2019年03月03日

ロスタン
『シラノ・ド・ベルジュラック』

(光文社古典新訳文庫)

ロスタンの戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」がなぜこれほどまでに臨場感があるのか?その理由のひとつは「アレクサンドラン」というフランスで代表的な詩の形式で書かれていることです。1行が12音節から成る「アレクサンドラン」。その1行の詩句を二人、さらに複数の人物のセリフに分ける「渡り台詞」になっていて、読むとまるでそれぞれのセリフがスイングしているように響いてきます。ところで「シラノ・ド・ベルジュラック」にはモデルがいました。フランスの剣術家で哲学者、作家だった彼は、1619年3月6日生まれで今年は生誕400年。マルチな才能があるところは戯曲と同じですが、実在の「シラノ」は戯曲で表現されているほどには鼻が大きくなかったとか。その部分は劇作家ロスタンによるアイデアだったのかもしれません。

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