2021年9月26日

庄野潤三
『ザボンの花』
(講談社文芸文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

今年生誕100年の庄野潤三さん。そして2009年9月21日、88歳で亡くなられています。命日にあわせて代表作の長編小説「ザボンの花」を取り上げました。1955年(昭和30年)に「プールサイド小景」という短編小説で芥川賞を受賞。その3ヶ月後に「ザボンの花」の新聞連載がはじまっています。のどかな麦畑の中で暮らす矢牧家の日常を綴った作品。第一章を読むだけでも温かな気持ちになります。長男の正三は、春から小学4年生。妹のなつめと弟の四郎が近所の家で遊んでいるので迎えにいきます。その途中で「ひばりの子」を助ける正三。小さな命を救うことを通して成長した少年の心を温かな眼差しで描いています。

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