MURAKAMI RADIO
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村上RADIO~村上の世間話~

村上RADIO~村上の世間話~

こんばんは。村上春樹です。今日は「村上の世間話」ということで、あれこれ世間話をします。役に立つとか、何か教訓が含まれているとか、そういう立派な話じゃないので、まあ猫の頭でも撫でながら、適当にはいはいと聞き流してください。にゃー(猫山)
その合間に僕の好きな音楽をかけます。秋の日曜日の夕暮れ、気楽にお付き合いください。

このあいだ渋谷の近くを歩いていたら、細い道の入り口に「この先に隠れ家バーあります」という看板が出ていました。隠れ家バーならそんな宣伝するなよな、とか思いますけど、しかし誰にも存在を気づいてもらえない隠れ家バーというのも、やっている方にとってはけっこうきついものなんでしょうね。むずかしいところです。

世間話① 猫を洗う
うちで何かを作業しているときに、セールスがらみの電話がかかってくることってよくありますよね。僕は物書きで、だいたい自宅にいて仕事をしてますから、そういう電話はかなり困りものです。でもね「今、忙しいんで」とか言って、がちゃんと電話を切っちゃうのも、なんか愛想がなくて、相手に悪いような気がします。で、これまでは「今、ちょっと料理をしている最中なんで、手が離せなくて、すみません」とか適当な理由をでっちあげて断っていたんですが、中には「じゃあ、いつ料理は終わりますか?」みたいな引かない人もいて、これも困っちゃうんで、最近では「すみません、今ちょっと猫を洗っている最中で、手が離せないんです」と言って、断るようにしていました。
するとだいたい相手は意表を突かれて、すぐに電話を切ってくれます。「じゃあ、いつその猫を洗い終わるでしょうか?」なんて尋ねる人はいなかったですね。そんなの、猫次第ですものね。どれくらいかかるかはわかりません。猫を実際に洗ったことあります? 猫ってだいたい水が嫌いですから、かなり抵抗します。ずいぶんひっかかれました。お風呂に入ると気持ちいいと思うんだけどね。にゃー(猫山)
Kitty
The Presidents Of The United States Of America
The Presidents Of The United States Of America
COLUMBIA
The Presidents Of The United States Of Americaというすごい名前のバンドの演奏です。
曲は、Kitty。

世間話② ネガティブ票
選挙があるたびに、いつも投票率の低さが世間で問題になりますが、投票率を画期的に高めるための方策が僕にはひとつあります。それは「ネガティブ票」を導入することです。これ、どういうことかというと、普通は選挙って「この人を当選させたい」と思って、その人の名前を書いて投票しますよね。それはポジティブ票です。でも「当選させたい」と思える人が見当たらない場合、「こいつだけは当選させたくない」という候補者にマイナス票を一票投じることができる――それがネガティブ票です。投票する人は投票所で、ポジティブ票かネガティブ票か、どちらかひとつを自由に選択することができます。
僕は思うんだけど、選挙ポスターを見ていて、「この人をぜひ当選させたい」というより、「こいつだけはぜったい当選させたくない」っていうことの方が、むしろ多いんじゃないでしょうか? だから、ネガティブ票制度を導入すれば、投票率はきっと飛躍的に伸びるはずだと思うんだけど……でも、きっとこのアイデアは採用されないだろうな。プラス票よりマイナス票の方が多い人がでてきたりしてね。まあこれね、ただの個人的な提案です。
口笛をふきながら
Louis Armstrong
Disney Songs The Satchmo Way
ポニーキャニオン
ルイ・アームストロングがディズニー映画の主題歌を歌います。“Whistle While You Work”(口笛吹いて)。「白雪姫」の中の曲です。

世間話③ 鮨屋の話
僕がときどき行く近所の鮨屋がありまして、このあいだそこの大将と話していたんですが、僕が十数年前、その店に最初に行ったときの話になりまして、彼が言うには、「村上さんって、最初にうちに見えたとき、この人ほんとに勘定が払えるのかなって心配で、けっこうびびりました」 ということでした。
「へえ、そんなに貧乏そうに見えたかな?」って聞くと、「ええ、見えました」とはっきり断言されました。
たしかに、よれたTシャツと、ショートパンツに野球帽というかっこうで、一見でふらっと一人で鮨屋に入って、カウンターに座ったら、それはさすがに警戒されるかもしれないですね。
僕はとくに旅行をしているときなんか、知らない店に一人で入って、お酒を飲んだりするのが好きなんですが、たしかにしばしば断られます。「すみません、予約でいっぱいでして」とか言われてね。見た所、お店はがらがらなんだけどね。でもうまく入れてもらえて、その結果いろいろと面白い体験をすることもあります。思いもよらず美味しいものを食べられたり、面白い話を聞けたり。怖い思いをしたり、勘定をぼられたりしたことはまだ一度もありません。
一度京都の小さな料理屋に一人でふらっと店に入って、お酒を飲んで、つまみを食べて、店の人と適当ないい加減な話をしてたんですけど、お勘定のときに「せんせ、どうもありがとうございました」と言われました。ちゃんと身元がわかってたんだ……そんなこと匂わせもしなかったんですけどね。京都ってけっこう深いです。
Playing Mahjong
Long-ge
Putumayo Presents: BLUES AROUND THE WORLD
Putumayo World Music
Heaven
Sugar Ray
IN THE PURSUIT OF LEISURE
Atlantic
二曲続けてお送りします。台湾のブルーズ・シンガー、ロングーさんが歌います。“Playing Mahjong”「麻雀ブルーズ」。中国語のブルーズ、なかなか素敵です。久しぶりに麻雀やりたいですね。 それからSugar Rayをお送りします。いかにもカリフォルニアという感じのからっとした、すこしやんちゃなサウンドが特徴的なバンドです。ウクレレの伴奏が素敵な“Heaven”。

<収録中のつぶやき>
麻雀、昔よくやってました。もう何十年もやってないけど。学生の頃とか、店をやっていた時もときどきやってた。 生きているうちに、もう一度、徹夜麻雀してみたいけどね(笑)。温泉にでも行って、お酒を飲みながら麻雀やれるといいけど、なかなかそういう機会はないですね。


世間話④ そば屋の話
ときどき行くおそば屋でカウンターに座って、お酒を飲んでいたんです。麦焼酎のそば湯割り。軽くつまみをとって。いいですよね、そういうの。そうしたら僕の三つくらいとなりの席に男女の客がいまして、男は四十代、女性は二十代後半くらいで、どういう間柄かは知りませんが、ずっと本の話をしていました。で、まあ聞くつもりもなかったんですが、声が勝手に耳に入ってくるもので、まあしょうがなくて聞いていたんです。そうしたらそれが突然、僕の話になりまして、そのあと延々と僕の本の悪口なんです。「これは困ったな」と思ったんだけど、そこでへたに動くと目立つし、注文した料理もまだ出てこないし、しょうがなくて、片肘ついて顔を隠しつつ、じっとおとなしくしていました。
で、その男の人は、僕の書いた本のどこがどれほどつまらないか、連れの女性にこんこんと言い聞かせているんです。でもまあ、それはいいんです。作品を批判されるのは当然のことだから。褒められることもあれば、けなされることもあります。でも途中でふと気がついたんだけど、その人、僕の小説をほとんど全部読破していて、しかも実に細かいところまで中身を覚えているんです。「それほど嫌なら、そんなにみっちり読まなきゃいいじゃないですか」とか、そばから突っ込みたくなるんだけど、まあ、そんなこともできないですし、いったいなんなんでしょうね? あまりにも嫌いだから、つい手に取って熱心に読んじゃうんでしょうか、それとも愛憎、表裏一体なのでしょうか? とにかくそういうシチュエーション、ほんとに疲れます。おそば、食べた気がしなかったです。
The Postman Song
The Jazz Devils
OUT OF THE DARK
Virgin
The Jazz Devilsが歌います。The Postman Song。「ジャズの鬼」というバンド名ですが、内容的にはジャズとはあまり関係ないです。

世間話⑤ やっちゃえ、日産
日産自動車のテレビCMで「やっちゃえ、日産!」というのがありますね。あれ、関西では「いてまえ、日産!」とバージョンを換えて放送されているという説を耳にしました。「いてまえ」というのは、関西弁で「やっちまえ」ということですね。「いてまえ、日産!」
「本当かな?」と半信半疑でいたんですけど、このあいだ関西に行ったときに、テレビで実際に日産のCMを見ました。ちゃんと「やっちゃえ、日産!」っていう、東京と同じものが流されていましたよ。関西バージョンではなかった。まあ、そうですよね。つまんないといえば、つまんなかったけど……。
でも、「いてまえ、日産!」、いいですよね。なんかトヨタに喧嘩を売ってるみたいで。まあ、なかなか勝てそうにないですけど、せめて気持ちだけでも。一昔前、当時の近鉄バファローズの打線が「いてまえ打線」って呼ばれていました。なにしろこれが乱暴きわまりない打線で、2001年にはなんと、防御率が最下位だったにもかかわらず、無理矢理、力ずくでリーグ優勝してしまいました。すごいなあ。
日産自動車も、ゴーン事件とかでイメージが傷ついちゃったけど、ここはひとつ奮起してがんばってほしいものです。防御率が多少悪くても、「いてまえ、日産!」。

次の曲は……うーん、聴いてみてください。たぶん皆さんご存じの曲だと思います。
夜霧よ今夜もありがとう
Muz
演歌BOSSA
SMOOVE RECORDS
「夜霧よ今夜もありがとう」、歌っているのはMuzという人です。これは「演歌BOSSA」(ボサノヴァで演歌を)というユニークなアルバムからの曲ですが、一通り聴いた限り、これがベストトラックだと僕は思います。

世間話⑥ オープン2シーター
車の話を続けます。僕はもうかれこれ25年くらい、オープン2シーターにマニュアル・シフトで乗り続けています。オープン2シーターっていうのは、屋根がなくて、座席が二つしかない車のことです。どうしてそんなあまり役に立ちそうにないものに乗り続けているかというと、そういう車を運転していると、ほんの束の間でも、自分は自由だと感じることができるからです。信号待ちをしているときなんか、空をぼんやり見上げていると、雲の流れとか、飛んでいく鳥とか、そういうものがけっこう心に沁みるんです。時々信号が変わったのに気がつかず、後ろからクラクションを鳴らされますけど。
でもね、オープンカーって、女の人ってまず一緒に乗ってくれません。恥ずかしいとか、日焼けするとか、髪が乱れるとか、だいたい嫌がりますね。だから、ほぼいつも一人で孤独に運転しています。エリック・バードン&ジ・アニマルズの「スカイ・パイロット」(註*第1回村上RADIOのオンエア曲)とか聴きながら。

マニュアル・シフトも絶滅危惧種になりつつありますが、僕はオートマチック車って、どうしても好きになれないです。マニュアルのどこがいいのか? それはもちろん、自分でギアを選べることです。こんな不自由な世の中なんだもの、車のギアくらい好きに選びたいですよね。そう思いません? その結果、ギアの選択を間違えたり、うまくシフト移動できなくてエンストしたりすることもたまにあります。でもそういうのが人生じゃないですか。山道で無意味なシフトダウンをする歓びは、マニュアル主義者にしか理解できないものです。全国のオープン2シーターに乗っているマニュアル主義者の方、もしいらっしゃったらメールをください。孤独を慰め合いましょう。
ROUTE 66
Depeche Mode
EARTH GIRLS ARE EASY ORIGINAL MOTION SOUNDTRACK
SIRE
Depeche Modeの歌うRoute 66、これ運転しながら聴くと最高です。聴いてください。
Stomp!
CHARLES EARLAND
Stomp!
HighNote Records, Inc.
次はジャズ・オルガン奏者チャールズ・アーランドの「ストンプ!」です。
なにしろファンキーでご機嫌です。テナーサックスはエリック・アレキサンダー。



世間話⑦ 三回目
僕は東京にいるときには、地下鉄に乗ったりバスに乗ったり、ごく普通に生活しているんですが、道を歩いてて声をかけられることってまずありません。まあ、あって月に一回か二回か、そんなものですね。でも旅行して地方都市に行ったりすると、かなり頻繁に「村上さんですか」とか声をかけられたりします。どうしてだろう? と考えるんですけど、結局、「東京の人は他人にあまり関心を払っていないんじゃないか」という気がします。東京の人ってほとんどの場合、通りですれ違っても人の顔をいちいち見ないですね。ただの「行き過ぎる他所(よそ)の人」としてしか見ていない。僕なんか、けっこう気楽でいいんだけど、そういうのを「冷たい」とか「人情がない」と感じる人もきっといるでしょうね。
あと有名人慣れしているというか、たとえ「あ、あの人だ」と思っても、あえて声をかけないでそのままスルーするということもありそうです。
少し前、渋谷の「レコファン」っていう中古レコード屋さんに行ったとき、エレベーターの中で若い男の人に「村上さんですね」と声をかけられました。「そうですよ」と言うと、「あの、ぼく、ここで村上さんにお会いするのは三回目なんです」ということでした。「前の二回は邪魔してはいけないと思って、遠慮して声をかけなかったんですが、三回目ならもういいんじゃないかと思いまして……」。

いいですよ、べつに。僕の読者って、そういう奥ゆかしい性格の人が多いのかもしれませんね。ありがたいことです。でも同じ中古レコード屋で三回も会うなんて、僕もまあ暇だけど、その人もそうとう暇人ですよね。「レコファン」、閉店しちゃって淋しいです。

世間話⑧ NHK
結婚してからしばらく、かなり長いあいだ、テレビってうちになかったんです。当時、貧乏でテレビを買うお金もなかったし、それから仕事が忙しくて、テレビを見る時間もろくになかったということもあります。まあ、テレビ、なくても不自由しなかったしね。
で、うちの奥さんが一人で家にいるときに、某準国営放送の集金の人がやって来まして、「うち、テレビ持ってないんですよ」と言ったんですが、ぜんぜん信用してもらえなくて、「奥さん、あんたウソ言ったってちゃんとわかるんだ。テレビ番組を見ていながら聴取料を払わないっていうのは泥棒と同じなんだ、泥棒!」って怒鳴られました。それ以来、当然ながらうちはその放送局に対して、温かい好意みたいなものは持っておりません。そんな風に人を犯罪者みたいに決めつけるのって、良くないですよね。真面目にけなげに生きている市民なのにね。 『1Q84』という小説の中で、主人公の父親をその某放送局の集金人に設定していますが、そのときの意趣返しみたいなものです。ごくささやかな返しですが。

SPEAK LOW
BOZ SCAGGS
SPEAK LOW
DECCA RECORDS
ボズ・スキャッグスがスタンダード・ソング「スピーク・ロウ」を歌います。これ、バックのアルト・フルートとバス・フルートのアンサンブルがすごく良い雰囲気を出しています。素敵です。
Ballad Of The Sad Young Men
DAVID SANBORN
CLOSER
VERVE
今日のクロージングはデイヴィッド・サンボーンのアルトサックスが冴え渡る、名曲「すべての悲しき若者たち」”Ballad Of The Sad Young Men”です。全国の悲しき若者のみなさん、悲しいこともあるでしょうが、がんばって生きていってくださいね。いろんなつらいこと,切ないこと、そのうちに懐かしく思い出せるようになります。
今日の言葉は、石川啄木さんの歌です。


葡萄(えび)色の
長椅子の上に眠りたる
猫ほの白き 秋のゆふぐれ
歌集『一握の砂』に収められている作品ですが、僕は秋の夕暮れになると、よくこの歌を思い出します。葡萄色のソファに白い猫が眠っていて、秋の日がゆっくり暮れていきます。ただそれだけの内容なんだけど、猫の白さが網膜にしんと静かに残ります。

僕は一度、石川猫木さんの歌を作りました。
働けど働けど猶
わが生活(くらし)楽にならざり
ぢっと肉球を見る
という歌なんですけど、意味ないですね。猫が肉球をじっと見てどうなるっていうんだろう。にゃあ(猫山)
それではまた来月。

スタッフ後記

スタッフ後記

  • 村上さんのエッセイを読む愉しみは、いつも小さな発見があることです。思わずくすりと笑えたり、ちょっとしんみりしたり、ものの見方が変わったり……。それにしても、村上さんのエッセイをその選曲とともにラジオで楽しめる日が来るとは、夢にも思いませんでした。そうそう、京都で思い出しました。村上さん自身が、京都での公開インタビューで語っていたエピソードです。当日の早朝、村上さんが京都の鴨川沿いをジョギングしていたら、下駄を履いた若者が追いかけてきて、「村上春樹さんですよね。がんばってください」と声をかけられたという話を思い出しました。京都、なかなかファンキーです。(エディターS)
  • 今回の村上RADIOは、「村上さんの世間話」でした。何気ない日常が垣間見えるお喋りに、特に話しとは関連性のない音楽。村上RADIOとしては珍しい構成で、逆に新鮮だったのではないかと思います。村上さんのエッセイ集を読んでるように番組を聴いていただけると嬉しいです。(キム兄)
  • 春樹さんが番組のエンディングで披露した歌、「働けど働けど猶わが生活(くらし)楽にならざりぢっと肉球を見る」に、しんみりしてしまいました。我が家の黒猫🐈‍⬛が今月旅立って行ったのです。数ヶ月前に先に逝った兄の虎猫の後を追うように。冬の夜、彼の柔らかい肉球を思い出しました。(延江GP)
  • 今回の、「村上の世間話」。今までとは少し違ったテイストで楽しんでいただけたかなと思います。今回も収録時は、沢山の笑いが起こっていて、とても楽しかったです。収録の時に、村上さんが「まだまだ色んな話、沢山あるんだけどね~」と仰っていました。他にどんなお話があるのか、とても聞いてみたいです!(AD桜田)
  • 「ねえねえ、村上春樹の本って実は読んだことがないんだけど、まずなにから読んだらいいかな?」とたまに聞かれます。そんなときはエッセイなら「遠い太鼓」、短編集なら「回転木馬のデッド・ヒート」、翻訳ものなら「恋しくて」、長編なら「1Q84」を薦めています。初心者でも、村上アレルギーにならず村上作品の魅力を味わえる本、というセレクトです。あくまで個人の見解です。(構成ヒロコ)
  • --構成ヒロコに倣って見ました。「ねえねえ、村上春樹の本って実は読んだことがないんだけど、まずなにから読んだらいいかな?」とたまに聞かれます。そんなときはエッセイなら「走ることについて語るときに僕の語ること」「職業としての小説家」、短編集なら「女のいない男たち」、翻訳ものなら「スタンゲッツ 音楽を生きる、長編なら「ノルウェイの森」を薦めています。人生って色々あるけどもう少し頑張ろう、という時、少し前向きな気持ちになる本、というセレクトです。あくまで個人の見解です。(レオP)

村上春樹(むらかみ・はるき)プロフィール

1949(昭和24)年、京都市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。’79年『風の歌を聴け』(群像新人文学賞)でデビュー。主な長編小説に、『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞)、『ノルウェイの森』、『国境の南、太陽の西』、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』、『1Q84』(毎日出版文化賞)、最新長編小説に『騎士団長殺し』がある。『神の子どもたちはみな踊る』、『東京奇譚集』、『パン屋再襲撃』などの短編小説集、『ポートレイト・イン・ジャズ』(絵・和田誠)など音楽に関わる著書、『村上ラヂオ』等のエッセイ集、紀行文、翻訳書など著訳書多数。多くの小説作品に魅力的な音楽が登場することでも知られる。海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、’09年エルサレム賞、’11年カタルーニャ国際賞、’16年アンデルセン文学賞を受賞。