2021.1.21
◆恩師・野村克也監督の教え
丸山:昨年10月、いまは亡き野村克也さんの教えを伝えた本「師弟」(講談社)が出版されて。これはもともと2016年に刊行されたもので、今回の文庫化にあたり加筆されたと。
宮本:はい。
丸山:野村さんが昨年2月にお亡くなりになられて……2月で1年になりますけど。
宮本:そうですね。
丸山:野村さんの存在というのは、やはり大きかったですか?
宮本:そうですね。プロに入って最初に出会ったのがよかったと思うんですよ。これからどうやってプロの世界で生きていかなければいけないのか、完全に方向性を出してくれたというか。
丸山:野村さんの本当の顔ってどんな感じの人なんですか?
宮本:やさしいと思います。“この選手が成功するには?”とか“このチームが勝つには?”ということが大前提で。厳しいことを言われたり、文句を言われたりするのは、認めてもらっている証拠なので。
丸山:なるほど。
宮本:無視・称賛・非難とあって。無視されているときは、別にチームにも害もないし放っておくと。称賛は、ちょっと活躍するとすごく褒めてくれるんですよ。で、非難されるというのは一流選手の証。
丸山:ほぉ。
宮本:そこまで求めているから怒るんだよと。それがまたよく怒られるんですよ(苦笑)。4年目の頃なんか“早く(監督を)辞めないかな”と思っていたんですよ。
丸山:ハハハハハ! そういうときもあるんですね。
宮本:でもいま考えると、もうちょっと長く(一緒に)やりたかったなと。そしたらもっといい選手になっていたんじゃないかって。
丸山:野村さんが監督時代に言っていた「ID野球」ってどんなものなんですか?
宮本:基本的には、データを駆使して。ミーティングで面白いなと思ったのは、投手心理とバッター心理を分けて。例えば、1ボールだったら次はストライクがほしいじゃないですか。そうすると、(コースが)少し甘めに入ってくるから「それを狙っていきなさい」とか。
丸山:なるほど。
宮本:ストライクが先行していると、ボール球も投げられるから「謙虚にいきなさい」と。そういったことや、相手のデータを照らし合わせて「お前は、ここは打つな」とか「ここを打っていこう」とミーティングでやっていくわけです。
丸山:うん。
宮本:野村監督になってヤクルトスワローズ(現:東京ヤクルトスワローズ)が強くなっていたから、どんなミーティングをするんだろうって興味があるじゃないですか。キャンプでは毎日あるんですけど、驚いたのはどういう話をするのかと思ったら、最初は「君たちはプロ野球選手だけど一社会人だ」と。そこから人間教育の話なんですよ。
丸山:ほぉ~。
宮本:あれ!? 野球の話、全然始まらないなっていうのが4~5日間くらい、1クールず~っと。(読売巨人軍の)V9時代の川上哲治さんをものすごく尊敬されていらっしゃったので、チームを強くするためには、そこからちゃんと教育していかないと野球もうまく回っていかないと。だからそういったミーティングもすごく大事なんだと。
丸山:なるほど。
宮本:最初は(野村監督から)怒られないようにという感じでしたけど、だんだんできるようになってくると、“監督はなにを求めているのか”という考え方に変わってくるので。いろいろと教えていただきました。
◆もう1度ユニフォームを
丸山:またユニフォームを着たいですか?
宮本:最初、監督業ってそこまで興味がなかったんですよ。コーチとして戻ったときも、チームが負けていたので「力を貸してほしい」ということで戻ったんです。
丸山:うん。
宮本:1年目は結果が出たんですけど、2年目は良くなくて。僕のなかで、上がって下がってはダメで、徐々に上がっていかないといけないと思っていたので、小川(淳司)監督が辞めるタイミングで一緒に辞めたんですけど。
丸山:なるほど。
宮本:でも、(1軍ヘッドコーチを)辞めてから“もう1回やらんとあかんだろう”って。こればっかりは縁の問題なので、できるかどうかはわからないですけど、声をかけていただいたときにちゃんとできるように準備しておかないといけないなと思っています。
丸山:宮本さんは、90年代の強かった時期のヤクルトスワローズにいたわけじゃないですか。いまの若い選手たちにそれをまた見させてあげたいという思いもあるでしょ?
宮本:そうですね。
丸山:山田(哲人)くんとか、すごいスター選手もいるし。1点差で負けた試合もいっぱいあるじゃないですか。その1点ってなんなんだろうと思うと、すごく深い話ですよね。
宮本:それをみんなが求めてくれるとね。プロ野球の難しいところって、チームが最下位でも(バッターは)3割30本100打点打てば給料が上がるんですよ。
丸山:そっか、個人競技でもあるんだ。
宮本:そこをいかに“勝利至上主義”のなかで実力至上主義ができるかどうかですよね。例えば、えこひいきや好き嫌いが見えるとしらけちゃうので。勝つために、この選手、こういう選手を使いたい。じゃあ、この競争で勝ち上がってきた選手を使うというふうにやると文句は出ないですよね。
丸山:なるほど。自分の感情は押し殺さないといけない部分があると。
宮本:そうですね。1軍に上がってきたばかりの選手がよく「チームのために頑張ります!」って言うじゃないですか。いやいや、お前は1軍に定着することだけをまず考えろと(笑)。で、1軍にはいるけどレギュラーじゃない選手は“どうすれば、レギュラーになれるか”でいいと思うんですよ。
丸山:うん。
宮本:レギュラーになって、よっぽどじゃないとスタメンを外されないような選手、東京ヤクルトで言うと、山田哲人や青木宣親とか。こういう選手は絶対にチームを1番に考えてやらないといけない。
次回1月23日(土)の放送は、手相芸人・島田秀平さんをゲストに迎え、お届けします。お楽しみに!
「AuDee(オーディー)」では丸山茂樹のスピンアウト番組「MARUYAMA RADIO」が配信中! 丸山プロがゴルフに関する質問、疑問、人生相談などに答えます。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができます。
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▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2021年1月24日(日) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
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<番組概要>
番組名:英語のアルク presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/
元ヤクルト・宮本慎也、恩師・野村克也監督と「もう少し長く(一緒に)やりたかった」
プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「英語のアルク presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY」。1月16日(土)の放送は、前回に引き続き、元プロ野球選手の宮本慎也さんが登場しました。
◆恩師・野村克也監督の教え
丸山:昨年10月、いまは亡き野村克也さんの教えを伝えた本「師弟」(講談社)が出版されて。これはもともと2016年に刊行されたもので、今回の文庫化にあたり加筆されたと。
宮本:はい。
丸山:野村さんが昨年2月にお亡くなりになられて……2月で1年になりますけど。
宮本:そうですね。
丸山:野村さんの存在というのは、やはり大きかったですか?
宮本:そうですね。プロに入って最初に出会ったのがよかったと思うんですよ。これからどうやってプロの世界で生きていかなければいけないのか、完全に方向性を出してくれたというか。
丸山:野村さんの本当の顔ってどんな感じの人なんですか?
宮本:やさしいと思います。“この選手が成功するには?”とか“このチームが勝つには?”ということが大前提で。厳しいことを言われたり、文句を言われたりするのは、認めてもらっている証拠なので。
丸山:なるほど。
宮本:無視・称賛・非難とあって。無視されているときは、別にチームにも害もないし放っておくと。称賛は、ちょっと活躍するとすごく褒めてくれるんですよ。で、非難されるというのは一流選手の証。
丸山:ほぉ。
宮本:そこまで求めているから怒るんだよと。それがまたよく怒られるんですよ(苦笑)。4年目の頃なんか“早く(監督を)辞めないかな”と思っていたんですよ。
丸山:ハハハハハ! そういうときもあるんですね。
宮本:でもいま考えると、もうちょっと長く(一緒に)やりたかったなと。そしたらもっといい選手になっていたんじゃないかって。
丸山:野村さんが監督時代に言っていた「ID野球」ってどんなものなんですか?
宮本:基本的には、データを駆使して。ミーティングで面白いなと思ったのは、投手心理とバッター心理を分けて。例えば、1ボールだったら次はストライクがほしいじゃないですか。そうすると、(コースが)少し甘めに入ってくるから「それを狙っていきなさい」とか。
丸山:なるほど。
宮本:ストライクが先行していると、ボール球も投げられるから「謙虚にいきなさい」と。そういったことや、相手のデータを照らし合わせて「お前は、ここは打つな」とか「ここを打っていこう」とミーティングでやっていくわけです。
丸山:うん。
宮本:野村監督になってヤクルトスワローズ(現:東京ヤクルトスワローズ)が強くなっていたから、どんなミーティングをするんだろうって興味があるじゃないですか。キャンプでは毎日あるんですけど、驚いたのはどういう話をするのかと思ったら、最初は「君たちはプロ野球選手だけど一社会人だ」と。そこから人間教育の話なんですよ。
丸山:ほぉ~。
宮本:あれ!? 野球の話、全然始まらないなっていうのが4~5日間くらい、1クールず~っと。(読売巨人軍の)V9時代の川上哲治さんをものすごく尊敬されていらっしゃったので、チームを強くするためには、そこからちゃんと教育していかないと野球もうまく回っていかないと。だからそういったミーティングもすごく大事なんだと。
丸山:なるほど。
宮本:最初は(野村監督から)怒られないようにという感じでしたけど、だんだんできるようになってくると、“監督はなにを求めているのか”という考え方に変わってくるので。いろいろと教えていただきました。
◆もう1度ユニフォームを
丸山:またユニフォームを着たいですか?
宮本:最初、監督業ってそこまで興味がなかったんですよ。コーチとして戻ったときも、チームが負けていたので「力を貸してほしい」ということで戻ったんです。
丸山:うん。
宮本:1年目は結果が出たんですけど、2年目は良くなくて。僕のなかで、上がって下がってはダメで、徐々に上がっていかないといけないと思っていたので、小川(淳司)監督が辞めるタイミングで一緒に辞めたんですけど。
丸山:なるほど。
宮本:でも、(1軍ヘッドコーチを)辞めてから“もう1回やらんとあかんだろう”って。こればっかりは縁の問題なので、できるかどうかはわからないですけど、声をかけていただいたときにちゃんとできるように準備しておかないといけないなと思っています。
丸山:宮本さんは、90年代の強かった時期のヤクルトスワローズにいたわけじゃないですか。いまの若い選手たちにそれをまた見させてあげたいという思いもあるでしょ?
宮本:そうですね。
丸山:山田(哲人)くんとか、すごいスター選手もいるし。1点差で負けた試合もいっぱいあるじゃないですか。その1点ってなんなんだろうと思うと、すごく深い話ですよね。
宮本:それをみんなが求めてくれるとね。プロ野球の難しいところって、チームが最下位でも(バッターは)3割30本100打点打てば給料が上がるんですよ。
丸山:そっか、個人競技でもあるんだ。
宮本:そこをいかに“勝利至上主義”のなかで実力至上主義ができるかどうかですよね。例えば、えこひいきや好き嫌いが見えるとしらけちゃうので。勝つために、この選手、こういう選手を使いたい。じゃあ、この競争で勝ち上がってきた選手を使うというふうにやると文句は出ないですよね。
丸山:なるほど。自分の感情は押し殺さないといけない部分があると。
宮本:そうですね。1軍に上がってきたばかりの選手がよく「チームのために頑張ります!」って言うじゃないですか。いやいや、お前は1軍に定着することだけをまず考えろと(笑)。で、1軍にはいるけどレギュラーじゃない選手は“どうすれば、レギュラーになれるか”でいいと思うんですよ。
丸山:うん。
宮本:レギュラーになって、よっぽどじゃないとスタメンを外されないような選手、東京ヤクルトで言うと、山田哲人や青木宣親とか。こういう選手は絶対にチームを1番に考えてやらないといけない。
次回1月23日(土)の放送は、手相芸人・島田秀平さんをゲストに迎え、お届けします。お楽しみに!
「AuDee(オーディー)」では丸山茂樹のスピンアウト番組「MARUYAMA RADIO」が配信中! 丸山プロがゴルフに関する質問、疑問、人生相談などに答えます。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができます。
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聴取期限 2021年1月24日(日) AM 4:59 まで
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番組名:英語のアルク presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/