2020年10月18日

キャサリン・マンスフィールド
『見知らぬ者』

(新潮文庫『マンスフィールド短編集』)

代表作「園遊会」も今回の「見知らぬ者」も、人生の中の重大な一瞬が、短い物語の中に切り取られています。それはまるで長編小説のような広がりを持ち、読者は主人公の過去や未来を想像することができるのです。ニュージーランドで生まれ、イギリスで作家活動をおこなっていたマンスフィールド。ある音楽家と短い結婚生活を送りますが、1912年、24歳の頃に文芸評論家のジョン・ミドルトン・マリーと恋に落ちます。しかし前の夫がなかなか離婚に応じなかったため、ようやく1918年にマリーと結婚。彼の深い理解によって、マンスフィールドは数々の作品を発表します。その頃に書いたのが「園遊会」や「見知らぬ者」。しかし残念なことに結核のため、34歳という若さで亡くなっています。

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