2024.03.12
多くの地域、国に複業先生を
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。
今週のゲストは先週に引き続き、
株式会社LX DESIGN代表取締役の金谷智さんです。
金谷智さんは1990年生まれ、富山県のご出身。東京学芸大学 教育学部を卒業後、
公立小学校の学級担任などを経て、2018年に教育系スタートアップ
「LX DESIGN」を設立されています。
今週は金谷さんのこれまでについて伺っていきたいと思います。
先週もお話は出たんですが、ご両親も教育関係で働かれていたんですか?
「はいそうなんです。両親まで代々学校の先生をやってる家で育ちまして、
親戚もみんな学校の先生みたいな環境で育ちました。」
そうなると金谷さんも自然と、
僕も先生になろうかなみたいな気持ちになるんですか?
「基本的にはそうだったんですが、だんだん学校の先生という仕事の、なりたい人もいればなりたくない人もいるんだなみたいなことが分かっていって、みんななりたいわけじゃないんだみたいなことが、大変だよねみたいな、そういう会話をしていく中で何となく社会を知っていくみたいな、そんな10代を過ごしました。
東京学芸大学教育学部に入学されて、民間企業などを経てから小学校の先生になられたんですね。
「そうなんです。学校の先生として一生生きていきたいというのが基本的な思想だったんですけど、一方で、祖父祖母とかから聞く学校の先生という仕事のこの30年の変化みたいなものも同時に何となく聞いたときに、次の30年どんな変化が起こるんだろう、あるいはどんなことをやらないといけないんだろうみたいなことがすごく気になって、そういう意味で、いろいろ模索していた20代があった気がします。」
実際に先生として働かれて、長時間労働も今すごく問題になっていますが、
どのように感じられましたか?
「やっぱり外から見ている学校教育と生徒として受けた学校教育みたいなものは全然違ったなと思っていまして、今もうまさに学校現場に関わり始めてもう10年ぐらいですが、教員自身ができることと、あるいは外からのエネルギーが必要なことと両方あるんだなと、概念としては思っています。」
教員はやめたけども現場の先生を助けたいという思いがあったんですね。
「そうですね。さかのぼると小さい自分の家族感みたいなところに落ちるんですけども、両親まで愛していた学校の先生という仕事を自分ももちろんやりたかったし、ただ現場でやってみたときに、本来かくあるべしみたいなものとのギャップを大きく感じて、これはどうしようと、次の世代に学校の先生と仕事をどう残そうかっていうことが大きいテーマで、それは保護者向けの対応から、足元の授業作りまでいろんなところでそれを感じて、何とかしたいと思って起業しました。」
起業するにあたってまずどういったことから始めたんですか?
「課題が大きいのはわかってたんですけど何からやっていいか、これまたわからんということで、まずは放課後のIT教室みたいなものから始めてみたりとか、あるいは学校の先生にこれからなる方達向け、教育学部の学生向けの勉強会とかゼミみたいなものを始めてみたりとか、先生方との対話の場を作ってみたりとか、はいみたいなところからスタートした2018年の創業の年でした。」
アプリって今思っているビジョンがあったりとかこんなことを僕はして先生たちに可能性を広げたいんだという思いがあっても、またアプリを作るとなると、エンジニアの部分だったりとかいろんな違った要素が経営者としても必要だと思うんですが、そこら辺は大変じゃなかったですか?
「まさに、大きい課題は見えてるけれども、何から登っていいかわからないということが多かったし、学校の先生たちに受け入れてもらえる形は何なのかというのを模索するのに時間がかかりまして、そういう意味で今、チームメンバー50人ぐらいでやっている組織なんですけど、いろんな人たちに教えてもらいながら、助けてもらいながらやっているなと思っています。」
学校を退職してから今の会社、LXデザインを立ち上げたということなんですが、
この複業先生の仕組みを思い付くきっかけは何だったんですか?
「教員やっていた時代に、自分自身が必ずしもその領域に詳しかったりとか、すごく当事者意識の高いものばかりじゃないという葛藤ももちろんあり、自分より詳しい人をもっと呼んであげたいなみたいなことはもちろん思っていました。かつ、2018年に創業してIT教室から始めていったときに、学校の中でやってほしいんだとか、あるいは自分の友人たちのエンジニアの方たちに頼んでみたらすごく喜ばれたとか、そういうリアルな体験が積み重なって今の話に行き着いています。」
サービスのタイミングはコロナというのも大きな影響があったと思うんですが、
それはいい方に働いたんですか?
「元々学校の中には、IT環境がほとんどなかったという時代が長く続いてますので、そういったものが進化したという意味では良かったのかなと思っています。ただ短期的にやっぱり先生方の負荷が一気に上がって、メンタルヘルスケアがしんどくなるということも業界的には起こっていますので、難しかった、よかった、どっちも言えないなとは思います。」
会社として仲間が50人ぐらいいるとおっしゃっていましたが、
どういった方たちが最初集まってきたんですか?
「今複業先生の登録者がザクッと2000人程度、その中からタイミングの合う人たちがまずは副業で関わってみようかしらとか、こういうプロジェクトだったら関わりたいというような形で、プロダクトを作るエンジニアの方たち、あるいはデザイナーの方たち、あるいは元々学校の先生をやっていたお客様対応のチーム、広報・人事・ 財務、いろんな人たちが少しずついるというようなタイミングで、本当にご縁の中で、まずは複業先生として授業やってくれたところからだったりとか、自分の勤めてる会社の上司が合いそうなんだと言って連れてきてくれたりとか、上司ってちょっと怖いんで「いや大丈夫です」って逃げ回ってたけど逃げ切れずに会っちゃって友達になっちゃったとか、ああいうようなことがいっぱいあります。」
今世の中では学校の先生もいろいろと業務が大変だとか、学校の先生の負担をちょっと減らした方がいいんじゃないかみたいな話も最近ねよく聞くんですけど、なんかそういったところの力にもなりそうですよね。
「僕たちは、見かけとしては、出前授業のマッチングサービスというのをやっているんですが、その裏側で実は先生たちは元々の授業の準備をしたり、子供たちが書いたものから保護者向けの例えば学級通信を作ったり、通知表を作ってみたり、いろんなことを実はその裏側でやっていて、そこに加えて部活の先生の指導だったりとか、その辺を子供たちの学びの履歴を使って一部自動化したりとか負荷を下げていくということにITを使って取り組んでいます。」
今まだないジャンルでどういう授業が今後あったらいいなとか思いますか?
「まさに今まだ学校の中にない文脈がどんどん増えていく時代が続くわけで、そういった意味で10年後、まさに人気の授業って何だろうというのを僕らも探索しながらやっていますし、できる限りいろんな人たちに関わっていただきながら、まさに笑いが学びの中心なってるかもしれないしデザインかもしれないし、伝え方かもしれないしということを僕らも味わいながら進んでいきたいなと思っています。」
最後に、これからの夢を教えてください。
「今、国内で何百かの学校に使っていただいてるんですけども少しでも多くの地域、国でサービスをご活用いただけるような、そんな強いチームにしていきたいなと思ってます。」
株式会社LX DESIGNの金谷智さんにお話を伺いました。
ありがとうございました。