文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

イタリア文学の翻訳家で、随筆家の須賀敦子さん。1958年、29歳の時にイタリアのローマに留学。その後31歳でミラノに移り住み、当時この町にあった「コルシア・デイ・セルヴィ書店」の仕事に携わるようになります。キリスト教の殻にとじこもらず、人間のことばを話す場を作ろうという理念のもと生まれた「コルシア書店」。この場所に集う人たちとのつながりを綴ったエッセイ集が「コルシア書店の仲間たち」です。創設者のひとりダヴィデ神父をはじめ、理想を夢見ながらそれぞれの現実や悩みをかかえる仲間たち。登場人物のひとりひとりがまるで彫刻のように立体的に描かれていて、その誰もが孤独に寄り添いながら生きています。

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