2022年1月2日

森鷗外
『青年』
(新潮文庫)

作家であり、陸軍軍医でもあった森鷗外。明治39年1月、日露戦争から凱旋。翌年、陸軍軍医総監、陸軍省医務局長の地位に就いています。そして明治42年からは作家として創作活動を再開。その年に創刊された文芸雑誌「スバル」に、次々と作品を発表していきました。そのひとつが「青年」。実はこの作品は、夏目漱石の「三四郎」に影響を受けて書いたのではないかと言われています。小説「青年」の興味深い部分のひとつは、夏目漱石をモデルにした人物が登場すること。実際に鷗外と漱石は、正岡子規の家で開かれた句会などで数回会ったことがあるとか。鷗外は漱石を意識し、認めていたということが、小説「青年」を読むと伝わってきます。

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