2020.9.17
◆「親を恨む気持ちは1回たりともなかった」
丸山:簡単に乙武さんのプロフィール紹介を。1976年4月6日生まれ。大学在学中に出版した「五体不満足」がベストセラーに。卒業後、スポーツライターとして活動した後、小学校教諭を経て、2013年2月には東京都教育委員に就任。そのほか、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に参与、社会人サッカーチームのGMにも就任されていると。
乙武:はい。
丸山:いやぁ、いろいろなことをされていますね~。今回は乙武さんが伝えてきたスポーツの魅力や教育などについて伺っていきたいと思います。自身が成長するなかで、一番影響を受けたというご両親の教えとは?
乙武:みなさんから「明るいですね!」とか「強いですね!」って言っていただけるのは、やっぱり両親の育て方の影響がすごく大きいと思うんです。僕は根本的に自己肯定感が強い人間なんですね。
丸山:うん。
乙武:それは両親が、「こんな体に生んでしまって申し訳なかった」とか「この子の人生、お先真っ暗だな」っていう育て方をしていたとしたら、たぶん子どもである僕自身もそれを敏感に感じ取って、“あぁ、俺の人生って大変なんだな……”ってなっていたと思うんですよね。ところが、母はすごく楽天家なので“なんとかなるでしょ!”という思いで育てていたらしく、まぁなんとかなってきたと(笑)。
丸山:両親の力って大事だなって感じますよね。ご両親から言われて印象に残っている言葉とかはありますか?
乙武:20歳の誕生日に、父から「いつか思春期の頃に『なんでこんな体に生んだんだ!?』って、お前からどやされる日がくるんじゃないかってビクビクしていたんだけど、そんなこともなくここまで育ってくれてよかった」みたいなことを言われたときに号泣してしまって。
丸山:うん。
乙武:別に、こっちはそんなことを思っていないんですよ。本当に強がりでもなんでもなく、この体に生まれたことに対して、親を恨む気持ちは1回たりともなかった。
丸山:乙武さんって、反抗期は?
乙武:母が「おはよう」って言ってきても「うるせぇ!」って返すくらいの反抗期はありましたけど(苦笑)。だけど、手足がなく僕を生んだことを責めたことは1回もなかったし、我慢していたわけでもなく、別になんとも思っていなかったんです。
丸山:なるほどね~。
乙武:でも、父は“そう思っていたんだ!?”っていうのが、けっこうショックで。
丸山:いつかそうやって言ってくるときがくるんじゃないかと。
乙武:全然そんな風に思っていないのに、なんで気にしていたのって。
丸山:それは親心だと思いますよ。男として、いろいろなことをさせてあげたかったなとか。
乙武:うん、そうですよね。
◆“ONコンビ”の意外な振る舞いに感激
丸山:乙武さんって、スポーツは一番なにが好きなんですか?
乙武:やっぱり、小さい頃から一番親しんできたのは、野球ですかね。僕が子どもの頃は、まだJリーグもなかった時代でしたから。
丸山:なるほど。どこのチームのファンでした?
乙武:当時は熱狂的な(阪神)タイガースファンだったんですよ。
丸山:あら!? 東京都出身ですよね?
乙武:東京生まれ東京育ちで、両親ともジャイアンツ(読売巨人軍)ファンだったんですけど、小さい頃からあまのじゃくだったのか物心がついたあたりからテレビに(ユニフォームの)縦じまが映ると喜んでいたみたいで。
丸山:へぇ~。
乙武:母がぶっ飛んだ人で、空気が読めないんですよ。僕が野球好きだったので、母が多摩川にあるジャイアンツの練習場に連れて行ってくれたんです。フェンスの外から見ていたら、当時監督が王(貞治)さんだったんですよ。
丸山:うん。
乙武:王さんってものすごく丁寧でファンサービスを熱心にされる方で、こんな体の不自由な少年が見に来てくれていると気づいてくださって、わざわざ僕のところまで歩んできて「今日は見に来てくれたんだね」って声をかけてくださったんです。
丸山:素晴らしい。さすがホームラン王。
乙武:当時、タイガースファンではありましたけど、世界の王さんが声をかけてくださったことにすごく感激するじゃないですか。
丸山:もちろん。
乙武:そこで母が、僕のことを車いすから抱き上げて、フェンスの上に顔を出して、王さんのもとに差し出して、「この子、タイガースファンなんですぅ!」って。その一言はいらねぇだろっていう(笑)。
丸山:ハハハハハ! そのとき王さんはどんな顔を?
乙武:大人の対応で(笑)。一瞬、面食らった顔でしたけど、「タイガースもいいけど、ジャイアンツも応援してね」って。
丸山:さすが、やさしい! 長嶋(茂雄)さんだったらなんて言ったのか、聞きたかったな(笑)。
乙武:スポーツライターになってから、長嶋さんともお会いする機会があったんですよ。
丸山:うん。
乙武:ブルペンを見に行こうと思って移動していたんですけど、ブルペンまでの道が車いすだとちょっと難しくて、スタッフが僕のことを車いすから抱え上げて、抱っこのような状態になったタイミングだったんです。ちょうどそこに長嶋さんがやって来て、僕がいつもの電動車いすに乗っていないことに気づいて、「あぁ、いつもの戦力はどうしたんですか?」って(笑)。僕、何百人、何千人と会ってきましたけど、僕の電動車いすを「戦力」と呼んだ人は初めてでしたね。
丸山:最高ですね(笑)! 長嶋さん、半端ないな。
乙武:ワードセンスがすごいですね。
次回9月19日(土)の放送も、引き続き乙武さんをゲストに迎え、お届けします。お楽しみに!
「AuDee(オーディー)」では丸山茂樹のスピンアウト番組「MARUYAMA RADIO」が配信中! 丸山プロがゴルフに関する質問、疑問、人生相談などに答えます。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができます。
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▶▶この日の放送内容を「radikoタイムフリー」でチェック!
聴取期限 2020年9月20日(日) AM 4:59 まで
スマートフォンは「radiko」アプリ(無料)が必要です。⇒詳しくはコチラ
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
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<番組概要>
番組名:英語のアルク presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/
乙武洋匡 20歳の誕生日に「父から言われて号泣した言葉」とは?
プロゴルファーの丸山茂樹がパーソナリティをつとめるTOKYO FMの番組「英語のアルク presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY」。9月12日(土)の放送は、作家の乙武洋匡さんが登場しました。
◆「親を恨む気持ちは1回たりともなかった」
丸山:簡単に乙武さんのプロフィール紹介を。1976年4月6日生まれ。大学在学中に出版した「五体不満足」がベストセラーに。卒業後、スポーツライターとして活動した後、小学校教諭を経て、2013年2月には東京都教育委員に就任。そのほか、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に参与、社会人サッカーチームのGMにも就任されていると。
乙武:はい。
丸山:いやぁ、いろいろなことをされていますね~。今回は乙武さんが伝えてきたスポーツの魅力や教育などについて伺っていきたいと思います。自身が成長するなかで、一番影響を受けたというご両親の教えとは?
乙武:みなさんから「明るいですね!」とか「強いですね!」って言っていただけるのは、やっぱり両親の育て方の影響がすごく大きいと思うんです。僕は根本的に自己肯定感が強い人間なんですね。
丸山:うん。
乙武:それは両親が、「こんな体に生んでしまって申し訳なかった」とか「この子の人生、お先真っ暗だな」っていう育て方をしていたとしたら、たぶん子どもである僕自身もそれを敏感に感じ取って、“あぁ、俺の人生って大変なんだな……”ってなっていたと思うんですよね。ところが、母はすごく楽天家なので“なんとかなるでしょ!”という思いで育てていたらしく、まぁなんとかなってきたと(笑)。
丸山:両親の力って大事だなって感じますよね。ご両親から言われて印象に残っている言葉とかはありますか?
乙武:20歳の誕生日に、父から「いつか思春期の頃に『なんでこんな体に生んだんだ!?』って、お前からどやされる日がくるんじゃないかってビクビクしていたんだけど、そんなこともなくここまで育ってくれてよかった」みたいなことを言われたときに号泣してしまって。
丸山:うん。
乙武:別に、こっちはそんなことを思っていないんですよ。本当に強がりでもなんでもなく、この体に生まれたことに対して、親を恨む気持ちは1回たりともなかった。
丸山:乙武さんって、反抗期は?
乙武:母が「おはよう」って言ってきても「うるせぇ!」って返すくらいの反抗期はありましたけど(苦笑)。だけど、手足がなく僕を生んだことを責めたことは1回もなかったし、我慢していたわけでもなく、別になんとも思っていなかったんです。
丸山:なるほどね~。
乙武:でも、父は“そう思っていたんだ!?”っていうのが、けっこうショックで。
丸山:いつかそうやって言ってくるときがくるんじゃないかと。
乙武:全然そんな風に思っていないのに、なんで気にしていたのって。
丸山:それは親心だと思いますよ。男として、いろいろなことをさせてあげたかったなとか。
乙武:うん、そうですよね。
◆“ONコンビ”の意外な振る舞いに感激
丸山:乙武さんって、スポーツは一番なにが好きなんですか?
乙武:やっぱり、小さい頃から一番親しんできたのは、野球ですかね。僕が子どもの頃は、まだJリーグもなかった時代でしたから。
丸山:なるほど。どこのチームのファンでした?
乙武:当時は熱狂的な(阪神)タイガースファンだったんですよ。
丸山:あら!? 東京都出身ですよね?
乙武:東京生まれ東京育ちで、両親ともジャイアンツ(読売巨人軍)ファンだったんですけど、小さい頃からあまのじゃくだったのか物心がついたあたりからテレビに(ユニフォームの)縦じまが映ると喜んでいたみたいで。
丸山:へぇ~。
乙武:母がぶっ飛んだ人で、空気が読めないんですよ。僕が野球好きだったので、母が多摩川にあるジャイアンツの練習場に連れて行ってくれたんです。フェンスの外から見ていたら、当時監督が王(貞治)さんだったんですよ。
丸山:うん。
乙武:王さんってものすごく丁寧でファンサービスを熱心にされる方で、こんな体の不自由な少年が見に来てくれていると気づいてくださって、わざわざ僕のところまで歩んできて「今日は見に来てくれたんだね」って声をかけてくださったんです。
丸山:素晴らしい。さすがホームラン王。
乙武:当時、タイガースファンではありましたけど、世界の王さんが声をかけてくださったことにすごく感激するじゃないですか。
丸山:もちろん。
乙武:そこで母が、僕のことを車いすから抱き上げて、フェンスの上に顔を出して、王さんのもとに差し出して、「この子、タイガースファンなんですぅ!」って。その一言はいらねぇだろっていう(笑)。
丸山:ハハハハハ! そのとき王さんはどんな顔を?
乙武:大人の対応で(笑)。一瞬、面食らった顔でしたけど、「タイガースもいいけど、ジャイアンツも応援してね」って。
丸山:さすが、やさしい! 長嶋(茂雄)さんだったらなんて言ったのか、聞きたかったな(笑)。
乙武:スポーツライターになってから、長嶋さんともお会いする機会があったんですよ。
丸山:うん。
乙武:ブルペンを見に行こうと思って移動していたんですけど、ブルペンまでの道が車いすだとちょっと難しくて、スタッフが僕のことを車いすから抱え上げて、抱っこのような状態になったタイミングだったんです。ちょうどそこに長嶋さんがやって来て、僕がいつもの電動車いすに乗っていないことに気づいて、「あぁ、いつもの戦力はどうしたんですか?」って(笑)。僕、何百人、何千人と会ってきましたけど、僕の電動車いすを「戦力」と呼んだ人は初めてでしたね。
丸山:最高ですね(笑)! 長嶋さん、半端ないな。
乙武:ワードセンスがすごいですね。
次回9月19日(土)の放送も、引き続き乙武さんをゲストに迎え、お届けします。お楽しみに!
「AuDee(オーディー)」では丸山茂樹のスピンアウト番組「MARUYAMA RADIO」が配信中! 丸山プロがゴルフに関する質問、疑問、人生相談などに答えます。音声は「AuDee(オーディー)」アプリで聴くことができます。
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聴取期限 2020年9月20日(日) AM 4:59 まで
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※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用頂けます。
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<番組概要>
番組名:英語のアルク presents 丸山茂樹 MOVING SATURDAY
放送日時:毎週土曜 7:00~7:25
パーソナリティ:丸山茂樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/moving/