2022年1月2日

森鷗外
『青年』
(新潮文庫)

心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。

2022年は、森鷗外の没後100年。そして生誕160年。幕末の文久2年1月19日、島根県に生まれています。それにちなんで今年最初に取り上げたのは、森鷗外の「青年」。明治43年から44年にかけて、文芸雑誌「スバル」に掲載されていた森鷗外にとって初の長編現代小説です。物語の主人公は、作家を志して上京してきた小泉純一という青年。著名な作家のもとを訪ねたり、講演を聞きに行ったり、イプセンの舞台を観たりはするものの、一向に小説を書く気配はありません。日記ですら毎日書くことができない様子。そんな主人公は、偶然知り合った未亡人の家を訪ね、親しくなり、彼女を追って箱根へ向かうのです。

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