2025.07.01
子どもたちが自分を肯定できる社会へ
ONE MORNING「 The Starters 」
火曜日のこの時間は社会に風穴を開けようと取り組む若き起業家をお迎えして
そのアイデアの根っこにあるものや未来へ向けたビジョンを伺います
今週のゲストは先週に引き続き、株式会社タカベル代表の高畑洋平さんです。
高畑洋平さんは1991年生まれ横浜市のご出身です。大学在学中、大手塾の講師として勤務。大学卒業後は、銀行におよそ4年間勤務。在職中に教員免許を取り、銀行から私立の小学校の先生に転職。退職後、中学受験コンサルティング『タカベル』を創業されています。
先週は主な事業内容について伺いました。タカベルは中学受験のための塾というより、志望校に向けた勉強の仕方をコンサルティングされているんですね。かなり斬新なサービスだと思いました。今週は会社を創業される前後のお話を伺いたいと思います。高畑さんご自身も中学受験の経験者で、かなり過酷な経験をされたと伺いました。
「私は3月生まれだったんですが、一般的に中学受験において3月生まれってものすごく不利なんですよね。周りが10を聞いて8理解できるところも、2、3ぐらいしか理解できませんでした。勉強自体は嫌いではなかったのですが、塾に通うとクラスの昇降があり、そのプレッシャーと戦う毎日だったと記憶しています。」
中学受験の結果はどうだったんでしょうか?
「なんとか成功しまして、都内の芝中学校・芝高等学校に進学し、その後の大学では早稲田大学の商学部に進学しました。」
大学時代から塾関係のアルバイトにのめり込んだとお聞きしました。
「実を言うと、小学校の担任の先生のことをとても尊敬をしており、漠然と教育関係に従事したいという思いがありまして、手っ取り早く教育現場について勉強ができる環境が塾講師だったということで塾講師をしていました。」
いい先生との出会いがあったんですね。その塾ではどのくらいの年代のお子さんを担当していたんですか?
「小学校3年生から中学3年生までを担当していました。その塾では社内教育制度がしっかりしていて、月毎のテストで高い点数を取ることができれば、教えた先生が表彰されるというシステムがあり、そこで表彰していただいたりもしました。」
だからこそ今があるんですね。そこで学んだことはありましたか?
「子どもの目線に立つことですね。何事にも通じることだと思うんですが、相手の立場に立って物事を進めていくことの大切さを学びました。」
そこから教育関係に就職するかと思いきや、みずほ銀行に就職されたということですが、なぜ銀行だったんでしょうか?
「将来的に教育関係に従事したいという思いはあったんですけれども、自分の中で「社会を経験せずに、いきなり先生と呼ばれるのもどうなのかな」という葛藤がありまして、若くして経営者の方と面談をしたり、融資をしたりできる銀行という環境を選択しました。」
銀行への就職も将来的に教育関係で働くためのプロセスだったということですね。
すごいと思ったのが、銀行に勤めながら教員免許を取られているんですよね。お仕事がお忙しい中、教員免許の勉強との両立は可能だったんですか?
「教員免許は通信教育でも取ることができるのですが、土日はカレンダー通りにお休みをいただけていたので、銀行の勉強と並行しながら土日に猛勉強していました。」
そして、その教員免許を生かし、私立の小学校の先生に転職されました。先生としての生活というのはいかがでしたか?
「勉強を教えるだけではなく、日頃教室で生活していると、子ども同士のトラブルも発生するので、「人としてどう生きていかなければならないのか」というところを指導しなければいけない立場という部分で塾と学校の先生では大きく違うなと思いました。」
その後、なぜ先生を辞めようと思われたんですか?
「当時勤めていた小学校は、ほとんどが中学受験をするお子さんが集まる私立小学校でした。個人面談の中でも「うちの子どうですか?」という質問よりも、「どう勉強を進めていけばいいのか?」というような勉強関係の質問が集中するんですね。」
実際にそういった意見を聞いていく中で、そこに需要あるんじゃないかと気づいたわけですね。
「そうですね。当時調べてみたら、なかなか中立的な立場で保護者の方へコンサルティングしている企業はなかったので、起業するため思い切って退職したという経緯です。」
いろいろな経験を積んで来られたと思うのですが、やはり起業するって、かなり勇気が要りませんでしたか?
「やはり銀行員、教員と、ある意味“安定”の仕事をずっと選んでいたので、勇気は本当に要りましたね。」
起業って自分次第で如何様にでもなってしまうという部分でリスクが大きいですからね。タカベルの事業内容はそれまで他になかったとのことですが、すぐに理解してもらえましたか?
「最初は全く認知されなかったですね。認知を広げるためにブログで発信したり、自分で本を書いて頒布したりしていました。」
コンサルティングを受ける子どもたちの性格はそれぞれですし、集中力もモチベーションも十人十色の中で、親に言われてやらされているという子も中にはいると思うんですよね。そういった子たちと向き合うことについてはいかがでしょうか?
「やはりすごく大変ですね。成績が低迷しているお子さんは自己肯定感も落ちているので、マイナス言葉を使ってはダメで、極力結果ではなくプロセスを褒めてあげるという方針をとっています。」
逆に、自己肯定感が高すぎる一方で成績が伸びない子に関してはどうでしょうか?
「目標を決めさせるというのが大事かなと思います。短期的な目標があると馬力を発揮して頑張れる子って中にはいるので、「次こそは上のクラスに絶対上がるぞ!」という話をしたり、「前回○○点だったから、次は○○点目指そう!」という話をしたりしていますね。」
高畑さんが考える、中学受験する上で、今大事にするべきことは何でしょうか?
「中学受験がゴールではなく、その先ずっと人生は続いていきますから、お子さんの自己肯定感を大切に考えてほしいなというふうに思います。」
受験以外の部分でもそうですよね。一人の親としても勉強になりました。
最後になりますが、これからの夢を教えてください。
「子どもたち一人一人が、毎日が楽しい、毎日が充実している、認められている。そういう社会を作っていきたいなというふうに思います。」