2021年8月8日

ヘルマン・ヘッセ
『庭仕事の愉しみ』
(草思社文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

ノーベル文学賞も受賞しているドイツの文豪ヘルマン・ヘッセ。しかし彼の人生の道のりは穏やかなものではありませんでした。1877年、南ドイツの牧師の家庭に生まれ、神学校に進みますが、13歳の頃から「詩人になりたい」と強く願い、神学校を逃げ出します。その少年時代の体験がもとになって生まれたのが小説「車輪の下」。また1914年、37歳の時に、第一次世界大戦が勃発。ヘッセは平和主義を唱え続けますが、次第に精神のバランスを崩していきます。やがてヘッセが親しく付き合う相手は人間ではなくなっていきました。そのひとつが「庭」。「庭」は彼の日常の中に欠かせないものになっていったのです。

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