2021年3月7日

柳美里
『JR上野駅公園口』
(河出文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今年は、東日本大震災から10年を迎えます。3月11日を前に味わったのは柳美里さんの小説「JR上野駅公園口」。柳美里さんは、東日本大震災の発生後から被災地の福島県南相馬に通われ、現在そこにお住まいになられています。「JR上野駅公園口」は南相馬での時間をとおして生まれ、2014年に発表されました。韓国、フランス、イギリス、ポーランド、そしてアメリカでも翻訳され、昨年11月には「全米図書賞」の翻訳文学部門も受賞しています。上野駅公園口の改札を出て、横断歩道を渡ったところにある「上野恩賜公園」。ここは東北出身のホームレスが多く、物語の語り手もそのひとりです。

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