2020年05月31日

メリメ
『カルメン』
(光文社古典新訳文庫)

翻訳を手がけられた工藤庸子さんの解説によると、カルメンはボヘミアン、ドン・ホセはバスク人。どちらも国家の枠におさまらない民族で、この小説はそれぞれの民族のアイデンティティが物語の構造に深くかかわっているということです。作者であるフランス人のメリメは、この小説を執筆する前にスペインを旅してこの題材を思いつきました。ちなみにオペラ「カルメン」の初演は1875年ですが、その5年前にメリメは66歳で亡くなっているためオペラを観ることは出来ませんでした。またオペラを手がけた作曲家ビゼーは、パリで「カルメン」が上演された日から3ヶ月後、心臓発作を起こし急死。36歳という若さでした。

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