三協フロンテア presents The Starters(ザ スターターズ)

パーソナリティ ユージ・吉田明世20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、
彼らがどんな発想や未来への展望を持ってブレイクスルーを起こそうとしているのかお話を伺います。
高い意識とモチベーションで社会に風穴を開けようと取り組む彼らの話が、
「あなたも、世の中を変えられる!」という、
朝、仕事へ向かうビジネスパーソンのやる気のカンフル剤になることを目指してゆきます。

Guest ゲスト

2025.05.13

femtechを通じて相互理解の促進を

Carefull株式会社
代表取締役
張 聖さん
フェムテックに特化した、国内初の福利厚生プラットフォームを提供



ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います。

今週と来週のゲストは、Carefull株式会社 代表取締役の張聖さんです。

張聖さんは1990年生まれ、中国のご出身。
慶応大学を卒業後、Google Japanで活躍。その後、世界最大級の起業家支援NPOの日本支部立ち上げを経て、2020年Carefullを創業されています。
中国のご出身ということですが、何歳の時に日本にいらっしゃったのですか?

「両親の仕事の関係で、5歳の時から日本に住んでいます。実は茨城、長崎、東京といっぱい転勤していました。」

今週は主な事業内容について伺っていきます。
Carefullはフェムテックに特化した国内初の福利厚生プラットフォームということですが、まずこの"フェムテック"というものについて教えてください。

「フェムテック(femtech)というのが、Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。具体的には、月経や不妊治療、そういった女性の健康課題をテクノロジーを介して解決するサービスの総称として使われています。」

フェムテックという言葉、最近よく聞きますよね。伸びてる分野だと聞きました。

「まさにです。2020年に世界で3兆円の市場規模があると言われてたんですけど、10年後、32年には14兆円に伸びると言われてます。これが大きすぎてよくわからないと思うのですが、モバイルアプリの売り上げが21年に15兆円だったので、32年にはモバイルアプリと同じぐらいの市場規模になると予想されています。」

そんな規模になるんですね。
そしてCarefullはフェムテックに特化した国内初の福利厚生プラットフォームということですが、具体的にはどういったサービスがあるんでしょうか。
まず、生理痛体験ワークショップとは一体何でしょうか?

「EMSの仕組みを使った専用のデバイスを用いるんですが、」

EMSというのは健康器具とかでもよくありますよね。体に貼ると電気刺激でちょっとピクピクって動く器具。

「そうなんです。その仕組みを使って、お腹に専用のパッチを貼って外部から刺激を与えて、生理痛を模擬体験いただくというようなものです」

つまり、生理痛を経験できない男性などに貼ってもらって、理解してもらうってことですよね。

「そうですね。実際になぜ生理痛が起きるかで言うと、
女性ホルモンが分泌されて子宮が痙攣する、その時の痛みって言われているんです。
ある意味外からの刺激でそれを再現しているというものです。」

その痛みは本物に近いですか?

「女性にも体験いただくのですが、そう言っていただくことはすごく多いですね」

この体験というのはどういった目的があるんですか?

「やはり職場で働く女性からすると、何か困りごとがあった場合、自分は病院へ行って解決すればいいとなった時、病院に行くにも仕事を一時的に休まないといけないので、一番困るのは上司に言ってそれを理解してもらうことだと。女性が働きやすい職場環境を作り出すために、男性にも理解を促進したいというような企業さんに導入していただいています」

実際にいろいろな企業に出張して、体験してもらっているんですか?

「はい、全国津々浦々、デスクワークから工場勤務まで、実は昨日も仙台のとある工場まで行って提供してまいりました。」

皆さんの関心が高まっている実感はありますか?

「ありますね。2020年からずっとこのフェムテック領域で研修や福利厚生を提供しているのですが、通常の医学的セミナーに比べて、男性側からも「体験できるならやってみたい」ということで多くの方に参加していただいたり、実際に参加した満足度もすごく高かったりしています。」

男性陣の皆さんはどういった反応をされていますか?

「やはり「想像よりもめちゃくちゃ痛かった」や「こんなに痛いんだったら確かに休める環境を作ってあげなきゃいけないよね」といった、自分事化して理解に直結している実感はあります。あとは、仕事だけではなくパートナーがいる場合には、例えば、「定期的に奥さんが不機嫌になっていてその理由がわからなかったがその理由が今日わかりました」という声もありますね。」

それがわかると不機嫌で来られても受け止める余裕ができますよね。「こういう状況ならしょうがないよな」といった理解が広まると。
これは家庭内だけではなく職場でも重要かもしれないですね。

このサービスはどういった形で体験できるのでしょうか?
お値段なども含めて教えてください。

「現在セミナーつきの研修タイプと、もうちょっとライトに、ふらっとお昼の時間に来てふらっと帰るようなイベントタイプを設けています。研修タイプが1時間で40万円から、イベントタイプがちょっと安くて30万円からお受けさせてもらっています。」

なるほど。研修タイプになるといわゆる管理職の方々中心にしっかりと理解を促すと。30名程度を集めた体験会になるというわけですね。

「そうですね。具体的にはそもそも生理痛とはなんだ、どう対応できるのかという知識のところや、社内のコミュニケーション例をセミナーでお伝えをして、後半はグループごとに体験をすることで、グループ間でも「こういった気づきがあったね」といったディスカッションに繋がるので、職場では「生理」という言葉を今まで発したことがないという方が多いのですが、せめてこの1時間の中だけでも皆さんでそういったコミュニケーションを取っていただくという時間になっています。」

実際に会社にいい影響が出ているところはありますか?

「いざという時に部下から相談されたらどう受け答えできるか、サポートできるかという具体的なイメージが湧きましたという声や、実際に生理休暇という名前がダイレクトだとお互い言いずらいので「F休暇」や「M休暇」というように名称を変えられる企業さんが続々と増えています。」

休暇の名前付けというのも考えなければいけないですね。
そもそも生理という言葉が普通に使っていい環境になってほしいので、学校でもこういった研修を受けられると、大人なる頃にはみんなの意識が変わっていき、当たり前に「生理痛なんです」と言えるようになるといいなと思いますね。

「実際に学生さんでも生理痛がひどくてアルバイトに行けない、勉強に支障をきたすケースもあるので、最近だと大学さんからお問い合わせをいただいて提供するケースも出ています。」

他にもいろいろなサービスがあるということで、この健康プログラムシリーズというのはなんでしょうか?

「まずはご自身の健康状態に気づいていただくために、専用のサイトで診断テストに答えると、例えばその方の生理だったり更年期の重症度のリスクがわかるというようなプログラムになっております。」
これはどこかに行くとかではなく、自宅やスマホがあれば利用できるということですね。

「パソコンやスマホ一つで、1分程度でできるすごく身近で手軽なものとなります。」

これはどうやって利用すればいいでしょうか?

「これは企業さんに申し込んでいただくのですが、我々で企業ごとに専用のサービスサイトを作るので、従業員さんはそれにアクセスすればすぐに使えるという形です。」

他にもコンサルティングやセミナーもされているということで、そちらについても教えてください。

「まず、コンサルティングは企業としても女性の健康を何かサポートするというのが初めてなケースが多いので、まず現状どういった困りごとがあるのか可視化したい、というご要望がすごく多いです。なので企業のニーズに合わせて、調査設計から入らせていただき、「こういう困りごとが大きいんですよ」ということに合わせた必要な研修や福利厚生の制度設計をご提案させてもらっているという内容になります。セミナーに関しては、生理痛体験のワークショップもその一つで提供しているのですが、それ以外にもいろいろとやっている会社でございます。具体的には、不妊治療や更年期のセミナーもそうですし、最近だと介護や子育てなどの健康だけではないライフイベントと仕事の両立に関わるテーマでご相談いただくことも増えています。」

フェムテックに限らず、男性の育休に関するセミナーなどもあるんですね。
このフェムテックのサービスを通して、どんなことを今後普及させていきたいと考えていますか?

「一つは、周りの理解を促進していくということもそうなのですが、これまであまり話されてこなかった分、実は困っている当事者も必要なケアが何か知らないケースがすごく多いです。なので、いろいろな治療の選択肢があるということを知ってもらって、自分に合うケア方法を見つけられる世の中にしていきたいと思っています。」

最後に、これまで乗り越えてきたハードルを教えてください。

「新しい市場、無い市場を作っていくことが難しいなと日々感じています。具体的には、一番はやはり時間がかかるということで、粘り強さと闘いながら事業を続けています。」

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