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村上RADIO Music in MURAKAMI ~村上作品に出てくる音楽~

村上RADIO Music in MURAKAMI ~村上作品に出てくる音楽~

こんばんは、村上春樹です。村上RADIO、今日は僕の書いた小説に出てきた音楽、という特集です。皆さんから本当に数多くのリクエストをいただきました。できるだけたくさんお応えしていきたいと思います。さて、どんなものがかかるでしょうね。お楽しみに。

皆さんからいただいたリクエストの曲名を見ていくと、「ああ、そうだな、こういう曲を出したな」というものもあれば、「ええ、こんなの出したっけ?」みたいなものもあります。僕は自分の書いた本って、よほど必要がなければ読み返しません。恥ずかしいから。だから、書いたことをどんどん忘れていきます。登場する人の名前とか、出てくる音楽とか、それから(ひどい話だけど)結末なんかもほとんど覚えてないですね。インタビューなんかで、昔の作品について「ここはどういうことですか?」と質問されて、「なんのことだか?」みたいなことはよくあります。というわけで、がんばってあやふやな記憶を辿りながら、曲をかけていきます。
California Girls
The Beach Boys
SIGHTS AND SOUNDS OF SUMMER THE VERY BEST OF The Beach Boys
Capitol Records
まずは僕の最初の小説『風の歌を聴け』からいきます。この本を出したのは、1979年のことです。とにかく生まれて初めて書いた小説なんだけど、それが文芸誌「群像」の新人賞を取りまして、すぐ本になって、なぜかけっこう売れて、そのまま自分でもよくわからないうちに、するっと小説家になってしまいました。今から考えるとおそろしい話です。 当時僕は千駄ヶ谷でジャズの店を経営していまして、将棋会館の近くだったんですが、ときどきお昼に将棋会館に行って、「王将弁当」というのを食べてました。ご飯が王将の駒の形をしているんです。そういう変なことをよく覚えています。最近は、藤井聡太くんのおかげで、テレビのニュースなんかによく将棋会館が登場しますが、けっこう懐かしいです。

まあ、そういうのはどうでもよくて、この『風の歌を聴け』の中にビーチ・ボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」が出てきます。これはよく覚えています。リクエストをくれたのは、「『村上』の私にラジオネームを」という女性です。村上さんなんですね。

「大学生だった私はこの本を読んだ直後、千駄ヶ谷の『ピーターキャット』にバイトの面接へ伺いました。ハルキさんはカウンターに座っていて、『担当の人が来るまでここで待っていてください』と言われました。採用にはなったのですが、ハルキさんはお店を別の方に譲渡したので、しばらくバイトをして辞めてしまいました。リクエストは『カリフォルニア・ガールズ』」
もう40年も前の話ですね。そうか、採用されたんだ。当時うちでバイトしていた人、なかなか素敵な女性が多かったです。
JUMPING WITH SYMPHONY SID
STAN GETZ
at StoryvilleーVol.2
ROOST
それからやはり店を経営しながら二作目を書きました。『1973年のピンボール』。このタイトルは大江健三郎さんの『万延元年のフットボール』のもじりですね。ちょっと拝借しました。この本の中に、スタン・ゲッツ・カルテットの演奏する「ジャンピング・ウィズ・シンフォニー・シッド」という曲が出てきます。この曲に意外とたくさんリクエストをいただきました。オリジナルLPでかけます。

ティモシーフロムナウさん(沖縄県、30代、看護師、男性)
リクエスト曲はスタン・ゲッツ「ジャンピング・ウィズ・シンフォニー・シッド」です。『1973年のピンボール』で主人公は女の子とゴルフ場を歩きながらソロを口笛で完璧に吹きます。爽やかに。結婚のために沖縄から大阪に出てきたけれどすぐに恋人に捨てられ、寂しい都会生活が始まった頃に読みました。図書館に返却した帰りに立ち寄ったディスクユニオンで試聴して「口笛で吹けたらなぁ」と猛烈に村上さんに伝えたくなった思い出の曲です。

そうか、いろんな思い出があるんですね。でもね、ゴルフ場を歩きながら口笛で吹くのは、実は「ジャンピング・ウィズ・シンフォニー・シッド」ではありません。別の曲です。たぶん、これ、あなたの思い違いです。
カセットテープで古いスタン・ゲッツを聴きながら、昼まで働いた。スタン・ゲッツ、ジミー・レイニー、アル・ヘイグ、テディ・コティック、タイニー・カーン、最高のバンドだ。「ジャンピング・ウィズ・シンフォニー・シッド」のゲッツのソロを、テープに合わせて全部口笛で吹いてしまうと、気分はずっと良くなった。

(『1973年のピンボール』より)
DANNY BOY
MAHALIA JACKSON
MAHALIA JACKSON'S GREATEST HITS
CBS/Sony
A Hard Rain's A-Gonna Fall
BOB DYLAN
BOB DYLAN'S GREATEST HITS VOL.Ⅱ
COLUMBIA
次は『羊をめぐる冒険』を飛ばして、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』にいきます。この小説の中には「ダニー・ボーイ」が出てきます。

棚からモチモチ(神奈川県、40代、女性)
高校の図書室で見つけて、初めて読んだ村上さんの小説が『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』です。文字通り心を撃ち抜かれ、それ以来ずっと村上さんの小説のファンです。「ダニー・ボーイ」を是非聞きたいです。

薫(大阪府、20代、女性)
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に出てくる、ビング・クロスビーの「ダニー・ボーイ」を聴きたいです。私の人生において、この村上春樹さんの作品はとても重要な存在です。有難うございます。読み終えてから何年も経過してますが、時折、ダニー・ボーイを口ずさみます。

ビング・クロスビーの「ダニー・ボーイ」が探しても見当たらなかったので、今日はマヘリア・ジャクソンのソウルフルな歌唱で聴いてください。LPでかけます。
『ダニー・ボーイ』、僕は目を閉じてそのつづきを弾いた。題名を思いだすと、あとのメロディーとコードは自然に指先から流れでてきた。僕はその曲を何度も何度も弾いてみた。メロディーが心に染みわたり、体の隅々から固くこわばった力が抜けていくのが感じられた。久しぶりに唄を耳にすると、僕の体がどれほどそれを求めていたかをひしひしと感じ取ることができた。

(『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』より)
もう一曲、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』からいきますね。最後の場面で出てくる、『激しい雨』です。“A Hard Rain's A-Gonna Fall”。

お餅も入ってぐつぐつと(東京都、50代、会社員、女性)
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」に出てくる、ボブ・ディランの「激しい雨」をリクエストします。音楽に興味が出てきて色々聴き始めたのと、春樹さんの小説を読み始めたのが同じ年頃で、音楽の影響で小説を読んだのか、小説の影響で音楽を聴いたのか、わかりませんが、相乗効果でしょうね。ビーチ・ボーイズはあまり聴かなかったのですが、ディランにはすっかりはまってしまいました。

はい。僕はこの「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」を千葉県の習志野の家で書き始めて、途中で神奈川県の藤沢に越して書き上げました。この小説はむずかしくて、書き上げるのが大変でした。結末を何度も何度も書き直しました。でも、この作品が、僕の書いたものの中でいちばん好きだという人は、少なからずいらっしゃるみたいです。
私は雨降りのことを考えてみた。私の思いつく雨は、降っているのかいないのかわからないような細かな雨だった。しかし雨はたしかに降っているのだ。そしてそれはかたつむりを濡らし、垣根を濡らし、牛を濡らすのだ。誰にも雨を止めることはできない。誰も雨を免れることはできない。雨はいつも公正に降りつづけるのだ。やがてその雨はぼんやりとした色の不透明なカーテンとなって、私の意識を覆った。眠りがやってきたのだ。ボブ・ディランは『激しい雨』を唄いつづけていた。

(『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』より)
NORWEGIAN WOOD
THE BEATLES
RUBBER SOUL
EMI
今日は僕の作品に出てきた音楽、という特集です。
次は『ノルウェイの森』をいきます。かかる曲はもちろんというか、ビートルズ「ノルウェーの森」、“Norwegian Wood”です。

ノモ16Tシャツ(大阪府、50代、男性)
『ノルウェイの森』の「ノルウェーの森」です。もともと好きだった曲が村上作品によって新しい哀愁が加わって。これを書いているだけでも泣けてきます。

クロワッサン(東京都、20代、会社員、女性)
村上春樹さんの紹介で「ノルウェーの森」が聴きたいです。聴いたことがなく、本を読みながらイメージを膨らませ、読み終えてすぐ聴きました。作品の心象風景が重なり、深夜に聴いたこともあってか、なんだか切ないメロディーにも聴こえました。今一度、番組内で聴きたいです。

『ノルウェイの森』というタイトルは誤訳だと言う人がいます。正しくは「ノルウェイの家具」なんだと。たしかに、この曲の中で主人公がたぶん火をつけちゃうのは、ノルウェイ製の家具です。でももし『ノルウェイの家具』って邦題がついていたら、たぶん誰もそんな曲に心惹かれないですよね。だから、ジョン・レノンがこの曲に“Norwegian Wood”というタイトルをつけたとき、そこにはいろんな意味が重層的に含まれていたと思うんです。詩、ポエムというのはもともとそういうものだから。だから『ノルウェイの森』という日本語のタイトルは、正しくはないかもしれないけど、決して誤訳とは言えない、というのが僕の見解です。
僕はその昔ノルウェイの書店で朗読みたいなことをしたんですが、そのときに集まったノルウェイの人たちに、「皆さんは“Norwegian Wood”という言葉から何を思い浮かべますか?」と質問してみたんです。そうしたら、「マリファナの煙」という意見がいくつかありました。なんか、よくわかんないですよねえ。 それではビートルズの『ノルウェーの森』を聴いてください。
THE STAR-CROSSED LOVERS
DUKE ELLINGTON and His Orchestra
SUCH SWEET THUNDER
COLUMBIA
次は『国境の南、太陽の西』です。1992年に刊行されました。この小説、書いた本人としてはけっこう気に入っているんです。愛着があるっていうか。うーん。でも出版した当時、評判はずいぶん悪かったです。批評的に叩かれまくった記憶があります。「村上はもうおしまいだ」とか言われてね。たぶん『ノルウェイの森』がベストセラーになった反動みたいなものだったんでしょうね。まあ、僕はその頃ずっとアメリカに住んでいたので、そういう世の中の風向きとは関係なく、マイペースでこつこつと仕事をしていましたが。
でもそれから30年近くの歳月が経過して、この作品が個人的に好きだというひとも、見かけるようになりました。よかった。僕としても、ちょっとほっとしています。この小説に出てくる音楽にもたくさんリクエストをいただきました。

くまそ(東京都、50、男性)
「スター・クロスト・ラヴァーズ」、『国境の南、太陽の西』の特別なファンです。デューク・エリントンのアルバムを購入しました。しびれます。

サイタマケン退屈日記(50代、男性)
『国境の南、太陽の西』から「スター・クロスト・ラヴァーズ」をリクエストします。ネットが発達しても、手違い、すれ違いを繰り返し世は廻っております。日曜夜、お休みが終わってしまう一時、一杯のカクテルのようにゆっくりと、この甘美な感傷を皆様と共有したく存じます。

はい。それでは、デューク・エリントン楽団の演奏で『スター・クロスト・ラヴァーズ』を聴いてください。オリジナルLPでかけます。
「スター・クロスト・ラヴァーズ」と島本さんは言った。「それはどういう意味なの?」
「悪い星のもとに生まれた恋人たち。薄幸の恋人たち。英語にはそういう言葉があるんだ。ここではロミオとジュリエットのことだよ。オリジナルの演奏では、ジョニー・ホッジズのアルトサックスがジュリエットの役を演奏し、ポール・ゴンザルヴェスのテナーサックスがロミオの役を演奏した」
「悪い星の下に生まれた恋人たち」と島本さんは言った。「まるでなんだか私たちのためにつくられた曲みたいじゃない」
「僕らは恋人なのかな?」
島本さんは言った。「あなたはそうじゃないと思うの?」

(『国境の南、太陽の西』より)
LITTLE RED CORVETTE
PRINCE
THE HITS 2
Paisley Park, Warner Bros.
次は『海辺のカフカ』に出てくる「リトル・レッド・コーヴェット」です。何人かの方からリクエストをいただきました。そんなの出したっけなあ……とぜんぜん思い出せませんでした。プリンスの「リトル・レッド・コーヴェット」、好きですけど、『海辺のカフカ』の中に出てきたっけねぇ?


石川達也(滋賀県、50代)
私のリクエストは、海辺のカフカに出てきたPrinceの ”Little Red Corvette “です。リクエストの理由は、とてもエッチな曲なので、夏の夜の村上RADIOにピッタリと思ったからです。

コーヒーあらびき(北海道、50代、主婦)
私の大好きなミュージシャンの名前が出てきて嬉しかったものをリクエストします。それは『海辺のカフカ』に出てきたプリンスです!カフカ君が体を鍛えながら聴いた「リトル・レッド・コーヴェット」。自分の中に当時の自分を呼び起こしたいのでお願いします。

はい。まあ、何人かの方が出てきたと言ってるんだから、きっと出てきたんでしょうね(笑)。おかけしましょう。


エッチな曲なんだ……知りませんでした。
この番組のスタッフが僕の代わりに、その「リトル・レッド・コーヴェット」が出ている箇所を見つけてきてくれました。読みますね。しかしこんな文章、ほんとに書いたっけなあ。
僕はベッドの上に横になって、ヘッドフォンでプリンスの音楽を聴く。その奇妙に切れ目のない音楽に意識を集中する。ひとつめの電池が『リトル・レッド・コーヴェット』の途中で切れる。音楽は流砂に吞み込まれるようにそのまま消えてしまう。ヘッドフォンをはずすと沈黙が聞こえる。沈黙は耳に聞こえるものなんだ。僕はそのことを知る。

(『海辺のカフカ』より)
PEOPLE ARE STRANGE
THE doors
STRANGE DAYS
Elektra
最後に僕のリクエストです。たしか『ノルウェイの森』に出てきたと思います。ドアーズの“People Are Strange”。この曲、大好きなので、聴いてください。ジム・モリソンの歌詞が素敵です。「君がストレンジャーであるとき、人々はストレンジに見える」。オリジナルLPでかけます。

「ねえ、どうしてそんなにぼんやりしているの?」と緑が尋ねた。
「たぶん世界にまだうまく馴染めてないんだよ」と僕は少し考えてから言った。
「ここがなんだか本当の世界じゃないような気がするんだ。人々もまわりの風景も、なんだか本当じゃないみたいに思える」
緑はカウンターに片肘をついて、僕の顔を見つめた。
「ジム・モリソンの歌にたしかそういうの、あったわよね」
「People are strange, when you are a stranger」と僕は言った。
「ピース」と緑は言った。
「ピース」と僕も言った。

(『ノルウェイの森』より)
NORWEGIAN WOOD
Leni Stern/Mike Mainieri/Nana Vasconcelos
Come Together - Guitar Tribute To The Beatles
NYC Records
今日のクロージングの音楽は、ギターのレニ・スターンが演奏する「ノルウェーの森」。ヴァイブはマイク・マイニエリです。何度聴いても、これ、良い曲ですよね。
今日の言葉は、我らが菅義偉首相のお言葉です。彼は7月(2021年)のオリンピック開会式直前にIOCの総会で、新型コロナに関して、このように言っています。

「新型コロナの感染拡大は、世界中で一進一退を繰り返していますが、長いトンネルに出口が見え始めています」

あのですね、もし出口が本当に見えていたんだとしたら、菅さんはおトシのわりにすごく視力がいいんでしょうね。僕は菅さんと同い歳だけど、出口なんてぜんぜん見えてません。この人、聴く耳はあまり持たないみたいだけど、目だけはいいのかもしれない。あるいは見たいものだけ見ているのかもしれない。どちらでしょうね。

現実にはなかなか出口が見えてこない状況ですが、僕らは今ここにあるものをなんとか目いっぱい活用して、本当に出口が見えてくるまで、うまく生き延びてやっていくしかありません。音楽でも猫でも、冷たいビールでも、心のねじくれたコーヒーでも、なんでもあなたの好きなものをうまく活用してください。
僕も猫山さんも、及ばずながら後方からできるだけ力をお貸しします。(にゃー)

スタッフ後記

スタッフ後記

  • 「小説に書き方は音楽に学んだ」という春樹さんの文章は、声に出して読むとその魅力が改めて確認できます。なんかリズミカルなんです。8月の『村上RADIOプレスペシャル』ではパーソナリティの小川哲さんが「春樹さんの小説は句読点がすごい」とおっしゃっていましたが、その句読点がリズムを生み出している…。小説の中に出てくる音楽は、その小説を書きながら何度も繰り返してきいているだと思うと、今回オンエアで紹介する音楽が入っている作品を改めて読み返してみようという気になるはずです。紛れもない「神回」!入りきらない曲もたくさんあったので、これは続編を作らねば!です!(レオP)
  • いったいどれだけのレコードが春樹さんのターンテーブルに載せられ、どれだけの音楽がその小説世界を彩ってきたことでしょう。『ノルウェイの森』も『1Q84』も音楽に導かれて物語の扉が開かれます。世界中の読者がビートルズやヤナーチェクを聴き、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』のラストに流れるボブ・ディランの「激しい雨」に心震わせたはずです。今月の村上RADIOは、村上ワールドの音楽と春樹さんの朗読がセットになっているという夢のような特集ですが、夢なら覚めないで……。(エディターS)
  • 今回は、作品に出てくる音楽がかかり、更に村上春樹さんによる朗読もあり、とても豪華な放送だと思いました。しかも、小説を書いていた当時のお話もあり、放送を聞いてもう一度村上春樹さんの小説を読みたくなりました。(AD桜田)
  • リスナーのみなさんのリクエストから実現した「村上作品に出てくる音楽」の特集でした。村上春樹さんと一緒に聴く「ノルウェーの森」。刊行当時の風景や思い出もよみがえりました。時間の関係でオンエアできなかった曲も多かった。続きがあるかも!?(構成ヒロコ)
  • プレスペシャルに登場してくれた濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」。村上春樹さんは公開後、さっそく近くの映画館に観に行ったそうです。平日なのに客席は満席近く。「面白かった。演じている人も良くて、僕が書いたストーリー、こんなだったんだって」。今回の村上RADIOでもリスナーからのメールで自分が書いた物語を思いだすことも多かったとのことです。「ドライブ・マイ・カー」もビートルズのアルバム『ラバー・ソウル』に収録されている曲です。それは小説になり、映画になり・・・・・。村上春樹の世界はさまざまな境界を越えてどんどんひろがっていくのですね!(延江GP)
  • 今回の村上RADIOは、「村上作品に出てくる音楽」特集。その音楽は執筆中の村上さんの書斎で実際に流れていたのか定かではないのですが、物語の中に存在していた音楽をラジオから流せたことに喜びを感じました。そんな村上作品に出てくる音楽を聴きながら、村上さん御本人が作品について語るという虚構のような現実のような、はたまたそのどちらでもない夢のような時間でした。ぜひ続編も期待したいです!(キム兄)

村上春樹(むらかみ・はるき)プロフィール

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、最新長編小説に『騎士団長殺し』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』、『パン屋再襲撃』などの短編小説集、『ポートレイト・イン・ジャズ』(絵・和田誠)など音楽に関わる著書、『村上ラヂオ』等のエッセイ集、紀行文、翻訳書など著訳書多数。多くの小説作品に魅力的な音楽が登場することでも知られる。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、’09年エルサレム賞、’11年カタルーニャ国際賞、’16年アンデルセン文学賞を受賞。