2018年10月28日

須賀敦子
『コルシア書店の仲間たち』
(文春文庫)

「メロディアス・ライブラリー」では、須賀敦子さんの没後10年にあたる2008年、最初のエッセイ集「ミラノ 霧の風景」を取り上げました。そして没後20年となる今年味わったのは2番目のエッセイ集「コルシア書店の仲間たち」。須賀敦子さんが69歳で亡くなる6年前の1992年に刊行されました。あとがきにはダヴィデ神父が亡くなったことが綴られていて、その中の言葉が印象的です。「人間のだれもが、生きなければならない孤独と隣あわせ」「人それぞれ自分自身の孤独を確立しないかぎり、人生は始まらない」。そして須賀さんはこう結んでいます。「孤独が、かつて私たちを恐れさせたような荒野でないことを知ったように思う」。

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