2021.5.8
◆2012年ロンドンオリンピックでの名台詞
丸山:松田くんは、2004年アテネオリンピックから4大会連続でオリンピックに出場し、4つのメダルを獲得。そして、平成を代表するスポーツ界の名台詞「(北島)康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかないと思いました」は、かっこよかったね!
松田:ありがとうございます。
丸山:康ちゃん(北島康介さん)もだけど、水泳選手ってよく名言を出すよね。
松田:レースが終わって2~3分後のインタビューなので、言葉にリアリティがあるんですかね? 余計なことを考える暇もないし、そのとき本当に思った言葉がポンと出るので。
丸山:その作らないピュアな言葉がきっといいんだろうね。だからみんなが心打たれるんだと思う。このとき(2012年ロンドンオリンピック)、康ちゃんは年齢を重ねていて「おそらくこの大会が最後だろう」なんて言われながら、個人で成績が出ていなかったこともあるけど、(男子400mメドレーリレーでは)“康ちゃんのためにも頑張ろう!”って思いだったの?
松田:僕だけがそう思っていたわけではなくて、チームのみんなが思っていたことなんですよね。あのときの康介さんは、いままでとはちょっと違うアプローチでオリンピックに臨んでいて。アメリカを拠点に、アメリカのコーチに指導してもらいながら、惜しくも(個人では)メダルに手が届かなくて。
丸山:うん。
松田:僕は、最初に出場した2004年アテネオリンピックではメダルを獲れなくて……オリンピックでメダルを獲れなかったときの悔しさが自分のなかにめちゃくちゃ残っていたんです。それが逆にモチベーションとなって、北京、ロンドンと頑張れたんですけど。
丸山:なるほど。
松田:メダルを獲れない悔しさを、やっぱり康介さんには“味わってもらいたくない”という気持ちが、自分のなかではすごく強くて……それでこの言葉だったんですけどね。
丸山:いいなぁ~。松田くん自身、オリンピックにたくさん出ていますけど、最初のアテネ大会のときって何歳だったの?
松田:大学2年生で20歳でした。岩崎恭子さんが(1992年バルセロナオリンピックで)14歳で金メダルを獲ったとき、僕は8歳だったんですけど、テレビで観て“こんなすごい舞台があるのか”と感じて。
丸山:水泳は小さい頃からやっていたの?
松田:4歳からやっていました。
丸山:岩崎恭子ちゃんの水泳を(テレビで)観て、“その舞台に出てみたい!”という目標ができたと。
松田:そうですね。“いつか自分もあの舞台に行きたい!”と思ったのは覚えていますね。
丸山:“自分もその舞台に行ける”とポテンシャルを感じたのはいつ頃なの?
松田:リアリティを持って“オリンピックを目指そう”という気持ちになったのは、2000年シドニーオリンピックの選考会で3位だったときに“あともうちょっとで行けたんだ”って。
丸山:なるほど。
松田:2位の選手と3位だった自分との差はタイムで数秒だったんですけど、圧倒的な差は、2位の選手は“絶対にオリンピックに行く!”という気持ちですずっと準備をしてきたんですけど、僕はなんとなく“頑張って行けたらいいな”ぐらいの気持ちだったんですよ。それは(気持ちのうえで)全然違ったなって。
丸山:前もってやってきていることの準備が違うと。でも、その準備なしでその順位になったことはある意味、自信にもなったでしょ?
松田:そうですね。次のアテネは“絶対に行く!”という気持ちで準備しようとそのときに誓ったんです。そこからは、そのためにはどうすべきかと(行動が)具体的になっていきましたね。
◆現役時代に後悔していることは?
丸山:自分のなかで“こうしておけばよかった”っていう後悔はありますか?
松田:結果で悔しかったのは、2012年ロンドンオリンピックで金メダルに届かなかったのが一番悔しかったです。0.25秒差だったので、その差をなんとかして埋められなかったのかというのは、いまでも悔しさとして残っています。後悔というか、もうちょっとこうしたらという意味で言えば、4年に1回のオリンピックに向けて、人より速く泳げるようになるには準備の時間、準備の早さがほとんど勝負を決めるんです。
丸山:うん。
松田:もっと早くから金メダルにターゲットを絞って、準備の期間をもう少し長く取れて、トライアンドエラーがもうちょっとできていれば、結果が返られていたかもしれないという思いはありますね。
丸山:なるほど。
松田:自分が現役の頃にはやっていなかったようなトレーニングを、いまの選手はやっているので、それを1ヵ月でも1年でも早くできていればパフォーマンスを変えられた可能性はあるかもという思いはあります。日々進化していますからね。
◆松田丈志から見た池江璃花子選手の“凄さ”
丸山:あと、松田くんに聞きたいんだけど、池江璃花子選手の復活をどう見ていますか?
松田:この間のオリンピック選考会で4冠を達成して、オリンピック出場を決めて。それ自体、本当にすごいことで、彼女じゃなければ絶対に成し得なかったことだと思います。いまの池江選手を客観的に見て、“心技体”があるとしたら“体”はまだ全然戻っていないと思うんですよ。
丸山:うん。
松田:体の筋肉の量やスタミナとか、一番よかったときと比べてたぶん7割ぐらいの状態だったと思うんですけど、日本選手権で4冠を達成できたのは、なにがすごかったかと言うと“技”と“心”なんですよ。
丸山:なるほど。
松田:泳ぎの技術は、僕から見ても(もし自分が)現役時代にこの泳ぎができていたら“もっと速かっただろうな”と思うぐらい卓越しているんですよ。水の“捉え”、キャッチが上手いかどうかで水泳はほとんど決まるんですけど、水の捉えがめちゃくちゃ上手い。
丸山:そうなんですね。
松田:“心”の部分で言うと、本人も(オリンピックに)行けると思っていなかったのに行けたわけですよ。そんなことってアスリートではなかなかないことで、思っていてもいけないことがほとんどじゃないですか。彼女もまわりも“無理だろう”と思っていたことをやれてしまう。決勝という大事なときに自分の120%を引き出せる力は、すごいなと思いますね。
次回5月8日(土)の放送も、引き続き松田さんをゲストに迎え、お届けします。お楽しみに!
「AuDee(オーディー)」では、時間の都合上カットしたトーク部分も盛り込んだ「ディレクターズカット版」がアップされています。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができますので、ぜひそちらもチェックしてください。
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▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2021年5月9日(日) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
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<番組概要>
番組名:NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/
池江璃花子選手の復活劇に、元競泳日本代表・松田丈志「泳ぎの技術は、卓越している」
プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY」。5月1日(土)の放送は、元競泳日本代表でメダリストの松田丈志さんをゲストに迎え、お届けしました。
◆2012年ロンドンオリンピックでの名台詞
丸山:松田くんは、2004年アテネオリンピックから4大会連続でオリンピックに出場し、4つのメダルを獲得。そして、平成を代表するスポーツ界の名台詞「(北島)康介さんを手ぶらで帰らせるわけにはいかないと思いました」は、かっこよかったね!
松田:ありがとうございます。
丸山:康ちゃん(北島康介さん)もだけど、水泳選手ってよく名言を出すよね。
松田:レースが終わって2~3分後のインタビューなので、言葉にリアリティがあるんですかね? 余計なことを考える暇もないし、そのとき本当に思った言葉がポンと出るので。
丸山:その作らないピュアな言葉がきっといいんだろうね。だからみんなが心打たれるんだと思う。このとき(2012年ロンドンオリンピック)、康ちゃんは年齢を重ねていて「おそらくこの大会が最後だろう」なんて言われながら、個人で成績が出ていなかったこともあるけど、(男子400mメドレーリレーでは)“康ちゃんのためにも頑張ろう!”って思いだったの?
松田:僕だけがそう思っていたわけではなくて、チームのみんなが思っていたことなんですよね。あのときの康介さんは、いままでとはちょっと違うアプローチでオリンピックに臨んでいて。アメリカを拠点に、アメリカのコーチに指導してもらいながら、惜しくも(個人では)メダルに手が届かなくて。
丸山:うん。
松田:僕は、最初に出場した2004年アテネオリンピックではメダルを獲れなくて……オリンピックでメダルを獲れなかったときの悔しさが自分のなかにめちゃくちゃ残っていたんです。それが逆にモチベーションとなって、北京、ロンドンと頑張れたんですけど。
丸山:なるほど。
松田:メダルを獲れない悔しさを、やっぱり康介さんには“味わってもらいたくない”という気持ちが、自分のなかではすごく強くて……それでこの言葉だったんですけどね。
丸山:いいなぁ~。松田くん自身、オリンピックにたくさん出ていますけど、最初のアテネ大会のときって何歳だったの?
松田:大学2年生で20歳でした。岩崎恭子さんが(1992年バルセロナオリンピックで)14歳で金メダルを獲ったとき、僕は8歳だったんですけど、テレビで観て“こんなすごい舞台があるのか”と感じて。
丸山:水泳は小さい頃からやっていたの?
松田:4歳からやっていました。
丸山:岩崎恭子ちゃんの水泳を(テレビで)観て、“その舞台に出てみたい!”という目標ができたと。
松田:そうですね。“いつか自分もあの舞台に行きたい!”と思ったのは覚えていますね。
丸山:“自分もその舞台に行ける”とポテンシャルを感じたのはいつ頃なの?
松田:リアリティを持って“オリンピックを目指そう”という気持ちになったのは、2000年シドニーオリンピックの選考会で3位だったときに“あともうちょっとで行けたんだ”って。
丸山:なるほど。
松田:2位の選手と3位だった自分との差はタイムで数秒だったんですけど、圧倒的な差は、2位の選手は“絶対にオリンピックに行く!”という気持ちですずっと準備をしてきたんですけど、僕はなんとなく“頑張って行けたらいいな”ぐらいの気持ちだったんですよ。それは(気持ちのうえで)全然違ったなって。
丸山:前もってやってきていることの準備が違うと。でも、その準備なしでその順位になったことはある意味、自信にもなったでしょ?
松田:そうですね。次のアテネは“絶対に行く!”という気持ちで準備しようとそのときに誓ったんです。そこからは、そのためにはどうすべきかと(行動が)具体的になっていきましたね。
◆現役時代に後悔していることは?
丸山:自分のなかで“こうしておけばよかった”っていう後悔はありますか?
松田:結果で悔しかったのは、2012年ロンドンオリンピックで金メダルに届かなかったのが一番悔しかったです。0.25秒差だったので、その差をなんとかして埋められなかったのかというのは、いまでも悔しさとして残っています。後悔というか、もうちょっとこうしたらという意味で言えば、4年に1回のオリンピックに向けて、人より速く泳げるようになるには準備の時間、準備の早さがほとんど勝負を決めるんです。
丸山:うん。
松田:もっと早くから金メダルにターゲットを絞って、準備の期間をもう少し長く取れて、トライアンドエラーがもうちょっとできていれば、結果が返られていたかもしれないという思いはありますね。
丸山:なるほど。
松田:自分が現役の頃にはやっていなかったようなトレーニングを、いまの選手はやっているので、それを1ヵ月でも1年でも早くできていればパフォーマンスを変えられた可能性はあるかもという思いはあります。日々進化していますからね。
◆松田丈志から見た池江璃花子選手の“凄さ”
丸山:あと、松田くんに聞きたいんだけど、池江璃花子選手の復活をどう見ていますか?
松田:この間のオリンピック選考会で4冠を達成して、オリンピック出場を決めて。それ自体、本当にすごいことで、彼女じゃなければ絶対に成し得なかったことだと思います。いまの池江選手を客観的に見て、“心技体”があるとしたら“体”はまだ全然戻っていないと思うんですよ。
丸山:うん。
松田:体の筋肉の量やスタミナとか、一番よかったときと比べてたぶん7割ぐらいの状態だったと思うんですけど、日本選手権で4冠を達成できたのは、なにがすごかったかと言うと“技”と“心”なんですよ。
丸山:なるほど。
松田:泳ぎの技術は、僕から見ても(もし自分が)現役時代にこの泳ぎができていたら“もっと速かっただろうな”と思うぐらい卓越しているんですよ。水の“捉え”、キャッチが上手いかどうかで水泳はほとんど決まるんですけど、水の捉えがめちゃくちゃ上手い。
丸山:そうなんですね。
松田:“心”の部分で言うと、本人も(オリンピックに)行けると思っていなかったのに行けたわけですよ。そんなことってアスリートではなかなかないことで、思っていてもいけないことがほとんどじゃないですか。彼女もまわりも“無理だろう”と思っていたことをやれてしまう。決勝という大事なときに自分の120%を引き出せる力は、すごいなと思いますね。
次回5月8日(土)の放送も、引き続き松田さんをゲストに迎え、お届けします。お楽しみに!
「AuDee(オーディー)」では、時間の都合上カットしたトーク部分も盛り込んだ「ディレクターズカット版」がアップされています。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができますので、ぜひそちらもチェックしてください。
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聴取期限 2021年5月9日(日) AM 4:59 まで
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番組名:NECネッツエスアイ presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/