2022年12月4日

ケストナー
『動物会議』
(岩波書店)

『動物会議』の原案は、イェラ・レープマンという女性によるものでした。彼女はユダヤ系のジャーナリストで「戦争によって荒廃した人々の心、特に子どもたちの心に栄養を。それにはいい本を」と考え、のちに国際児童図書評議会へと発展する組織を立ち上げました。その時、とりわけ親身に相談にのったのがケストナーだったそうです。『動物会議』を今あらためて読むと、いかに人間が進歩していないかを感じます。戦争は今も繰り返され、子どもたちの未来に暗い影を落としています。また白クマが乗った氷山が溶けてしまうという内容は、すでに地球温暖化を訴えていることも伝わってきました。動物のこんな言葉が印象的です。「人間の首脳会議はこれが87回目。おれたちの会議はこれが最初で最後だ!」

...前に戻る