昭和35年に発表された『秋日和』。そこまで昔ではないけれど、「この時代ってこんなかんじだったのね」と新鮮な驚きとともに読みました。奥ゆかしく潔癖な母娘、余計なお世話に先走るおじさんたち、言っていることと態度が伴わないおばさんなどが繰り広げる物語は、さして大きな事件が起こるわけでもなくほぼ日常なのですが、なんとも上品な世界で小津安二郎が愛したというのも納得です。ただ一人異彩を放っていたのが佐々木美也子という若い女性。友達の知り合いのおじさんに面識もないのにいきなり連絡をして愚痴を聞いてもらいながら豪華なご飯を食べさせてもらったり、そのおじさんが自分を女性として警戒していると上から目線で評するなど、彼女だけが宇宙人のような存在でした。小津映画では岡田茉莉子さんが演じています。
（アシスタント:藤丸由華／藤丸のブログはこちら!）
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