2021年2月7日

トルーマン・カポーティ
『冷血』第一週
(新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

毎年2月には、2週にわたって長編小説を味わう特集をお届けしている「メロディアス・ライブラリー」。今年選んだのは、トルーマン・カポーティが1965年に発表した「冷血」です。アメリカのカンザス州、ホルカムという村で実際に起きた殺人事件を取り上げた作品。カポーティは、3年という時間をかけて取材をおこない、ノート6千ページにも及ぶ資料をもとに書き上げました。ルポルタージュでもなく、フィクションでもないこの作品を自ら「ノンフィクション・ノヴェル」と名付けたカポーティ。事実をもとにしながら、そこには確かにカポーティという作家でしか描けない独自の世界が存在します。

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