2020年03月15日

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ
『なにかが首のまわりに』
(河出文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

番組にもリクエストをいただき、書店でも人気となっている「なにかが首のまわりに」。ナイジェリア生まれの女性作家チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの短編集です。ナイジェリアやアメリカを舞台にした12の小説が収められていて、その表題作は、2001年の作品。もともと「アメリカにいる、きみ」として発表され、その後何度も書き直し、「なにかが首のまわりに」という題名で完成しました。主人公はナイジェリアからアメリカにやってきた女性。コネティカットの小さな町のレストランで働き、稼いだお金の半分をナイジェリアの両親に送っています。ときどき自分を見えない存在のように感じ、夜になると何かが首のまわりに巻きついてきて、窒息しそうになって眠りに落ちます。

...続きを読む