MURAKAMI RADIO
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村上春樹さんからのメッセージ

村上春樹さんからのメッセージ

今このような状況で、みなさんそれぞれに、いろいろと変則的で、不便な生活を送っておられることと思います。会いたい人にも会えない、やりたいこともできない、というのはつらいものです。厳しい状況に置かれている方もたくさんいらっしゃると思います。そういうみなさんのために、僕にできることはとても限られているのですが、少しでも元気の出る、少しでも心が和む音楽を、僕なりに選んでみました。それを僕が普段使っているプレーヤーでかけます。だから、いつもとちょっと音が違うかもね。ようこそ、僕の書斎に。

村上春樹さんからのメッセージ

村上RADIO ステイホームスペシャル~明るいあしたを迎えるための音楽

村上RADIO ステイホームスペシャル~明るいあしたを迎えるための音楽

こんばんは、村上春樹です。
村上RADIO、いつもは二ヶ月に一度のペースでやっているんですが、今日は臨時の枠をもらって、二時間の特別版をお送りします。「明るいあしたを迎えるための音楽」というのが今日のテーマです。もやもやと溜まっているコロナ関連の憂鬱な気分を、音楽の力で少しでも吹き飛ばしたいですね。
今日はいつものTOKYO FMのスタジオではなく、僕の自宅の書斎からstay homeでお送りしています。僕一人ですが、猫山さんがそばでちょっとだけお手伝いをしてくれています。えーと、邪魔はしないでくださいね。
LOOK FOR THE SILVER LINING
The Modern Folk Quartet
Moonlight Serenade
ドリームズヴィル・レコード
まずはモダン・フォーク・カルテットの“LOOK FOR THE SILVER LINING”。

英語には、“Every cloud has a silver lining.”、「どんな雲も裏側は銀色に輝いている」という言葉があります。ライニングというのは洋服の裏地のことですよね。どんなにつらい状況でも、必ずそこに明るい裏面がある。明日を信じよう。そういう前向きな歌です。チェト・ベイカーの歌が有名ですけど、今日はモダン・フォーク・カルテットの歌で聴いて下さい。

モダン・フォーク・カルテットはもともとその名前どおり、フォークソングをレパートリーの中心にして1960年代に結成されたんですが、あとになっていろんな他のジャンルの音楽も取り上げるようになりました。素敵なハーモニーです。
あなたも銀色の裏地を探してみてください。
Waitin' On A Sunny Day
Bruce Springsteen
The Rising
Columbia
“Waiting on a Sunny Day”、ブルース・スプリングスティーンが、2001年の9・11事件の直後に出したアルバム『The Rising』の中の一曲です。
僕の知っているニューヨークの人は「このアルバムにとても精神的に助けられた」と言っていました。音楽にはそういう力があります。この”Waiting on a Sunny Day”も、心に響く音楽です。
Raindrops Keep Falling On My Head
Isley Meets Bacharach
Here I Am
DreamWorks Records
次は僕が落ち込んだときによく好んで聴く「雨に濡れても」です。
今日はアイズリー・ブラザーズのリードシンガー、ロナルド・アイズリーと、作曲者のバート・バカラックという珍しい顔合わせで聴いて下さい。

“I'm never gonna stop the rain by complaining.” この歌詞が僕はけっこう好きなんです。
「いくら苦情を並べたところで、それで雨がやむわけじゃないだろう」
ほんとにそうですね。しっかり上を向いて歩いていきましょう。

最近の世の中って、なんでもいいからすぐに白黒をつけちゃうという傾向が強いですよね。とくにインターネットの世界なんかでは、強い口調であっちかこっちかきっぱり言い切った方が勝ち、みたいなことがおこなわれています。 生意気なことを言うようですが、僕はそういうのはあまり好きじゃないんです。白か黒かよくわからないところで行き惑うのが人間だし、その姿を思いやりを込めて描いたり、あるいは癒したりするのが、音楽や小説の本来の役目ですよね。 こういう素敵な音楽を聴いていると、あらためてそれを実感します。
Here Comes the Sun
Nina Simone
The Essential Nina Simone, Vol. 2
RCA
ジョージ・ハリスンが作曲した名曲「ヒア・カムズ・ザ・サン」をニーナ・シモンが歌います。
1971年の録音です。ピアノを弾いているのも彼女です。歌詞はすごくシンプルだけど、シンプルなぶん音楽が心にじかに響きます。
僕は一度、視覚障害者の方の伴走者として、10 kmレースを走ったことあるんです。ボランティアを募集していたので、申し込んで、全盲の方と一緒に走りました。手と手を紐でつないで。実際に走ってみてわかったんだけど、目の見えない人と一緒にレースを走るって、慣れないとむずかしいんです。スピードも相手に合わせて調整しなきゃいけないし、路面の情報も正確に素早く伝えなくちゃいけないんです。僕がそのとき走ったのは、厚木の米軍飛行場だったと思うけど、飛行場って意外に路面が荒れていて、けっこう危ないんです。つまずいたりしないように注意を払いました。それで、なんとかこともなく、ハッピーに完走しました。 そのとき、走る前とか走りながらとか、二人でいろいろ話をしたんですが、全盲の人がランニングの練習をするのって、大変なんですね。いつも伴走者がいるわけじゃないから、自分ひとりであれこれ工夫をしてトレーニングしなくちゃいけない。僕なんか「今日は身体がだるいから走るのやめるか」なんて、しょっちゅう自分に甘えているんだけど、そういうお話を聞いて、これじゃいかんと深く反省しました。
「雨に濡れても」じゃないけど、ぶつぶつ苦情を並べても、なにごとも解決しません。
自分にできることを、自分にできるペースで、ひとつひとつ工夫して片付けていくしかありません。小説を書くのだって同じことです。お互いめげずにがんばりましょう。そうですよね、羊谷さん<めええええ>。
You've Got A Friend
Carole King
The Legendary Demos
Hear Music
次はキャロル・キングの名曲“You've Got A Friend”(君の友だち)です。今日はキャロル・キング自身がデモテープとして吹き込んだヴァージョンで聴いて下さい。キャロル・キングは若い頃は、歌手としてよりも作曲家として有名で、他の歌手のためにせっせと曲を書いていました。それでその曲を売り込むために、たくさんデモテープを作っています。ピアノだけとか、簡単な伴奏だけつけて「こういう曲なんですけど」と聴かせて回るんです。でもそれがとても出来がよくて、聴いていると「これなら本人が歌えばいいのに」とか思うんだけど、若い頃のキャロル・キングは自分がスターになれるとは思っていなかったみたいですね。ルックスにコンプレックスがあったんです。作詞家で夫のジェリー・ゴフィンがハンサムで、押し出しが強かったので、なんとなくその影に隠れていた。でも自立してアルバム『Tapestry』(つづれおり)で大ブレークします。
この“You've Got A Friend”はその『Tapestry』のためのデモテープです。自分で弾くピアノの伴奏だけで歌っています。もちろんデモだから音作りは粗いけど、そのぶん本番のアルバムより素直にエモーショナルで、迫ってくるものがあります。素敵ですね。
Over the Rainbow
Ella Fitzgerald
Pure Ella
Polygram TV
映画「オズの魔法使い」の有名なテーマ曲「虹の彼方に」はすごくたくさんの歌手が歌っていますが、僕はヴァースがついているヴァージョンが好きなので、このエラ・フィッツジェラルドの歌を選びました。ヴァースというのはメインのメロディーに入る前の前置きのことですね。この曲はヴァースから入ると、すごくチャーミングに聞こえます。途中に入るテナー・ソロはプラス・ジョンソンです。いつ聴いても本当に良い歌ですよね。
Sun Is Shining
Bob Marley & The Wailers
Natural Mystic (The Legend Lives On)
Exotica Records
ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズ“Sun Is Shining”。僕はボブ・マーリーの『Natural Mystic』というアルバムで、この曲を知ったんですけど、このCDは自分で買ったんじゃないんです。ずっと前にハワイのマウイ島でレンタカーを借りたら、カーステレオにこのCDが残されていたんです。前に借りた人が取り忘れたんですね。よくあることです。で、それを聴きながらずっとマウイを回っていて、すっかり音楽が気に入りまして、車を戻すときに何も言われなかったので、そのままいただいてきました。でもね、そんなわけでケースなしの、裸のCDだけを持っていたんです。
ところが、その二年後のある日……。ホノルルの「グッドウィル」という、救世軍みたいなショップでこの『Natural Mystic』のケースとライナーノートだけ、中身なし、っていうのを見つけました。ついていた値段は一ドルでした。きっとマウイでCDを忘れてきた人が、ケースとライナーだけをそこに寄付していったんですね。もちろん僕は一ドル払って、それを買ってきました。というわけで、今では中身と容れ物が揃った完全な『Natural Mystic』を、ここにこうして所有しています。巡り会いというのはほんとに面白いものです。うん、人生の幸運を信じましょう。
What A Wonderful World
Louis Armstrong
The Ultimate Collection
Verve Records
ルイ・アームストロングの晩年の名曲「この素晴らしき世界」“What a Wonderful World”です。素敵な曲ですが、レコードを販売したABCパラマウントの重役がなぜかこの曲が大嫌いで、まったく宣伝をしなかったんです。だからアメリカではぜんぜん売れなかった。でもイギリスを始め、他のいろんな国で大ヒットして、それからアメリカでもだんだん知られるようになりました。世の中、捨てたもんじゃないですね。しかし、映画「グッドモーニング、ベトナム」でのこの曲の使い方、皮肉がたっぷりきいていて、実に素晴らしかったですよね。
Happy Birthday Sweet Darling
Kate Taylor
Kate Taylor
Columbia
コロナウィルスのせいで、いろいろとつらい思いをされている方も多いでしょう。とくにこの時期に誕生日を迎えた人、あるいは近く迎える人は、きっとすごくつまらないですよね。こんな状態だから、みんなに祝福されるというのもむずかしいだろうし、美味しいものもなかなか食べにいけないし、プレゼントもそんなにもらえないかもしれない。そういう人たちのために、僕がバースデー・ソングをプレゼントします。ジェームズ・テイラーの妹、ケイト・テイラーが“Happy Birthday Sweet Darling ”を歌います。これ、なかなか素敵なんです。僕は自分の誕生日によく聴いています。古いLPでおかけします。
お誕生日おめでとう。You're a little bit older now. ――君は少しだけ歳を取ったんだね。うん、来年の今頃はきっと、たくさんいいことがありますよ。
Smile
Eric Clapton
461 Ocean Boulevard Deluxe Edition
Polydor
村上RADIO。今夜は僕、村上春樹が自宅の書斎からステイホームでお届けしています。エリック・クラプトンが歌う“Smile”。チャーリー・チャップリンの作ったとても美しい曲です。これは1974年にロンドンのハマースミス・オデオン劇場でおこなわれたコンサートでのライブ録音です。コンサートの最初の曲がこの“Smile”なんですね。すごいですねえ。なんか、すごいと思いませんか?
微笑みって大事ですよね。クラプトンさんも人生のいろんな荒波を乗り越えて生き延びてきただけあって、歌に特別な説得力があります。
My Favorite Things Featuring Kathleen Battle
Al Jarreau
Al Jarreau
Columbia
ジャズ・シンガーのアル・ジャロウとオペラ歌手のキャスリーン・バトルがデュエットで歌う“My Favorite Things”です。私の好きなものたち。
僕にもいろんな好きなものがあります。たとえば、レイモンド・チャンドラーのミステリー、冬の鍋焼きうどん、猫の肉球、新しいジョギング・シューズ、コンサート開始を告げるベル、車内の明かりが数秒消えていた頃の地下鉄銀座線、などなど……あなたはどんなものが好きでしょう? 好きなものを並べてリストにして、世の中が落ち着くのを待ちましょう。
She Wore a Yellow Ribbon
小野リサ
Jambalaya - Bossa Americana
Virgin
次は医療の現場で働いておられるみなさんに、僕からこの曲を贈りたいと思います。黄色いリボンはつけていませんが、遠くから応援しています。本当に大変なお仕事だと思います。がんばって下さい。

小野リサさんが歌う「黄色いリボン」。“She Wore A Yellow Ribbon”、ジョン・フォードの映画「黄色いリボン」の主題歌ですね。この歌の中の女性は、遠く離れたところにいる恋人のために、冬の日にも、眩しい五月の日にも、いつだって黄色いリボンを首に巻いています。あるいはそれで髪を結んでいます。たとえ遠くに離れていても、そういう恋人がいるといいですね。小野リサさんのこの歌を聴いていると、なんだかほのぼのと温かい気持ちになれます。僕は走りながら、この歌をよく聴いています。

でも、ちょっと思ったんですけど、医療の現場で働いておられる方に感謝し、応援するために黄色いリボンをつけるって、ひょっとしていいアイデアかもしれませんね。
Happy Talk
Nancy Wilson
Nancy Wilson / Cannonball Adderley
Capitol Records
ナンシー・ウィルソンがキャノンボール・アダレイのクインテットをバックに、“Happy Talk”を歌います。とにかくハッピーな話をしようよ、という歌です。
Brian Wilson
They Can't Take That Away From Me
Reimagines Gershwin
Disney Pearl Series
次はジョージ・ガーシュインの古いスタンダード・ソングですが、ブライアン・ウィルソンがポップな編曲でいかにも楽しそうに歌っています。“They Can't Take That Away From Me”、誰も僕から奪えない。何を奪うことができないのかというと、それは「僕が大事に持っている君の思い出」です。
思い出って大事ですよね。もし思い出がなかったら、人生なんてかさかさの砂漠みたいなものです。みなさんもいっぱい思い出を増やしてください。歳を取ってからずいぶん役に立ちますよ。
Put on a Happy Face
Tony Bennett
Duets: An American Classic
Sony BMG UK
“Put on a Happy Face”、幸せな顔で行こう。これ、僕はあえて「しけた顔はよそうぜ」と訳したいですね。このトニー・ベネットとジェームズ・テイラーの掛け合いはすごく生き生きしています。本当に二人で一緒に録音したんでしょうか。それとも別々に録音して、あとでひとつに合せたのでしょうか。そのへんは僕もよくわかりませんけど、とても自然に息が合っています。「知り合いに、すげえしけた顔した女の子がいてさ」「ああ、そうそう、その子、僕も知ってるよ」、みたいな愉快な掛け合いがあります。僕らもしけた顔、むずかしい顔はできるだけよしましょうね。Put on a Happy Faceです。
Over the Rainbow
Fred Lowery
Whistle A Happy Tune!
Decca
口笛のプロ、フレッド・ロウリーさんが「虹の彼方に」を口笛で吹きます。これ、なかなか聴かせます。聴いてみてください。とくに最後の締めくくりなんて、かっこいいですよ。
We'll Meet Again
Peggy Lee with Benny Goodman
Benny Goodman And Peggy Lee
CBS SONY
次はペギー・リーがベニー・グッドマン楽団と一緒に歌います。“We'll Meet Again”。これは1942年のヒットソングです。「きっとまた会いましょう。いつになるか、どこになるか、それはわからないけど、きっとまた会いましょうね」。1942年といえば戦争のまっただ中です。だからこれは、兵隊として戦地に赴く恋人を送る歌なんです。そう思って聴くと、なんだか心に沁みます。

コロナとの戦いは戦争のようなものだ、そういう言い方をする政治家がいます。でも僕はそういうたとえは正しくないと思う。ウイルスとの戦いは、善と悪、敵と味方の対立じゃなくて、ぼくらがどれだけ知恵を絞って、協力し合い、助け合い、それぞれをうまく保っていけるかという試練の場です。殺し合うための力の戦いではなく、生かし合うための知恵の戦いです。敵意や憎しみは、そこでは不要なものです。簡単に戦争にはたとえてほしくない。そうですよね?
君がみ声に我が心開く(Mon coeur s'ouvre à ta voix)
ジークリット・オネーギン
キャスリーン・フェリア&ジークリット・オネーギン名唱集
Angel Records
最後にクラシック音楽をひとつかけます。僕がよく聴いている大好きな曲です。サン=サーンスの「あなたの声に私の心は開く」。歌劇『サムソンとデリラ』の中のアリアです。歌っているのはジークリット・オネーギン、スウェーデン出身のアルト歌手です。録音年月日はわかりませんが、たぶん1920年代、もちろんSP盤です。百年近く前の録音ですが、この声、心情がそのまま溢れていて、ほんとに美しいです。とくにクライマックスが素晴らしい。これを聴くと時を超えて、いつも胸が熱くなります。愛の歌です。聴いて下さい。
What the World Needs Now Is Love
Wei Wei Wuu
Wei Wei Wuu plays Burt Bacharach
WARNER MUSIC JAPAN
今日のクロージング音楽はウェイウェイ・ウーさんの「世界は愛を求めている」です。ウーさんが演奏しているのは中国の二胡です。なかなか素敵ですね。二胡でバート・バカラックを演奏するという発想が素晴らしいです。
でも、本当にそうですよね。今世界が必要としているのはマスクであり、ワクチンであり、そして愛です。マスクとワクチンが広く行き渡っても、もし愛や思いやりが足りなければ、コロナが終わったあとの世界は、きっとぎすぎすした味気ない場所になってしまうでしょう。これは50年以上前に作られた曲なんですけど、今聴いても「そうだよなあ」と実感します。
愛って、大事です。
今日の最後の言葉はポール・マッカートニーです。彼は詩を書くことについてこう述べています。

「十代の頃、どういうわけか僕は自分の書いた詩を、スクール・マガジンに掲載させたいという、熱烈な欲望に駆られた。で、僕なりに深い意味を持つ詩を書いたんだけど、それは即座にボツにされた。それを境に僕は、もう何かに頼るまい、自分ひとりの力で進んでいこうと決意した」(Paul McCartney “Blackbird Singing: Poems and Lyrics 1965-1999”)

そうですね。権威や前例なんてものを信用しないこと、自分のやり方をしっかり貫くこと――。
それが価値ある新しい何かをクリエイトするための大事な条件になると、僕も思います。みなさんもポールに負けないように、そしてコロナウイルスにも負けないように、自分の求める何かを熱く追求してください。
それではまた今度。平和な日常が、一日も早く世界に戻ることを祈っています。

いまお酒を飲んでるかた、いらっしゃいますか。きっといらっしゃるでしょうね、夜中ですから。
僕も今からワインを飲みますので、「明るいあした」のために乾杯しましょう。おやすみなさい。

リスナーからの質問に答えました

リスナーからの質問に答えました

今回は「あなたがいま語りたいこと」「村上春樹さんと考えたいこと」ということでメッセージを募集しました。たくさん届いたので、紹介したいと思います。
劇場でパートのお仕事をしている、40代の女性、のりぐまさん

感染拡大後、一番変わったことは、常に「自分が大切にしたいものはなんだろう」と問われている気がしていることです。今できること、できないことは関係なく。人やもの、趣味、すべてにおいて。村上さんはどうですか?
コロナ・ウイルスのせいで、ぼくらの日常生活にはいろんな変化がありましたよね。大きな変化から小さな変化まで。僕の生活にも変化はありました。大きな変化について話すのはけっこう大変なので、小さなことを話しますね。僕はここのところなぜか、万年筆とインクを使って字を書くようになりました。もう二十年くらい使っていなかった万年筆をひきだしの奥から引っ張り出しきて、新しいインクを買って、字を書いています。すると、なんだか気分がいいんです。ああ、字ってこういうものだったよな、みたいな懐かしさを感じます。だから、あなたもそういう日常生活における「小さな変化」を、リストアップしてみるといいと思いますよ。そうすれば、あるいは「大きな変化」も見えてくるかもしれません。
60代、教員の女性、rlungrlungさん

コロナ自粛生活で休校が続き、夜更かしもできるので、読書三昧です。久しぶりにカミュの『ペスト』を読み直してます。春樹さんは『ペスト』はいかがですか?
僕は高校時代に『ペスト』を読みました。昔の文学青年はみんなカミュを読んでましたね。今はあまり読まなくなったみたいだけど、このコロナ・ウイルスのおかげでというか、再び読まれるようになったみたいです。僕は今、ガルシア・マルケスの『コレラの時代の愛』を再読しています。こういうことでもなければ二度目を読むことはなかったかもしれないですね。異様なほど激しい愛の物語です。これ、面白いですよ。
ドーナツ屋の店長をしているという、50代の男性、玄界灘の羊男さん

休業要請のため、2週間ショッピングセンター内のドーナツ・ショップを休店していました。不要不急かといわれると、別に食べなくても、自粛生活には支障はないですよね、ドーナツは。ドーナツの穴だけでもショーケースに並べられたら、面白い「無」の陳列になったかもしれません。今は時間短縮ながら、営業を再開し、ドーナツ作って、仕事終わりにビールを飲んでいます。小確幸です。
ドーナツ、たとえ何があろうと、何が起ころうと、世の中には絶対に必要なものですよね。ドーナツ本体ももちろん素敵ですけど、「ドーナツの穴」という無の比喩も社会には欠かせません。ドーナツはいろんな意味で、世界を癒やします。がんばってドーナツを作り続けて下さい。僕は常に、ドーナツ・ショップの味方です。
40代、会社員の女性、白髪が目立つさん

私は子供の保育園が休園となり、旦那と交互に出勤しています。野球もないし、買い物も必要最低限でつまらない。村上さんの最近の楽しみを教えて下さい。
はい、うん、野球ねえ……うちには昔の試合をビデオにとったものがけっこうありまして、それをひとつひとつ観なおしています。僕の場合、ほとんどヤクルトスワローズの試合なんですが、野村監督の下でリーグ優勝を決めた試合とか、池山の引退試合とか、観てると懐かしいです。それからうちにはレーザーディスクがまだけっこうあるんです。このあいだは、ゴダールの作品を何本かまとめて観ました。バック・トゥー・ザ・1960’sみたいでなかなかよかったですよ。
60代、自営業の女性、羊女さん

コロナ騒ぎ以来、よくできたSF映画の中にいるような気がしてなりません。どこかでポイントが切り替わってしまったのでしょうか? 最近認知症の母がさかんに家の中に小さな子供が走り回っているとか小人の軍隊が行進していると言うようになりました。最初は取り合わなかった私ももしかしたらリトル・ピープルの事かもしれないと思い始めています。世界は変わろうとしているのでしょうか?
うーん、そうですか、リトル・ピープル、出てますか。なかなか怖いですよね。お母さん、世界の変貌を微妙に先取りしているのかもしれないですね。でもね、小説家がやっているのも、だいたいそれと同じようなことなんです。状況の変化にあわせて、普通の人が見えないものを、あるいは見ないようにしているものを、めざとく見つけてそれを文章にし、物語にすること。そういうのが小説家の大事な役目です。お母さんによろしくお伝え下さい。
調理師をしている50代の男性、こんぶとでんぶさん

春樹さんこんばんは。私は今、キプロスの日本食レストランで単身赴任で働いています。とはいえ、国がロックダウンしてしまい、仕事もなく、かといって家族のもとにも帰ることもできず、ただ日々悶々と過ごしています。ビーチはもう夏真っ盛りですが、ツーリストもいないので、餌の目当てをなくした野良猫たちと、ときどき慰め合っています。
そうですか、ロックダウンしたキプロスにおられるんだ。大変ですねえ。ロックダウン下ではありませんが、僕もギリシャの島で冬を過ごしたことがあります。観光客はいないし、店はみんな閉まっちゃうし、猫と遊ぶしかやることないんですよね。でも猫がいるだけでラッキーなんだと思って下さい。猫はいろんなことを人に教えてくれます。そうですよね、猫山さん。(みゃーお)
ナナホコさん、50代の女性

ジョギング中、マスクは要らないと思うのですが、春樹さんはどうされていますか? つけて走るとかなり苦しいですよね?
僕は毎日だいたい欠かさずに走っていますけど、僕の家は神奈川県のけっこう辺鄙なところにあるので、走っていて誰かとすれ違うってことがあまりないんです。東京都心とは違いますから。だから走るときには、基本的にマスクはしません。マスクして走るとけっこう息苦しいですよね。中国ではマスクをして運動したせいで、何人か亡くなったという話も聞きました。いずれにせよ、早くマスクなんかなしに気持ちよく走れる環境になるといいですね。プールにも行きたいですしね。
23歳、女性、あめさん

一人暮らしをしている学生です。実家には祖母がいるため、帰省を我慢しています…ずっと家に1人でいるととても孤独を感じます。村上さんは強い孤独を感じたときに何をしますか?
僕は一人っ子だし、一人でいることはもともとあまり苦痛じゃないんです。人に会わなくても、人と話さなくても、あまり淋しいとは思いません。一人で本を読んだり、音楽を聴いたり、文章を書いたりしているのは好きですし。でも若いときに一度、二十歳の頃ですが、孤独の「どつぼ」みたいなところにはまっちゃったことがありまして、これはかなりつらかったです。本物の孤独というのはこれほど厳しいことなんだと、そのとき初めて実感しました。うーん、でもそういう時期を経験したおかげで、多くの大切なことが学べました。それは、「人は一人じゃ生きていけないんだ」ということです。人を求め、人に求められることの大事さです。あなたもきっと今は、そういうことを学ぶべき時期にいるのだと思います。今は我慢して、学ばれるといいと思います。時にはひとりぼっちになることも大事です。淋しいでしょうけど、がんばって下さい。トンネルには必ず出口があります。
30代、会社員の男性、ウォーターマウスさん

学生の頃、就職活動で東京に出て、村上さんの小説を電車で読んでいたら隣の女性も同じ小説を読んでいて、今結婚することができました。どこかでお礼を言いたくて連絡させていただきました。
コロナウイルスとはぜんぜん関係のない内容のメールなんだけど、ほのぼのしていていいので紹介させていただきます。何かのお役に立てたようで、僕としても嬉しいです。しかし今はソーシャル・ディスタンスみたいなものがあって、二メートル以内には近づきにくいから、隣の人が何を読んでいるかなんて、ちょっとわかんないですよね。今ではそういう出会いは成立しにくいかもしれません。残念ながら。でも、もしそれが平和な時代であって、電車で「カメムシの育て方」という本を読んでいたら、隣の席の女性もやはりたまたま「カメムシの育て方」を読んでいた……みたいなことになったら、どうしようかな?やっぱり声をかけるんでしょうかね?ちょっと考えどころですね。
40代、会社員の女性、ハクモクレンさん

月が2つある世界に迷い込んでしまったような気分で日々を過ごしています。いまこの世界で起きていることを私たちはどんなふうにとらえればいいのか? 春樹さんならなんて言うだろう、春樹さんの言葉が聞きたいなって、ずっと思っていました。漠然と感じていらっしゃることでも構いません。シェアしていただけるととても嬉しいです。あと春樹さんのくだらない冗談がものすごく聞きたいです。
はい、くだらない冗談ねえ……つい言っちゃうんです。イメージが悪くなるからよした方がいいって、よく言われるんですが、思いつくとつい口に出しちゃいます。うちでも奥さんに、「あなたには関西人の血が流れているから」っていつも言われてます。関西人だからみんな吉本系、というわけでもないと思うんだけどね。でもこういう時代だからこそ、笑う機会がなくなっちゃうと淋しいですよね。そうですね、空に月が二つあってもおかしくないような気がします。お互い、がんばって、そんな時代を生き抜いていきましょう。羊谷さんもがんばりましょうね。
30代の女性、つるなしいんげんさん

「アフターコロナ」「ポストコロナ」という言葉を目にします。「世界の仕組みは変わってしまって、元には戻らない」とか「この変化の波に乗れない人は新しい時代を生きていけない」といった語られ方も見かけて、とても不安です。村上さんは「アフターコロナ」についてどう思われますか?
うーん、今を生きるだけで大変なのに、「アフターコロナ」「ポストコロナ」と言われても、急にはよくわかんないですよね。でも僕がちょっと思ったのは、この「自粛期間」のせいで、僕らの生活にとって「なくてはならないもの」が何か、「なくても別に困らないもの」が何か……そういうことが少しずつ見えてきたんじゃないかな、という気がします。そういう意味では、ある種壮大な「社会的実験」みたいなものが、世界規模でおこなわれたんじゃないでしょうか。そしてその実験の成果は、これからじわじわと社会全体に広がっていくだろうという気がします。良くも悪くも。これまでの生活をもう一度あらためて見直すというのはたぶん良いことですよね。逆に怖いのは、いろんな意味で人々が閉塞的になってしまうことですよね。自分さえ良けりゃそれでいい……みたいな感じで。大きなところでいえば、それからグローバリズムが後退して、自分の国や地域だけで縮こまって、閉じこもってしまうとか。そういうのはちょっと怖いかもしれませんね。
40代の女性、紙の本が好きさん

今回の新型コロナウイルスの流行で、図らずも自分の理想としていた生活を送っています。不可能だと思っていた家族のテレワークが実現し、子供とじっくり話す時間ができ、嫌でたまらなかった集まりは中止になりました。いつかこの状況はなくなるのだろうと考えると、寂しい気持ちになります。新しい生活に向かうのだと思えるようになるには、どんなことを思っていけば良いでしょうか。
あなたの場合はきっと、今送られているようなシンプルな生活が、もともとの性格に合っていたんでしょうね。その感覚は、僕にもよくわかります。だから今の「コロナ環境下」の生活の良いところを残すようにして、「コロナ後」の新しい生活を築いていかれると良いと思いますよ。うまくいくといいですね。僕の場合「コロナ環境下」でも、正直なところ、普段の生活とそれほど変わりないんです。これまで一人で家でずっと仕事をしてきたわけですからね。ただ、TOKYO FMのスタジオで番組の収録ができないのは、ちょっと淋しいです。みんな、わりに和気あいあいとやっておりましたので。
自営業、50代の女性、茹で卵は半熟がお好きさん

これまで春樹さんはオウムの事件の後や阪神淡路大震災の後、それに関連した作品を発表なさってきましたね。私たちの生命観や価値観を変えてしまう出来事の後に春樹さんの作品を読んで救われた気持ちになりました。今度もまた新型コロナウイルスに翻弄される私たちのために何か書いて下さい。
何か大きな事件が起こったとき、小説家にはいくつかの取り組み方があると思うんです。「その事件を直接の題材として物語を書く」というのも、もちろん大事な作業になると思います。僕は「オウム真理教」事件のときには、『アンダーグラウンド』という本を書きました。その事件に関連した数多くの人々の実際の肉声を集めたもので、フィクションじゃありませんが、そこには間違いなく集団的な「物語性」みたいなものがあります。でも僕としては基本的に、「今ここで起こっていること」をそのまま書くのではなく、違う形の物語に置き換えていくことの方に、むしろ興味を惹かれます。そういった「移動作業」というか「転換作業」にこそ、小説というものの特性が発揮されるんじゃないかと思います。 今回の「コロナ状況」がどういう形でこれからの僕の作品に反映されるか、それは僕自身にもわかりません。どうなるか、結果が出てくるまでには時間がかかるかもしれません。でも、何らかの影響を受けないということはまずあり得ないでしょうね。こういう空気を吸って吐いている限り――。
最後になりますが、大阪の山中伸弥さんからメールをいただきました。山中先生、コロナ・ウイルスのことではずいぶんがんばっておられますね。こんなメールです。

<春樹さん。一生のお願いなんですが、僕にもラジオネームをいただけませんか? 山中>

しかし、先生、ラジオネームごときを「一生のお願い」にしちゃっていいものですかね?ノーベル賞とは違いますから。でもまあ、そこまで言われると、僕としてもむげに断るわけにはいきません。わかりました。特別にラジオネームを差し上げます。なにしろ相手が山中先生ですから、超デラックス、超豪華なラジオネームにしましょうね。はい、山中伸弥さんのラジオネームは……

「AB型の伊勢エビ」です。ちょっと脱力感はありますが、なにしろ伊勢エビですから、デラックスですよね。これからの人生、このラジオネームと共に生きていって下さい。健闘を祈ります。

スタッフ後記

スタッフ後記

  • 「明るいあしたのために乾杯しましょう」春樹さんの呼びかけに、とっておきのピノノワールを用意しました。午前零時のステイホーム。言葉と音楽の素敵な2時間でした。今日ドイツ公共放送の取材を受けました。ドイツ、オーストリア、スイスて放送されるニュースで番組を取り上げるとのこと。海外からも注目を集めているのですね。それでは、乾杯!(延江ゼネラルプロデューサー)
  • 銀色の雲、夏の日の記憶、空にかかる虹。たいせつな友だちがいて、誕生日を祝ってくれる人がいる――Music for a Brighter Tomorow、村上さんの書斎から届けられた「音楽と言葉」は、気持ちをじんわりあたためてくれました。雨の日もあるけれど、世の中も人生も捨てたもんじゃないと思いたい。明日は黄色いリボンを買いに行きます。(エディターS)
  • 今回の「村上RADIO」は、特別版として「明るいあしたを迎えるための音楽」がテーマです。緊急事態の最中に村上さんの書斎からラジオ番組をお届けするという、あらゆる意味で特別な状況になりました。この束の間、少しでも心が安らぐ時間を共有できれば嬉しいです。We'll Meet Again(キム兄)
  • 今回の収録は、春樹さんがご自宅にマイクや収録機材を揃え、自分のナレーションを収録して、そのナレーションを元に番組を構成するという完全ステイホーム収録で実施しました。春樹さん、ありがとうございました!そして、海外から「村上RADIOを聞きたい!」の声にお応えし、放送内容を英訳してホームページに掲載しています。こちらもお楽しみください。(レオP)
  • 今日の放送は春樹さんのお部屋で収録されたものです。よーく聞くと春樹さんの周りの音がたまに聞こえるかも?気になった方はradikoタイムフリーでぜひもう一度!!まだまだいつもの日常に戻れる日は遠そうですが、一日も早い新型コロナウイルス感染症の終息と、皆さまのご健康を心よりお祈り申し上げます。(CADイトー)
  • 銀色の裏地、黄色いリボン、青い鳥、緑の木々、赤いバラ。世界はこんなにもカラフルで美しいものにあふれている。そう気づかせてくれる2時間でした。コロナの時代を生きるわたしたちに向けた村上さんのメッセージが、新聞でも文芸誌でもなくラジオから発信されたこともとても興味深く感じます。言葉と音楽と愛の力を信じたい、そう思いました。(構成ヒロコ)

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村上選曲を学ぶテキストはこれだ!

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単行本

スタン・ゲッツー音楽を生きるー

ドナルド・L・マギン/著 、村上春樹/訳
発売日:2019/8/27
3,520円(税込)
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村上さんのところ

村上春樹/著
発売日:2018/5/1
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村上春樹 雑文集

村上春樹/著
発売日:2015/11/01
810円(税込)
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セロニアス・モンクのいた風景

村上春樹/編訳
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ペット・サウンズ

ジム・フジーリ/著 、村上春樹/訳
発売日:2011/12/01
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バット・ビューティフル

ジェフ・ダイヤー/著 、村上春樹/訳
発売日:2011/09/30
2,052円(税込)
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文庫

ジャズ・アネクドーツ

ビル・クロウ/著 、村上春樹/訳
発売日:2005/7/1
853円(税込)
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文庫

ポートレイト・イン・ジャズ

和田誠/著 、村上春樹/著
発売日:2004/02/01
853円(税込)
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文庫

さよならバードランド―あるジャズ・ミュージシャンの回想―

ビル・クロウ/著 、村上春樹/訳
発売日:1994/02/01
961円(税込)
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『意味がなければスイングはない』
文藝春秋(2005年11月)、文春文庫(2008年12月):『ステレオサウンド』2003年春号~2005年夏号に連載された音楽評論集。
『村上ソングズ』
和田誠(絵・エッセイ)と共著 中央公論新社(2007年12月)「村上春樹翻訳ライブラリー」シリーズに収録(2010年11月):歌詞の翻訳と和田誠の挿絵が中心の楽しい一冊。
『走ることについて語るときに僕の語ること』
文藝春秋(2007年10月)文春文庫(2010年6月):音楽本ではないが、ランナーにも愛読者が多い。

村上春樹(むらかみ・はるき)プロフィール

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、最新長編小説に『騎士団長殺し』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』、『パン屋再襲撃』などの短編小説集、『ポートレイト・イン・ジャズ』(絵・和田誠)など音楽に関わる著書、『村上ラヂオ』等のエッセイ集、紀行文、翻訳書など著訳書多数。多くの小説作品に魅力的な音楽が登場することでも知られる。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、’09年エルサレム賞、’11年カタルーニャ国際賞、’16年アンデルセン文学賞を受賞。