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村上RADIO ~マイ・フェイバリットソングズ&リスナーメッセージに答えます~

村上RADIO ~マイ・フェイバリットソングズ&リスナーメッセージに答えます~

こんばんは、村上春樹です。
村上RADIO、12月。鍋焼きうどんの美味しい季節になってきました。 でも、鍋焼きうどんって、お店に入ってから、ふと気がむいて注文するものじゃないような気がするんです。「さあ、今日は鍋焼きうどんを食べるぞ!」と決意してからお店に入る……、そういう種類の食べ物なんじゃないかと思います。まあ、どっちでもいいようなことなんですけど。
今日はみなさんからのメールを紹介しながら、僕の好きな音楽をぼちぼちとかけていきたいと思います。例によって、僕が家でよく聴いている音楽をひと抱え持ってきました。選曲、気に入っていただけるといいんですけど。
You've Lost That Lovin' Feelin'
The Pozo-Seco Singers
Time
Columbia
今日の1曲目は、ポゾ・セコ・シンガーズ(Pozo-Seco Singers)が歌うYou've Lost That Lovin' Feelin' 、ライチャス・ブラザーズのソウルフルなヒットソング「ふられた気持」のカバーです。ポゾ・セコ・シンガーズは60年代の終わり頃にそこそこ活躍したフォークグループですが、このカバー、なかなかいいんです。全然ソウルフルじゃなくってね。今日はオリジナル・アナログレコードで聴いてください。 この曲は映画「トップガン」のなかでトム・クルーズが歌っていました。もし暇があったら観てください。
Everybody's Talkin'
Tedeschi Trucks Band
Everybody's Talkin'
Masterworks
最近のバンドの中では、僕がいちばん好きなバンドの1つです。
テデスキ・トラックス・バンド、そのライブ盤から「エヴリバディーズ・トーキン」(Everybody's Talkin')を聴いてください。「うわさの男」、映画『真夜中のカーボーイ』のテーマ曲です。フレッド・ニールが作曲し、ハリー・ニルソンが歌ってヒットしました。
Moonlight Drive
The Doors
The Complete Studio Recordings
Elektra
ザ・ドアーズの初期の曲「ムーンライト・ドライブ」(“Moonlight Drive”)ですが、アルバムに入っているのとは別のバージョンで聴いてください。これ、デモテープなんですけど、デモにしては、とてもできがいいです。シンプルで、ナチュラルで、本テイクとはまた違った味わいがあります。

実を言うと、ドアーズというバンドはこの曲から始まったんです。僕の『村上ソングズ』という本の中からその部分を読んでみます。

ジム・モリソンが暇を持てあまして、ロスアンジェルスのヴェニス・ビーチでひとりでごろごろしていると、顔見知りのレイ・マンザレクがやってきて、声をかけた。こちらもかなりの暇人である。1964年8月のことだ。
「よう、何やってんの?」
「曲を書いてるんだ」とジムが答えた。
「どんな曲?ちょっと歌ってみてよ」
そこでジムは歌い出した。
「月まで泳いでいこう。uh huh 潮を遡っていくんだ……」
「すげえよ、それ」とレイは言った。「そんなぶっとんだ歌詞を聴いたのは初めてだ。二人でバンドを作って、大金をもうけようじゃないの」
「それ、いいなあ」


ということで、伝説のバンド、ザ・ドアーズが誕生しました。歴史というものは、このように暇人たちによって、何気なくあっさり作られていくものなのかもしれませんね。
まだ有名になる前のデモテープです。
Butterflies / Everytime I See A Butterfly
Les McCann
Another Beginning / Hustle To Survive
Collectables
レス・マッキャンは黒人のジャズ・ピアニストですが、60年代末あたりからソウル系の歌手としても活躍します。この「エブリタイム・アイ・シー・ア・バタフライ」(“Everytime I See a Butterfly”)は「ハッスル・トゥー・サーヴァイヴ」(“Hustle To Survive”)というLPに入っているんですが、とても美しい曲で、僕は大好きです。 「蝶々を見るたびに、僕は子供の頃を思い出すんだ」。曲の前に自作の「バタフライズ」(“Butterflies”)という曲がイントロとして付きます。
Let's Get Away from It All
Frank Sinatra & The Tommy Dorsey Orchestra
コンプリート・フランク・シナトラ&トミー・ドーシー
BMG
マット・デニスが作曲した“Let's Get Away from It All”、「こんなところさっさと逃げ出して、どっかに行っちゃおうぜ」というコミカルな歌です。どっか行っちゃえるといいですねえ。1940年代にフランク・シナトラをフィーチャーした、トミー・ドーシー楽団のレコードでヒットしました。
歌詞はいろんな観光地を並べて、あそこにも行きたいね、ここにも行きたいね、みたいなお気楽な歌詞なんですが、ナイアガラも出てきます。「ナイアガラに行こう。今度はしっかり滝を見ようね」というセリフがあるんですが、これはたぶん説明が必要ですね。
ひと昔前のアメリカではナイアガラに行くというのが、新婚旅行の定番だったんです。で、この人たちもナイアガラに行ったんだけど、他に色々と忙しくて、滝を見ている暇がなかったんですね。だから今度はしっかり滝を見ようよ、ということです。
前半はジョー・スタッフォードを中心とするコーラスグループ、パイド・パイパーズが歌い、後半はフランク・シナトラとコニー・ヘインズが掛け合いで歌っています。昔のビッグバンドには専属の男女歌手と、コーラスグループがいたんです。大所帯だったんですね。

この曲はトヴァイアス・ウルフの“This Boy's Life”という小説を映画化したもので、邦題は「ボーイズ・ライフ」。レオナルド・ディカプリオが子役をやっていたのかな。ロバート・デ・ニーロが悪いお父さん役で、ディカプリオがいじめられる子ども。お母さん役がエレン・バーキン。お母さんと子どもが逃げ出すんだけど、その車のなかで2人で合唱するシーンがありました。1950年代のアメリカを描いた映画だったから、この曲が流行っていた時代に近いんですよね。
Stumble On My Way
Norah Jones
Pick Me Up Off The Floor
Blue Note
ノラ・ジョーンズの最新アルバムから“Stumble on My Way”、「途中で躓(つまず)く」です。
憂鬱を追い払い、歌をうたって、楽しくしっかり生きていこうと思うんだけど、でもさ、きっと途中で躓いちゃうんだよね、という歌です。
でもやっぱり元気を出さなくっちゃね。躓いたら、躓いたでしょうがない。また立ち上がればいいんです。
Barefootin'
Johnny Rivers And His L. A. Boogie Band
Last Boogie In Paris
Atlantic
次は、ジョニー・リヴァースの主宰するL.A.ブギ・バンドが、1973年5月にパリのオランピア劇場で行なったコンサートのライブから、「ベアフッティン」(Barefootin')。ロバート・パーカーの1966年のヒットソングです。そしてこのアルバムのタイトルは“Last Boogie In Paris”。もちろん映画「ラスト・タンゴ・イン・パリ」(“Last Tango in Paris”)のもじりです。かっこいいです。これは僕が昔から持っているアナログレコードでかけます。こういうのってアナログで聴かないとノラないですよね、なぜか。
このL.A.ブギ・バンド、超一流のミュージシャンを集めています。ギターのディーン・パークス、サックスのジム・ホーン、トランペットのチャック・フィンドレー、キーボードのマイク・メルヴォイン、ドラムのジム・ゴードン。すごくいい音を出してます。このディーン・パークスのギターがかっこいいんです。
Last Tango In Paris
Jazz at the Movies Band & Strings
JAZZIZ ON-DISC June 1995
Jazziz
今日のクロージング曲は成り行きで、というか“Last Tango in Paris”、演奏するのはJazz at the Movies Bandです。なんかすごく懐かしいメロディーですね。これ、一時流行りました。
今日の言葉はジョン・レノンさんです。1960年代の半ば、ビートルズが登場して、その人気が世界を席巻していた頃、新聞記者に「この人気はどれくらい続くと思いますか」と質問されて答えました。

「さあ、どれくらい続くんだろうね? 10年は続くなんて言ったら、バチが当たって、3カ月でショボっちゃうかもね」

でもビートルズの音楽はそれから半世紀以上経った今でもしっかり聴かれています。ポールはまだ現役で歌い続けています。それを知ったらレノンさんはどう思うんでしょうね。
僕は小説家になって最初のうち、店を経営しながら小説を書いていたんです。でも、執筆に集中したくなって、店を売って専業作家になりました。店もけっこう繁盛していたんで、もったいなかったんですけど、どうしてもそうしたかったんです。
でも周りの人はほとんど全員が反対しました。「小説だけで食べていくなんて無理だから、商売は続けてた方がいいよ。人気なんて儚(はかな)いものだからさ」って。でもそれから40年近く、なんとか小説家を続けています。その時もし新聞記者にレノンさんと同じ質問をされたら、どう答えていたでしょうね? 先のことなんて、予測できないです。
でも何はともあれ、僕はもっと真剣に自由に小説が書きたかったんです。それが一番大切なことですよね。

リスナーからの質問に答えました

リスナーからの質問に答えました

「村上さんに相談(あるいはお願い)があります」ということで、リスナーの皆さんからメッセージをいただきました。お答えしていきます。
東京都の58歳の男性、会社員、クルトさん

「村上さんは以前、水道橋にあった伝説のJAZZ喫茶スイングで働かれていたとの 情報を聞き及びました。大学生の頃、82年から飯田橋に大学生の頃下宿しておりましたが、当時、ほぼ最年少の客として、ジョニー・ドッズなどの希少盤を客の少ないときに緊張しながらリクエストしておりました。アーティー・ショウのダンシング・イン・ザ・ダークをリクエストさせてください。」
「ダンシング・イン・ザ・ダーク」ね、レコードを持っているんですが、今すぐには取りに行けないところに置いてありまして、今日は代わりにアーティー・ショウ楽団の「ジャパニーズ・サンドマン」を聴いてください。これも僕が「スイング」で働いていたときによく聴いた曲です。古いアナログでかけます。懐かしいです。
そうですか、まだそんなに若い頃からジョニー・ドッズを聴いていたんだ。ずいぶん渋い若者だったんですね。水道橋の「スイング」、トラディショナル・ジャズしかかけないという、ほとんど客の入らない、時代に取り残されたような店でした。椅子なんかもかなりぼろぼろで、スピーカーは左右違うメーカーのものだったし。でもかかる音楽はどこまでも本格的でした。僕はそこで何年かバイトをして、しっかりジャズを勉強しました。店のあったお堀沿いの汚いビルは、区画整理で取り壊されて、今は道路になっています。
そこで働いていたとき、僕は大学生だったんだけど、小林くんっていう高校生の男の子が一緒にバイトしてまして、僕らは「小林少年」と呼んでいました。僕より5つくらい年下だったかな。彼は、今は偉くなって、というか映画監督をやっています。小林政広くんといって、「海辺のリア」という作品なんかを撮っています。当時彼はフォーク・ソングを歌っていまして、レコードも一枚出していました。このレコードは、キーボードに坂本龍一さんなんかが入っていて、今ではコレクターズ・アイテムになっているみたいです。僕はそのレコード、まだちゃんと持ってます。
広島県の52歳、エンジニアの男性、ワンダーミニベロさん

「老いを実感する日々です。村上さんも衰えを感じますか?受け入れがたい現実を受け入れる術があるなら教えてください。」
肉体的なことを言いますと、僕はこの40年近く、毎年一度はフルマラソンを完走しているんですけど、40代半ばを過ぎてからは、年を追ってタイムがじりじりと少しずつ、でも確実に落ちています。これははっきり言って、もう「負け戦」を戦っているみたいなもんです。何をやったって、どうせ負けることは最初からわかっているんだから、楽しいことなんて何もありません。ただただ、もうしんどいだけです。
じゃあ、どうしてそれでも42キロ余りを走り続けるのか? どうしてあっさりやめちゃわないのか? それを続けるのが僕にとって必要なことだからです。どうせ負けるのなら、かっこよくスマートに負けたいじゃないですか。僕はそのために日々、ささやかに努力を続けています。あなたも勝つことはひとまずあきらめて、何かひとつ、うまく負けるための努力をなさるといいのではないかと思います。そうすれば道は拓ける……かもしれません。
兵庫県の司法書士の男性、57歳、イカリ少年団さん

「ジェフ・ベックは自分の気分を23歳にセットしてるという記事を読んだ記憶があるのですが、春樹さんは何歳の気分ですか?それと、生きてきた中で心が温かくなるような郷愁を感じる場所、時代があれば教えてください。」
昔、ブライアン・アダムスが「死ぬまで18歳」っていう歌を歌っていましたね。僕はあれが好きで、トライアスロンをやっていたとき、自転車に「18 Til I Die」というステッカーを貼っていました。今はもうさすがに恥ずかしいので貼ってません。
いちばん郷愁を感じる時代? そうですねえ、シェリー・フェブレーが「ジョニー・エンジェル」(“Johnny Angel”)を歌っていた頃かなあ。僕は14歳くらいだったと思います。どうして「ジョニー・エンジェル」かって訊かれると、かなり困るんですけど、なんか心にその辺の風景が焼き付けられているんです。「ジョニー・エンジェル」を聴くと、スイッチを押されたみたいに、その風景が自動的にふっと蘇ってきます。
誰にでもそういう懐かしい風景ってあるんじゃないかな。そういうのってけっこう大事ですよね。僕はそう思います。
熊本県の事務職の女性、26歳、金曜日のねこさん

「大好きだけど、どうしてもお別れせざるを得ない人とお別れしました。どうやったら、その人の事を考えないようになり、この喪失感と孤独を乗り越えることができますか?」
お気の毒です。そういうのってつらいですよね。
どうやったら「この喪失感と孤独を乗り越えることができるか」ということですが、結論から言うと、そんなの乗り越えなくていいんです。喪失感と孤独を抱えて生きていくのって、ある程度大事なことです。人はそうやって成長していくものです。というか、そのような期間がどこかでないと、人はうまく成長できません。「つらいなあ、きついなあ」と思ったら、「でもこれは私にとって必要なことなんだ」と思ってください。魂の筋トレみたいなものです。がんばって強い筋肉を身につけましょう。そうしているうちに、喪失感と孤独も自然に薄らいでいきます。
僕にもそういう経験はありますけど、そういうときって、いろんなものが身にしみます。音楽とか文学とか、あるいはただの風景でもいいんだけど、そういうものを前にして、いつもとは心の響き方が少し違ってきます。その違いをじっくり噛みしめてください。
それがきっと、あとになってあなたの役に立ちます。がんばってね。
埼玉県の57歳の男性、会社員、in.the.paddyさん

「私には高校生の息子と中学生の娘がいます。本好きに育てようと手を尽くしました。しかしすべてがゲームとスマホに駆逐されてしまいました。カメラと時計もスマホに駆逐され、高級品のみ生き永らえています。音楽や文学も形あるメディアは壊滅的な状況で、やはり高級路線が生き残る道でしょうか?文学も音楽も平等であることが価値の1つだと思います。」
うーん、最近電車に乗っても、本を読んでいる人ってほとんど見かけませんね。新聞を読んでいる人もいない。みんなスマホの画面をじっと睨んでいます。たしかに音楽や文学は駆逐されているみたいです。
でもね、もともとスマホに駆逐される程度のものだったとしたら、そりゃ駆逐されてもしょうがないんじゃないでしょうか。厳しいことを言うようだけど、僕はそう思います。
僕はいつも言うんですけど、本当の音楽とか、本当の文学とかを理解する人の、あるいは理解しようと努める人の数って、だいたい全人口の5パーセントくらいなんです。その5パーセントのコアな人たちは、流行り廃りに関係なく、日常的にしっかり腰を据えて本を読んだり、音楽を聴いたりします。たった5パーセントかって思われるかもしれませんが、でも日本の場合、5パーセントだとだいたい600万人くらいになりますよね。そういう人が600万人もいれば、それでまあ十分じゃないですか。けっこう豊かなマーケットになります。そういう意味合いで、僕は今の状況に対してそれほど悲観的ではないんです。
この番組だってね、僕の気持ちとしては、その「5パーセントの人たち」に向けて発信しています。マーケット・リサーチみたいなものとは、ほとんど真逆をやってるわけです。それでもちゃんとこうして続いていますから、ありがたいですね。
栃木県の38歳の男性、白猫ミミさん

「オンラインライブをやって頂けないでしょうか? 村上ラジオの生中継でも構いません。映像でも楽しめたら、感無量です。猫山さんもゲストでぜひ。」
去年、「村上JAM」というライブをやりまして、好評をいただきました。僕も楽しかったです。今年もまた「村上JAM2」をやりたいねと言ってたんですけど、ご存じのようにコロナ状況で残念ながらそれは叶いませんでした。でも白猫ミミさんのように、「村上JAM」をまたやってもらえないかというリクエストがけっこうたくさん届いております。
そこで一念発起しまして、村上JAMオンライン版というのをやろうということに決まりました。日時は来年の2月14日、バレンタインデーですね。前と同じように、僕と坂本美雨さんが会場で進行役を務めます。でも完全オンラインだともうひとつ盛り上がりませんので、100人限定で会場チケットを発売したいと思います。
今回は「ボサノヴァ・ナイト」、アントニオ・カルロス・ジョビンさんへのトリビュートが中心になります。出演メンバーは追ってお知らせしますが、あっと驚く意外な人たちが登場します。お楽しみに。詳しいことは「村上RADIO」のオフィシャルサイトをご覧になってください。猫山さんの予定も聞いてみましょう。みゃ~~お。そんな先のことは分からないとおっしゃっています(笑)。

さらに、もうひとつサプライズがあります。2020年、今夜が最後の放送…と思っていたんだけど、急きょ「年末年始年越し特番」をやろうじゃないかということになりました。大晦日の夜の11時から、年明けの午前1時まで、生放送で「村上RADIO」をお届けします。「村上RADIO」も次で20回目になるんですけど、生放送ってこれが初めてです。やはり緊張しますよね。緊張して何か変なことを口走らないといいですけどね。めええ。(羊谷さんの声)。
こちらの番組も、やはり坂本美雨さんが手伝ってくれます。お正月ですから、リスナーのみなさんにも何かお年玉も用意しましょう。素敵なゲストもお呼びしています。最高の音楽とともに年を終え、最高の新年を迎えられるといいですね。

スタッフ後記

スタッフ後記

  • 今回、春樹さんはドアーズの『ムーランライト・ドライブ』をオンエアしてくれています。アルバムに入っているのとは別テイクを「これもシンプルでナチュラルな味わい」と紹介しながら。また、『村上ソングズ』(中央公論新社)から「月まで泳いでいこう/潮を遡っていくんだ。僕につかまろう、君は手を伸ばす/でも君のガイドにはなれない」と自分で訳した歌詞を読み「(この男は)ひどいね」と微笑みました。「いくつもの濡れた森を、君は滑り落ちて/それを見ながら、すんなり恋に落ちてしまう/ムーンライト・ドライブで」懐かしい気持ちがなりました。これは僕の愛聴歌なのです。クリスマスの時期にドアーズのラブソングを聴く、素敵な時間でした。(GP延江浩)
  • 村上RADIOから2つの大きなお知らせがあります。
    一つ目は、2020年の年越しは、村上RADIOの生放送をするということ!生放送は実は初めての試みです。スペシャルゲスト、山中伸弥先生と山極壽一先生にもスタジオにお越しいただき、一緒に年越ししちゃいます。生放送の勢いのどんなトークが繰り広げられるのか、ご期待ください。そして、コロナに始まりコロナで終わった2020年を締めくくる選曲や、村上春樹さんが2021年最初に選ぶ曲が何になるかもお楽しみに。
    二つ目は、2021年の2月14日のバレンタインデイに、村上春樹プロデュースの村上JAMを行うことです!こちらは全世界配信ライブイベントになります。画面上 でも楽しめる色々な施策を考えておりますので、ぜひチケットを買って頂き、楽しんで欲しいと思います。(レオP)
  • 振り返れば今年の5月、『村上RADIO ステイホームスペシャル~明るいあしたを迎えるための音楽~』(2020年日本民間放送連盟賞 番組部門ラジオエンターテインメント番組 最優秀賞を受賞)で、村上さんは1曲目に、モダン・フォーク・カルテットの“LOOK FOR THE SILVER LINING”をかけました。どんなにつらい状況でも、必ずそこに明るい裏面がある、明日を信じよう、と。Tomorrow is another day.クリスマスももうすぐですが、冬の夜、村上DJの選曲とメッセージがきびしい日々を送る方々の心を温めてくれますように。(エディターS)
  • 大晦日の生放送楽しみですね。みなさんどんどん「2020年で一番よかったこと」応募してください!ちなみに僕の2020年で一番よかったことは「村上RADIOステイホームスペシャル~明るいあしたを迎えるための音楽」で大好きなエリック・クラプトンがかかったことです!(CAD伊藤)
  • 映画音楽特集をやってほしいというリクエストが多数届いています。今回は映画の話もいろいろ出てきましたね。「トップガン」「真夜中のカーボーイ」「ボーイズ・ライフ」そして「ラストタンゴ・イン・パリ」。春樹さんセレクトのメロディを探しながら映画を観るのも楽しそう。映画音楽特集もそのうち実現するかもしれません。気長に待ちましょう。(構成ヒロコ)
  • 今回の「村上RADIO」は、選曲テーマの“マイフェイバリットソングズ”に加えて、リスナーメッセージに答える回でした。激動だった2020年の年末に、“蝶々を見るたびに、僕は子供の頃を思い出すんだ” と歌うレス・マッキャンの「Everytime I See a Butterfly」を聞いて、久しぶりに音楽で感動を覚えました。またリスナーメッセージに対して、村上さんも十四歳くらいの風景が心に焼き付いていると語っています。「そういう懐かしい風景ってけっこう大事」という言葉も印象的でした。子供の頃のことも、音楽で感動することもしばらく忘れていた自分に、今回もう一つ村上さんが教えてくれた大事なことが「喪失感と孤独を抱えて生きていくこと」で「人はそうやって成長していく」ということ。僕もまだまだ育ちたいです。(キム兄)

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『村上ソングズ』
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『走ることについて語るときに僕の語ること』
文藝春秋(2007年10月)文春文庫(2010年6月):音楽本ではないが、ランナーにも愛読者が多い。

村上春樹(むらかみ・はるき)プロフィール

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、最新長編小説に『騎士団長殺し』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』、『パン屋再襲撃』などの短編小説集、『ポートレイト・イン・ジャズ』(絵・和田誠)など音楽に関わる著書、『村上ラヂオ』等のエッセイ集、紀行文、翻訳書など著訳書多数。多くの小説作品に魅力的な音楽が登場することでも知られる。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、’09年エルサレム賞、’11年カタルーニャ国際賞、’16年アンデルセン文学賞を受賞。