2021年11月14日

ドストエフスキー『おかしな人間の夢』
(『白夜/おかしな人間の夢』
光文社古典新訳文庫)

その作品を書いた作家のことを知らなくても、小説そのものとして楽しめる作品もあれば、作家が生きた国や時代背景などを知っているからこそ、より深く味わえる作品もあります。「おかしな人間の夢」は後者。読んでいくうちに、ドストエフスキーが生きた時代のロシアはどのような状況にあり、彼はどんな理想を持って生きていたのかを知りたくなります。翻訳を手掛けられた安岡治子さんの解説によると「この小説ではドストエフスキーの様々な作品のテーマ、モチーフ、登場人物に遭遇する」ということです。今回取り上げた「おかしな人間の夢」を入り口に、奥深く続くドストエフスキーの世界。やはりいつか「罪と罰」や「カラマーゾフの兄弟」と言った大長編小説にも挑んでみたくなります。

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